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yuntatannq8のレビュー・評価・感想

鋼の錬金術師 / ハガレン / Fullmetal Alchemist
10

禁忌を犯し身体が鋼になってしまった兄弟が、元の身体に戻るため旅に出る物語。無駄なエピソードが一切ない素晴らしい作品!

錬金術師としての禁忌を犯し、鋼の身体となってしまったエルリック兄弟。元の身体を取り戻すため国家錬金術師となった兄エドワードと鎧の身体のアルフォンスは、なんでも錬成できるという「賢者の石」を探して旅に出るが、その賢者の石は大量の人間の命を使って作られたものだった。
身体を取り戻す唯一の希望だった「賢者の石」が一気に絶望へと変わり、さらにはその裏に潜む陰謀が兄弟の前に立ちふさがる。賢者の石で作られた人ならざる者「ホムンクルス」と国の未来を守る者たちの闘いが全64話にわたって描かれています。
散りばめられた伏線の回収、個性的なキャラ、物語の終着点、どれも素晴らしい作品です。敵であるホムンクルスにも個性があり、どこか嫌いになれないカッコ良さすら感じられます。
辛いシーンもありますが、それも物語やエドワード兄弟の強さには欠かせないものであり、無駄な死が一切ありません。暗い雰囲気漂う物語ですが、時にコミカルで笑いもあるのでずっと見ていても飽きません。
最後にはそれぞれが目標を達成し終えた後のことも描かれていて、「あの人はどうなったの?」がない最終回となっています。2人が身体を取り戻す方法も最後にしか分からないというのもこの作品を最後まで楽しめる魅力の一つです。

ナンバー23 / The Number 23
5

最後の方は面白いけど。

自分に似た人が出てくる小説の作者を探すうちに23という数字に取り憑かれていく男の話です。なんか、まとめて書くと意味がわからない話だけど、話はなかなかまとまってました。これとこれを足すと23になるとか、こじつけ?って感じのこともあるし、そもそも23が不気味とかあんまりよくわからないのですが、息子とかが主人公に協力していて、ゾディアックの一場面と似ているなあとか思いました。
正直いって、ジム・キャリーがシリアス演技ってあんまり合わないんじゃないかなと思ってしまいました。でも、たまにはそういうジムを見るのもいいかなと思える程度には面白い作品だと思いました。オチはよくある話で、実は自分が小説を書いていたというものでした。こういう、自分が犯人でしたって映画はよくありますが、精神科の先生が、患者に取り込まれるみたいなのはありそうでなかった気がするので、おもしろいなと思いました。悪に魅せられるじゃないけど、なんだかんだいって、なぞとか怖いものって人を惹きつけるんだなと思いました。
衝撃のラストとか言えないと思いますが、最後らへんの謎解きのたたみかけはなかなか面白かったです。ただ、それまでが割と地味で退屈なところが多かったかなと思いました。

ゴッドファーザー / The Godfather
10

映画「ゴッドファーザー」はアメリカ版「仁義なき戦い」か

映画「ゴッドファーザー」はアメリカ版「仁義なき戦い」か……。
もしくは「仁義なき戦い」は日本版「ゴッドファーザー」か……。
その答えを探るには先ずはゴッドファーザーを語らなくてはならない。

ゴッドファーザーは3部作構成のアメリカ映画である。
パート1の公開は1972年。舞台は1945年のニューヨーク。
ニューヨークマフィアの5大ファミリーで最大勢力を誇るコルレオーネファミリー。そのドンが、マーロンブランド演じる「ドン(ヴィトー)コルレオーネ」
彼には3人の息子がいる。

①短気で好戦的な跡継ぎのソニー
②気が弱く出来損ないの次男フレド
そして、マフィアの世界からは距離を置き、表の世界に生きる事を選んだ
③アルパチーノ演じる三男マイケル

5大ファミリーのタッタリアファミリーが麻薬売買の取り引きを持ちかけてくる。
麻薬ご法度のコルレオーネファミリーを疎ましく思ったタッタリアはヴィトー・コルレオーネに銃弾を浴びせる。
一命を取り留め病院に搬送されたヴィトーだが、その病院にも魔の手が忍び寄る。
危険を察した3男マイケルが、見事な機転を利かしヴィトーを救い出す。
ヴィトーはマイケルにサラブレッドの血を見いだす。
ここから全面戦争に入るが、短気な長男ソニーは敵の罠にハマり機関銃の嵐を浴びて殺害される。
一家はマイケルが引き継ぎ、裏切り者達を次々と粛清し、コルレオーネ家の復権を果たす。
以上が、ゴッドファーザーパート1の非常に大雑把なストーリーである。
当時無名だったアルパチーノはこの作品で一躍スターになり、作品もアカデミー賞作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞する。

パート2は1974年公開。
マイケルを中心としたコルレオーネ家のその後と、ヴィトー・コルレオーネの生い立ちからマフィアのドンになるまでのストーリーを
シンクロさせながら展開していく。
マイケルが冷徹な手段で確固たる地位を築いていきながらも次第に家族を失っていく様と、若かりし頃のヴィトーがのし上がって行くサクセスストーリーを交差させる事により、前作に勝るとも劣らないと称賛された。
アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞他3部門を受賞した。

アカデミー作品賞を受賞した映画が続編で再び作品賞を受賞した例は、アカデミー賞史上この作品しかない。
またヴィトーの若かりし頃をロバート・デニーロが演じている事もあり、この作品が最高傑作だと推すファンも多い。

それにつづく1990年公開のゴッドファーザーパート3。
当然パート3はアカデミーを取っていない。
その為、パート3を観ていないと言うゴッドファーザーファンもいる。
パート1もパート2も単体としても面白く、ファンの間では1か2かの論争になる事もあるが、3が好きと言うファンはほぼいない……。

しかし筆者は敢えて言う。
ゴッドファーザーはパート3がいい。

しかしそれには条件がある。必ず、パート1.パート2と観た後に観ると言う事。
単体でいきなりパート3から観ても良さは保証出来ないが、1.2と観た後に3を観ると俄然輝きを増すのである。

パート1で堅気の世界から裏の世界に入り込んだマイケルが、パート2であらゆる敵を葬り、マフィアの世界の頂点に君臨する。
そんな裏社会を完全制圧したマイケルが、パート3でもっと悪い奴らに翻弄される。
それがヴァチカンであり、イタリア銀行なのだ。

特に、数々の非道を行って来たマフィアのドン・マイケルが、司教の前で懺悔をするシーンは体の奥から震えた。
こんな凄いシーンは日本のヤクザ映画ではあり得ない。
そう、これはマフィア映画ではなく、1人の人間の壮大な人生の物語なのである。
そして1人ぼっちになったマイケルが椅子から崩れ落ちるエンディング……。
観終わって暫くは、震えが止まらないであろう。

まさにゴッドファーザーの極みはこのパート3の栄華盛衰の物語にあるのだ。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」
日本人の琴線に触れるこのフレーズ。ゴッドファーザーはまるで平家物語なのである。

そこで改めて表題の問いに戻る。
「ゴッドファーザーは仁義なき戦いか」
答えはノーである。

この作品はイタリア系移民の一家を通して描いたアメリカの家族の物語であり、一大絵巻であり、大河ドラマでもあるのだ。
だから、ゴッドファーザーは1.2.3続けて観て欲しい。出来れば一日で!

パート1 177分
パート2 200分
パート3 161分
合計538分(8時間58分!)

「長いよ!」
そう、長いです。
でも考えてみて下さい。
朝起きて、気づいたら何もしないうちに夕方だった……そんな日は意外とありますよね?
だったらたまには朝から「今日は何もしない!」と決めて一日中ゴッドファーザーを観る。
物凄く濃密な一日になる事間違いなし!

勿論、バラバラに観ても構わない。
ただ、人生のうちのたった一日だけ、サイドテーブルに熱いコーヒーを用意し、ゴッドファーザーの世界に浸る。
これに勝る贅沢はない。