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yamadanishomotoのレビュー・評価・感想

おおかみこどもの雨と雪 / Wolf Children
10

ファンタジーなのにリアルさがとても秀逸な作品

オオカミ男と人間の女性の間に生まれた2人のおおかみこどもの物語。
物語の序盤で父親となるオオカミ男は死んでしまい、シングルマザーとなる花と姉の雪・弟の雨との生活がメインの物語となるが、
妊娠するところから描かれているのでオオカミこどもと生活することがどれほど困難が待ち受けているのかとてもリアルに感じるように描かれている。
オオカミこどもとはいえ、育て方は人間の赤ちゃんと同じ方法で育てられているので夜泣きや授乳の難しさのシーンは、
出産育児を経験している私にはとても身近な内容で母親の花の苦労は涙なしには見られなかった。
都会で暮らす難しさの末、田舎へと引越しそこで花は人間としてもオオカミとしてもどちらの道でも生きていけるように生き方を花なりに教えていく。
雪と雨も成長とともに体の変化や心の変化があり、話は展開していく。
幼いころは姉の雪の方が活発でオオカミの姿にすぐなってしまったり虫や動物を取ったりオオカミ要素が濃かったのに、成長とともに一人の人間の女の子として成長していき、
逆にとても泣き虫で気が弱く悪者にされがちなオオカミなんか嫌いだと言っていた雨の方が次第にオオカミとしての生き方へ進んでいく。
タイトルが『オオカミこどもと雨と雪』で雨が先にきているのは結末と繋がっていたと考えると、とても秀逸に感じた。
母親の花の聡明さと寛大な心、二人のオオカミこどもの成長物語はとても見ごたえがあり、自信を持ってオススメできる作品である。

The Rolling Stones / ザ・ローリング・ストーンズ
9

ロックの代名詞

ザ・ローリングストーンズは、1960年代前半に英国でデビューしてから常に時代の先頭を走ってきたロックバンドです。
彼らの魅力は何でしょうか?それはまずは何と言っても演奏と曲が格好いいということでしょうね。
60年代後半の名曲、「黒く塗れ」や「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」にしても世界的に大ヒットしたのはリズムやメロディが格好よく、エレキギターの演奏が素敵だったからですね!
次に言えるのは、その詞のどこか社会に反抗的なところが60年代後半の世界的な風潮とピタッと合致していたために若者から熱く支持されたということです。ただ冷静に読むと彼らの詞は女性に対して厳し過ぎて、古めかしくてアナクロニズムを感じさせることは否めませんね。
しかしその点は割り引く必要があるにしても、彼らの功績は偉大です。中国も含む世界の多くの国tで演奏を行い、ロックの代名詞と呼ぶべき存在となっているからです。
とても長い間第一線を維持するのは大変ですが、それができたのは、舌を出す彼らの独特でコミカルな個性のおかげもありますね。
また時代時代によって傾向を変えていった彼らのディスクの目新しさ、即ち同じことは二度としないと言ってよいその姿勢がファンを楽しませてきたことも長く続く人気の秘訣だと思います。
今後ともその活躍が楽しみですね!

フェアウェル / The Farewell
9

移民ファミリーの愛と葛藤の中で揺れ動く女性の成長物語。

NYで物書きを志すアラサー女子ビリーが、従兄弟の結婚式の為に久方ぶりに中国長春(満洲時代の首都)を訪れる。実は結婚式というのは後付けで、ファミリーが集まる本当の理由は、ナイナイ(おばあちゃん)が肺ガンのステージ4だからなのだった。中国ではよっぽどの事が無い限り本人には告知をしないという。アメリカ育ちのビリーにとってそれは誠実ではなく、本人に知らせた方が良いと思っており、周りをハラハラさせてしまう。洋の東西の考え方や習慣の違いに戸惑いながらも、遠く離れていてもよく電話をくれて、個性の強い彼女を可愛がってくれたナイナイに対する気持ちは溢れんばかり。そんな悩めるビリーを、NYクイーンズ出身のコメディエンヌ&ラッパーのオークワフィナ(Awkwafina、「クレイジー・リッチ」でも好演)が繊細かつ真摯に演じており、アジア系俳優初のゴールデングローブ賞、主演女優賞を見事受賞。
ナイナイの長男は若い頃日本へ、次男(ビリーの父親)はアメリカへ渡り、日本育ちの従兄弟はアイコと結婚という設定に、「落地生根」以前、横浜中華街萬珍樓の林兼正さんが何かのインタビューで言っていた、という言葉をふと思い出した。けれどアジアか西洋か、その狭間で生きる事の葛藤というだけでなく、ファミリーの問題はある意味ユニバーサルで、だからこそ単館上映だったのが口コミでじわじわと広がったのに違いない。そして出来たての水餃子や葱油餅が思わず食べたくなってくる作品。

からくりサーカス / Karakuri Circus / Le Cirque de Karakuri
6

からくりサーカス

サーカスでよく使われるからくり人形をモチーフにしたアニメ。
主人公のマサルが一人のサーカスの客寄せである鳴海と出会う所から物語が始まります。
マサルはなぜかひとりでに動くからくり人形(オートマータ)に追われていて、成り行きから鳴海と共に逃げることになります。
しかし鳴海は発作をもっていて、人に笑ってもらうことでしかその発作を止めることが出来ません。
からくり人形から逃げている最中にも発作が起きてしまいますが、誰も男を見て笑うものはいません。
だが唯一マサルだけが鳴海を見て微笑み、武道の経験を活かしてピンチを脱することが出来たのでした。
鳴海はマサルを命の恩人と感謝し面倒を見ることにしましたが、そこに今度はアルルカンという操り人形を操る女・しろがねが現れます。
しろがねはマサルを守るようにと指示されたと言いマサルを連れ去ろうとしますが、鳴海も抵抗し、結局三人で行動することになります。
マサルを狙って度々オートマータが襲ってきますが、しろがねと鳴海は必死に守り抜きます。
そんな二人の姿を見てマサルはいつも泣いていましたが、鳴海に「男はつらい時ほど笑っているものだ」と言われ、強くなると心に決めたのでした。
そんな時、爆発に巻き込まれたマサルを救うため鳴海が命を落としてしまいます。
ここから物語は急展開。
続きは是非ご自身で確かめてみてください!

なんて素敵にジャパネスク
8

少女漫画で2番目に推してる作品

平安時代の貴族が主人公の漫画で、少女漫画(ギャグ漫画以外)で2番目にオススメの作品です。
主人公は平安貴族のお姫様なのに、ガサツ、男まさり、大胆、口が悪い時がある、乱暴、破天荒、型破りなど、とてもお姫様とは思えない性格と行動力です。現職の左大臣の娘なので、超ド級のお姫様なのです。父親である左大臣は、毎日姫様の良縁を考えたくさんの男性を紹介しますが、姫様は頭がよく(知識豊富、知識を知恵に変える力も強い)、理想の男性について、“浮気をしない、たくましい(けど暴力的ではない)、素敵な和歌が詠める、自慢好きではない”など、平安時代の貴族の男性には中々いないタイプを条件としていました。平安時代の貴族は今で言うところの愛人がいるのは当たり前、女性は男性に傾しづくもの、貴族なので大抵はもやしっ子、話好きの自慢大会が当たり前というタイプが大半を占め、流行ですらありました。
条件がとんでもない物でも、左大臣の娘との結婚となれば、権力・財力・名声のすべてが手に入る(女性の家柄が男性の家柄よりも上位であれば、男性は女性の家に見合った位がもらえます)ので、男性たちは猛烈なアピールをしまくります。姫はお見合いのたびにうんざりする状態が長く続きますが、現状を甘んじて受け入れるだけの大人しい姫ではないので、騒動や大波乱がてんこ盛り!最終巻までにはめでたく結婚しますが、その後も大騒動。一度完結しましたが、夫婦生活の話が新たに発売されています。気持ちよくスカッとしたい人は是非読んでみてください。

星野源 / Gen Hoshino
10

星野源の魅力

星野源さんは、音楽活動に留まらず、執筆活動、演劇活動も行なっていて、どれをとっても表現方法が面白い点がすごい。音楽活動でいえば、星野源さんは作詞だけに留まらず、作曲もなさっている点が他のミュージシャンとの違いを感じる。例えば『SUN』(2015年)という曲は、星野源さんが幼少期から憧れの存在であるマイケル・ジャクソンさんの死から出来た曲である。

君の声を聞かせて
雲をよけ世界照らすような
君の声を聞かせて
遠い所も 雨の中も
すべては思い通り
(『SUN』 歌詞1番 サビ)

音楽活動など全くしたことのない私だったら、きっと死から着想して作った曲ならどちらかというと湿っぽいバラードっぽくなるだろうなと思う。でも、ぜひ曲を聴いてみてほしいのだが、星野源さんはサビ部分をとっても死を連想するようなワードはないし、曲調も一曲を通して明るくポップでリズミカルだ。
星野源さんは死という一時的な出来事の部分に着目しているのではなく、幼少期からのマイケル・ジャクソンさんが自分に与え続けてきたスター的なカリスマ性に焦点を当て、明るい曲調にしていることがすごいなと思う。
執筆活動でいえば、星野源さんは最初文章が上手に書けるようになりたいと思い、周りの人から無理だよと言われても諦めず、自分で出版社に持ち込みをして連載を始めたと自身の著書で述べている。
その時点で応援したくなるが、星野源さんの書く文章はどれも良い意味で力の抜けたような脱力感もありつつ、時折本質を突いてくるよな文章をお書きになっている点が魅力的だ。
演劇活動をとっても、最初はノルマ制のあるチケット発売をしながら演劇活動を始め、地道に経験を重ね、かの有名な大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で主演をつとめている。
このように、星野源さんはもともとあった自身の魅力を自分で売り込みにいき、努力を重ね今の栄光があるという、素敵な人物である。
音楽活動をしていない人でも、その姿勢から得られるものは大きいと思う。これからも応援していきたい。