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tkhrhs297のレビュー・評価・感想

冷たい熱帯魚
10

血が苦手な方はいやかも。

園子温監督の「冷たい熱帯魚」は日本で現実にあった事件をモチーフにしてできた作品です。
「愛犬家殺人事件」と聞けば若い人は知らないかもしれませんが、この事件を知っている年代なら「こんなことがあったなんて!」と人間の欲望の闇に驚愕します。魚を高く売ることで儲けようとする人や誰よりも多くお金が欲しい!といった欲の一線を超えてしまった人が、犯人の毒牙にかかってしまいます。この犯人役はでんでんさんが演じていますが、笑っているのに目の奥は深淵のようで、見ていると心に恐怖が沸き起こります。

人を解体するシーンがありますので、血が苦手な方は目隠ししてください。一番難しい解体場所まで、映画を観ている自分がその場にいるような気持ちになります。園子温監督の作品は必ず血生臭いものばかりで、手術室勤務していた自分ですら血の臭いがしてきそうな錯覚に陥りました。でんでんさんは笑いながら人を解体してしまいます。「今調理の仕込み中だから待っててくれ?」というセリフが本当に事件にあったのなら犯人は鬼か悪魔のようです。金銭欲や愛欲を従わせる為に巧みに使う犯人は、人の欲の深淵に近いのかもしれません。ニーチェの「怪物を知ろうと思ったら、自らが怪物にならなければ理解できないだろう」という言葉を思い出しました。
また園子温監督のこだわりなのか、映される教会やマリア像がまるで【あなたは違うといえる?】と問われているように感じます。実は誰もがもちあわせている闇を出すか、出さないか?そう問われている映画かもしれません。

実際の事件にたまたま加担することになった共犯者が手記を書いていますので、映画を観た後に読むことをお勧めします。ホラーやゾンビ、幽霊より怖いのは人間なのです。

最強のふたり / Intouchables
9

至極の作品

見出してから、「これはフランス映画なんだな」と気づいたくらい全く予備知識なく、Netflixにログインしたらトップに出ていたので取り敢えず再生したら、ハマってしまいました。コメディではあるんですけど障がい者との接し方を含めた現代において問題となっている重い内容で、自分の個人的な今の環境と重ね合わせて、考えさせられるところがありました。排泄介助をするよう指示された場面の主人公のリアクションはコミカルに描かれてましたが、身内の介護なんかでまず一番の難関はそこなのです。移民の若者と富豪の障碍者とのふれあいがメインですが、移民の若者の成長の物語としての側面もあり、そこも見どころの一つだと思います。無鉄砲で、決して真面目な人間というわけではないですが、根はいい人間で、介護を通して成長し、その周囲の人間も触発され、少しずつ変わっていきます。エンディングに流れるテロップや画像ではじめて実話をもとにしているということを知り、ちょっと驚いてしまいました。観た後ネットで調べるとかなりの人気作品だということがわかりましたが、それも納得です。ジャンルの好み関係なく、一度は見るべき作品だと思います。