sitone@sitone

sitone
sitone
@sitone
21 Articles
4 Reviews
0 Contributions
0 Likes
sitone

sitoneのレビュー・評価・感想

少年の君
10

いじめ、受験戦争、貧困、、、逆境に抗う2人の物語

俳優としても活躍するデレク・ツァンの監督作品。主演は中国の国民的妹チョウ・ドンユイと、アイドルグループTFBOYSのイー・ヤンチェンシー。
第93回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされた青春映画です。

【あらすじ】
チョウ・ドンユイ演じるチェン・ニェンは、大学受験を控える高校三年生。高校では陰湿ないじめが繰り返されており、チェン・ニェンも標的にされてしまう。いじめに耐え、ただただ大学受験の日を待つ中、下校中に集団暴行を受けていたシャオベイに出会う。優等生のチェン・ニンと裏の社会で生きる不良のシャオベイは全く違う生き方をしていたが、お互いに孤独を感じており互いに引かれ合っていく。

いじめや受験、貧困などテーマは普遍的で、優等生と不良という設定も珍しくありませんが、懸命に毎日を生き抜くふたりの姿には胸を打たれる作品です。出口がみえない暗い世界の中で、いつか世界は変わると信じてお互いがお互いを守り合い、信頼しあっていく様子がとても感動的です。
特にチョウ・ドンユイとイー・ヤンチェンシーの演技が素晴らしい!顔アップのカットが多いのですが、その表情だけでほっとし、辛くなり、悲しくなり、何を想っているのかまっすぐに伝わってきます。
135分と長編の作品ですが、無駄がなく、これから2人はどうなってしまうのだろうと釘付けでした。

東京卍リベンジャーズ / 東卍 / 東リベ / Tokyo Revengers / Tokyo卍Revengers / 東京リベンジャーズ
10

ヤンキーたちの熱き物語

とにかくこの作品の魅力は『ヤンキーたちがかっこよすぎるんです』。仁義とでもいうんでしょうか。暴力をふるうことはあっても弱い者には手を出さない東京卍会。他の不良グループは弱いものいじめや、女にも手を出すような輩もいますが、東京卍会はごく一部の人を除いてはそんなことはしないわけです。そんな男としての『在り方』を見せつけられると面白いなと感じてしまいます。僕は学生時代はヤンキーに割と嫌悪感をもっていました。しかし、ヤンキーに対しての見方がほんとに変わったなと思いました。「ヤンキーってこんなに情に熱いんだ」と感心したんです。まぁ現実にはこれだけかっこいいヤンキーはいないかなと思いますが、自分の中の価値観を変えてくれた作品であることは間違いないです。あとは登場人物たちひとりひとりがとても魅力的だなと感じます。力は弱いけど、諦めない強いハートをもっているキャラもいれば、圧倒的な戦闘力をもっているけど、心にとてつもない闇を抱えているキャラもいます。自分の強さを活かすことで、仲間の弱さをカバーし合っている姿がとても印象的です。ヤンキー漫画を読みながら、仕事やビジネスにも応用可能だなとおもえてしまいます。マンガを読むことを楽しみながら、実生活にも役立てられるたらとてもいいですよね。とてもおすすめの本なので良かったら読んでみてください!

やがて君になる / やが君 / Bloom Into You
10

さて、芽生えたものはなんだろうか。

『Bloom Into You』——。そんな副題を持つ『やがて君になる』という物語は、恋愛感情が理解できないことに悩む主人公・小糸侑が、眉目秀麗の先輩・七海燈子が告白を受けている場面を覗き見てしまうところから物語が始まる。
侑は橙子の、「誰にも恋愛感情を持たない」部分に親近感を抱くのだが、橙子は侑の、「誰かを特別に思わない」部分に惹かれてしまう。
一話でいきなり前提が覆る展開となる。「先輩は私と同じじゃないんですか」と作中で侑が呟くのだが、一話の展開に揉まれた読者の心の言葉だろう。そして、橙子が侑に惹かれた理由には彼女の生い立ちに起因するものがあり……と話が大きく膨らんでいく。
橙子の感情を受けて侑はどうするのか?橙子が侑に惹かれた理由は何か?そして二人の関係はどうなるのか?
ここであらかじめ言っておきたいことは、ジャンルこそ女の子同士の恋愛、すなわち百合に分類されるのだが、物語を読んだ人間ならばその枠にとどまらないことが言えよう。確かに濃厚な百合表現が含まれる。しかし侑と橙子が、お互いの関係性や周囲の人間関係において悩み、もがいている姿は、「誰かを好きになる」「誰かを特別に想う」時に誰にでも起こりうる普遍的なものなのだ。
「女の子同士の恋愛なんて」のような百合作品に多く見受けられるテーマはこの作品には見受けられない。あくまでも主題は「人を好きになることはどういうことなのか」なのである。
『やがて君になる』は、普段考えているようで、身近にあるのに漠然として分からない感情を鋭く切り込んだ漫画なのである。
物語が進み、周りの感情を巻き込みながら(佐伯沙弥香を筆頭に、脇を固めるキャラクターがまた良い味を出している)、侑と橙子の関係は結末を迎える。
「好きってなに?」「特別になるってなに?」と、ふたりが積み重ねた感情を行末を読むと、きっと「好き」という気持ちについてのひとつの納得が、読者の心に芽生えることだろう。

おはようとかおやすみとか
8

家族とは

このマンガは、主人公の腹違いの妹3人が突然家にやってくる物語ですが、当然初めて会う妹たちを受け入れられません。しかし、すぐには受け入れられなくても徐々にお互い認めていき、「家族」になっていく物語です。
これに私はとても感動しました。
自分が同じ境遇にあったらと考えたとき、私もすぐに受け入れることはできないでしょう。小学生の双子と高校生を自分ひとりで面倒を見なくてはいけないので、今までの生活が全て変わってしまいます。
しかし、兄妹たちが徐々に受け入れ、家族っぽいことをしたい。や、家族になれているだろうか。というところで「家族」について読者にもかんがえさせられるなと感じました。
タイトルにもあるように、家族では「おはよう」や「おやすみ」は当たり前のことです。私はそう思っています。でも当たり前じゃないというのをこの漫画では感じさせられました。
自分が家族を持ったとき、家族らしいことができるのか、そもそも家族とは何なのか、普通の家庭になれるのか、その普通とは何なのか。など、普通や一般を考えてしまうが、世間で言う「普通」は存在しないことや「家族」と決めつけて縛られるような、家族はそんな重たいものではない、家族になりたいから家族なんだと感じさせられました。