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noacm3のレビュー・評価・感想

キリエのうた
10

3時間が短く感じられる映画

2時間58分。これは岩井俊二監督の『キリエのうた』という音楽映画の上映時間だ。約3時間というこの上映時間を知って、観に行くか迷う人もいるかもしれない。でも、素敵な音楽と物語に包まれた非常に心地良い3時間は、寧ろ短く感じられる。

『キリエのうた』は、元「BiSH」のアイナ・ジ・エンドが主演を務め、主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」を歌唱、その他6つの劇中曲を制作した。どの曲もとても素敵で、劇中の映像と相まってさらに儚く、綺麗に聞こえる。メインキャストは「SixTONES」の松村北斗、黒木華、広瀬すずととても豪華で、役柄の魅力がより一層引き立てられて見えた。

この監督の映画は独特な世界観や音楽性で人気で、この作品に関してもファンからの期待の声が多かった。実際、ありがちな言葉で綴りたくない雰囲気と中毒性を含んでおり、その独特な世界観に、映画館という空間がじわじわと染められていく感覚があった。
考えさせられるという意味では凄く引きずる作品にも関わらず、何故か心の蟠りを解いてくれるような心地よさもあり、不思議な魅力を感じた。
1度見るだけでは満足できない感覚が本当に堪らない。この作品を機に岩井俊二監督の作品に興味を持つ方も多いのではないだろうか。

GLAY / グレイ
10

「解散しないバンド」メンバー仲が良いのも推せるロックバンド

メンバー全員が函館出身で、学生時代からの友人及び知り合いという長い歴史があるロックバンド。
ボーカルTERU、ギターTAKURO、ギターHISASHI、ベースJIROの4人組です。
1999年に幕張メッセで行われた「GLAY EXPO '99 SUVIVAL」、所謂「20万人ライブ」は単独アーティストで20万人を動員した、伝説のライブとも言われています。
しかしご本人達の人柄は「伝説」や「ロック」といったイメージとは、良い意味で全く異なります。

ボーカルのTERUさんは昔から天然さん。ライブのMCでも思ったことをそのまま話してしまうので、メンバーやお客さんが「ん??」となる場面も多々あります。愛されキャラでメンバー・スタッフ・ファンのみんなからあたたかく見守られている存在。実現できるか分からないような大きな夢も、自分の言葉でしっかりと伝えてくれるカッコ良い一面もあり、思わず付いていきたくなる存在でもあります。
TAKUROさんはGLAYのことが本当に大好き。そして愛妻家でもあります。
クールに見えるHISASHIさんは実はとってもファン想い。
年齢不詳でカッコイイJIROさんが、コンサートのセットリストをメインで考えてくれています。

バランスの良い4人はとっても仲良しで、4人が集まればいつも楽しそう。
「解散しないバンド」とライブMCなどで公言してくれているので、安心感をもって応援し続けることができるバンドです。

Angel Beats! / エンジェル ビーツ
8

死と向き合い、死と別れる。死んでもなお戦い続ける若者たちの物語。

本作は、理不尽な死を遂げた男女たちが、死後の世界で「神」という存在に抗っていく、
という少し風変わりな青春群像劇だ。

このアニメの見どころのひとつは、ギャグとシリアスの絶妙なバランスの良さだ。
死後の学園で、仲間たちとドタバタコメディをしながら敵と戦う日常面と、
死者それぞれの死んだ理由がエピソードとして語られる、シリアス面。
どちらも多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい塩梅で構成されている。

日常面は敵とは銃器を使って戦っているものの、学食の食券を奪いあったりなど、理由がくだらなく、
命がけで戦うというよりは、「生徒が学校に自分たちの権利を主張している」といったほうがしっくりくる。
それを個性豊かなキャラクターたちが大真面目でやっているのが、シュールで面白い。

シリアス面は少し重い雰囲気もあるが、「生と死」について考えさせられる、一種の教訓のような要素が盛り込まれている。
また、死を通して仲間同士で様々な「愛情」のようなものが見えてくるのも、重苦しい設定を温かく包み込んでいるように感じる。

もうひとつ見どころとして挙げておきたいのが、劇中歌として流れる音楽だ。
ただし劇中歌といっても、ただアニメの背景として流れるものではなく、歌を陽動作戦の「武器」として組み込んでいるのが、
このアニメならではの特徴と言えるだろう。また、この劇中歌を歌う、「Girls Dead Monster」というガールズバンドも、パワフルな歌声と、
可愛らしい女の子たちが魅力なので、ぜひ注目していただきたい。

最後に、このアニメの残念だったポイントを挙げておく。それは最終話のラストシーンだ。
いろいろな困難を乗り越え、最終的に成仏する道を選んだ主人公たちが最後に卒業式を行い、感動のフィナーレへ…
ここまでは良かったのだが、他のメンバーが成仏して、最後の最後で主人公がヒロインと二人でここに残ろうと提案する。
成仏しようと提案したのは主人公なのに、それを完全に裏切るような形で今までの感動だ台無しになってしまったような気がして、
非常に残念なラストでした。最後にヒロインがその提案を拒否したときは、少し安心してしまったくらいだ。

このように残念なポイントはあれど、全体的にはとても充実したストーリーで、キャラクターも個性豊かで、面白いアニメだったと感じる。
いつもとは一味違う学園アニメを見たい人、アニメ系の音楽に興味がある人にはぜひ見ていただきたい作品だ。

恋は邪魔者
8

ニューヨークの女性の自立をうちたてたキュート・サクセスストーリー

1962年ニューヨークを舞台に、「恋は邪魔者」の筆者の女性サクセスストーリーです。
現代ではあまり聞いたことはありませんが、1962年当時の社会は男性中心でオフィスで働く女性の仕事はお茶汲みなど軽く考えられていました。
その中で主人公バーバラは、仕事をするのに恋はジャマ、の内容の本「恋は邪魔者」を出版し、ベストセラーになり、アメリカ中の女性達に希望とやる気をあたえ女性が活躍する出版会社までつくってしまいます。
お堅い映画ではなく、軽快なジャズにのせピンクのかわいいスーツを着こなしたバーバラが踊るように活躍していきます。
60年代の大きなエリのスーツや個性的な靴などファッションもオシャレです。
男女のきわどい映像や日本食レストランの中庭に大きな石のビリケン像など、映像の細部もこっています。
女性の自立の映画は男性に敬遠されそうですが、カジュアルに仕上げることで最後まで楽しめる映画になっています。
自分をふった男性に振り向いてもらうため、計画を立てて見事に男性をふりむかせますが、自分の書いた本に励まされ自立を選ぶ主人公の成長ぶりがうれしくなる、すがすがしい映画です。
「男性が悪いのではなく、仕事する環境が悪かった。」は日本にもあてはまるのではないでしょうか。