死と向き合い、死と別れる。死んでもなお戦い続ける若者たちの物語。
本作は、理不尽な死を遂げた男女たちが、死後の世界で「神」という存在に抗っていく、
という少し風変わりな青春群像劇だ。
このアニメの見どころのひとつは、ギャグとシリアスの絶妙なバランスの良さだ。
死後の学園で、仲間たちとドタバタコメディをしながら敵と戦う日常面と、
死者それぞれの死んだ理由がエピソードとして語られる、シリアス面。
どちらも多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい塩梅で構成されている。
日常面は敵とは銃器を使って戦っているものの、学食の食券を奪いあったりなど、理由がくだらなく、
命がけで戦うというよりは、「生徒が学校に自分たちの権利を主張している」といったほうがしっくりくる。
それを個性豊かなキャラクターたちが大真面目でやっているのが、シュールで面白い。
シリアス面は少し重い雰囲気もあるが、「生と死」について考えさせられる、一種の教訓のような要素が盛り込まれている。
また、死を通して仲間同士で様々な「愛情」のようなものが見えてくるのも、重苦しい設定を温かく包み込んでいるように感じる。
もうひとつ見どころとして挙げておきたいのが、劇中歌として流れる音楽だ。
ただし劇中歌といっても、ただアニメの背景として流れるものではなく、歌を陽動作戦の「武器」として組み込んでいるのが、
このアニメならではの特徴と言えるだろう。また、この劇中歌を歌う、「Girls Dead Monster」というガールズバンドも、パワフルな歌声と、
可愛らしい女の子たちが魅力なので、ぜひ注目していただきたい。
最後に、このアニメの残念だったポイントを挙げておく。それは最終話のラストシーンだ。
いろいろな困難を乗り越え、最終的に成仏する道を選んだ主人公たちが最後に卒業式を行い、感動のフィナーレへ…
ここまでは良かったのだが、他のメンバーが成仏して、最後の最後で主人公がヒロインと二人でここに残ろうと提案する。
成仏しようと提案したのは主人公なのに、それを完全に裏切るような形で今までの感動だ台無しになってしまったような気がして、
非常に残念なラストでした。最後にヒロインがその提案を拒否したときは、少し安心してしまったくらいだ。
このように残念なポイントはあれど、全体的にはとても充実したストーリーで、キャラクターも個性豊かで、面白いアニメだったと感じる。
いつもとは一味違う学園アニメを見たい人、アニメ系の音楽に興味がある人にはぜひ見ていただきたい作品だ。