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mamu032のレビュー・評価・感想

火垂るの墓 / Grave of the Fireflies
9

「火垂るの墓」を伝える。この先もずっと

「昔があって今がある」戦争の作品の多くはリアルであり、私はなんとなく怖くて見ることはほとんどありません。
戦争は物語ではなく、お芝居でもない、現実に起こったこと。事実なのです。そんな数ある戦争映画の中でも、「火垂るの墓」は、戦争へ行った兵隊さんの話ではなく、また、兵士を見送り、帰りを待つ家族のお話とも少し違います。両親がいなくなり、子供だけで生きていかなくてはならない現実。
毎年、終戦日近くになるとテレビで放送されていた「火垂るの墓」を我が家でも子供達とよく見ていました。息子と娘がちょうど「清太と節子」と同じくらいの歳の差の兄妹ですので「お兄ちゃんならどうする?」「せっちゃんみたいになったらどうする?」と、よく子供達と話し合ったものです。
だからでしょうか…私は、この作品を見ると喉の奥がギューッとなり涙がポロリとこぼれそうになるのです。もう少し大人の人に頼ることができたら…と。
もう少し、2人を気に掛けてくれる大人の人がいればまた違ったのかな、と。でも、きっと、「清太と節子」と同じような子供達がいっぱいいたんだろうな、そんな時代だったんだろうな…と思うと切なくなるのです。
もし私に魔法が使えたのなら、あの兄妹を今の世界に連れてきて甘いケーキをお腹いっぱい食べさせてあげたい、泡の大きなお風呂に入って、ふかふかのお布団で寝かせてあげたい…と思うのです。

戦争の原爆の犠牲者の方の人数は終戦から年月が経っても、増えています。でも、戦争の経験者の人数は減っているのも確かです。実際に経験している方々にしてみたら、昨日のことのように思い出すかもしれません。そして、思い出したくないことも沢山あると思います。それでも、起こった事実は後の人たちに伝えていかなくてはいけないのです!誰かが作った「物語」になってはダメなのです。「昔話の世界で起こったことではなく、ほんとに起こった事実だということ」を。今の幸せな日本は、過去の歴史があって成り立っているという事を忘れずに。そして今を大事に生きていかないといけないよ、ということを伝えて行きたいと思います。

閉鎖病棟 ―それぞれの朝―
8

精神科病院の今

ある精神科病院の話なのだが、考えさせられる映画だった。
死刑執行が失敗し生きながらえた笑福亭鶴瓶が演じる秀丸と、幻聴に悩まされる綾野剛が演じるチュウさん。ここに入院してくる小松奈々が演じる由紀。まずキャストが良い。シリアスな内容だけに演技力が求められるのではないかと思う。実際演技力ですごく引き込まれた。
知らない人からしたら、精神科病院、ましてや閉鎖病棟なんて頭のおかしい人がいる場所。病院の近くに住む人たちが、入院患者に対して「最近人権がどうとかってうるさい」と話すシーンがあるのだが、これが案外衝撃的で、精神患者に人権なんてないって思ってる人がいるんだと思うと悲しくなる。
彼らはみんな事情があって、もちろん事情がない人なんかいない。明日は我が身じゃないけれど、もっと身近な問題だと思う。人間の醜さが見えた半面、これから前を向いて生きていく、そんな不思議な気持ちにさせられる映画だった。
法廷でのシーンが出てくるが、泣ける。真実だけが事実ではないが、なんとも言えない気持ちになる。死刑執行が失敗して病院にきた殺人犯の秀丸だが、彼には人権はないのだろうか。
その他の患者さんだってそうだ、ちょっと問題はあるのかもしれないが、普通に会話はできるし問題なく生活できる人もいる。
みんなが少しだけ関心をもって、もう少し優しくなれれば偏見や差別もなくなるんじゃないか。そうしたら精神科病院に入院する人も減るんじゃないかと映画をみて私は思った。