火垂るの墓 / Grave of the Fireflies

火垂るの墓 / Grave of the Fireflies

『火垂るの墓』とは、自身の戦争体験を題材にした野坂昭如の短編小説を元に、監督と脚本を高畑勲、新潮社とスタジオジブリが製作した劇場用長編アニメーション映画。1988年4月16日から東宝系で公開された。第二次大戦下の兵庫県神戸市と西宮市近郊を舞台に、父の出征中に母が亡くなってしまった14歳の兄・清太と4歳の妹・節子が、終戦前後の混乱の中を必死で生き抜こうとする姿を描いた物語。

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火垂るの墓 / Grave of the Fireflies
9

「火垂るの墓」を伝える。この先もずっと

「昔があって今がある」戦争の作品の多くはリアルであり、私はなんとなく怖くて見ることはほとんどありません。
戦争は物語ではなく、お芝居でもない、現実に起こったこと。事実なのです。そんな数ある戦争映画の中でも、「火垂るの墓」は、戦争へ行った兵隊さんの話ではなく、また、兵士を見送り、帰りを待つ家族のお話とも少し違います。両親がいなくなり、子供だけで生きていかなくてはならない現実。
毎年、終戦日近くになるとテレビで放送されていた「火垂るの墓」を我が家でも子供達とよく見ていました。息子と娘がちょうど「清太と節子」と同じくらいの歳の差の兄妹ですので「お兄ちゃんならどうする?」「せっちゃんみたいになったらどうする?」と、よく子供達と話し合ったものです。
だからでしょうか…私は、この作品を見ると喉の奥がギューッとなり涙がポロリとこぼれそうになるのです。もう少し大人の人に頼ることができたら…と。
もう少し、2人を気に掛けてくれる大人の人がいればまた違ったのかな、と。でも、きっと、「清太と節子」と同じような子供達がいっぱいいたんだろうな、そんな時代だったんだろうな…と思うと切なくなるのです。
もし私に魔法が使えたのなら、あの兄妹を今の世界に連れてきて甘いケーキをお腹いっぱい食べさせてあげたい、泡の大きなお風呂に入って、ふかふかのお布団で寝かせてあげたい…と思うのです。

戦争の原爆の犠牲者の方の人数は終戦から年月が経っても、増えています。でも、戦争の経験者の人数は減っているのも確かです。実際に経験している方々にしてみたら、昨日のことのように思い出すかもしれません。そして、思い出したくないことも沢山あると思います。それでも、起こった事実は後の人たちに伝えていかなくてはいけないのです!誰かが作った「物語」になってはダメなのです。「昔話の世界で起こったことではなく、ほんとに起こった事実だということ」を。今の幸せな日本は、過去の歴史があって成り立っているという事を忘れずに。そして今を大事に生きていかないといけないよ、ということを伝えて行きたいと思います。