閉鎖病棟 ―それぞれの朝―

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閉鎖病棟 ―それぞれの朝―
8

精神科病院の今

ある精神科病院の話なのだが、考えさせられる映画だった。
死刑執行が失敗し生きながらえた笑福亭鶴瓶が演じる秀丸と、幻聴に悩まされる綾野剛が演じるチュウさん。ここに入院してくる小松奈々が演じる由紀。まずキャストが良い。シリアスな内容だけに演技力が求められるのではないかと思う。実際演技力ですごく引き込まれた。
知らない人からしたら、精神科病院、ましてや閉鎖病棟なんて頭のおかしい人がいる場所。病院の近くに住む人たちが、入院患者に対して「最近人権がどうとかってうるさい」と話すシーンがあるのだが、これが案外衝撃的で、精神患者に人権なんてないって思ってる人がいるんだと思うと悲しくなる。
彼らはみんな事情があって、もちろん事情がない人なんかいない。明日は我が身じゃないけれど、もっと身近な問題だと思う。人間の醜さが見えた半面、これから前を向いて生きていく、そんな不思議な気持ちにさせられる映画だった。
法廷でのシーンが出てくるが、泣ける。真実だけが事実ではないが、なんとも言えない気持ちになる。死刑執行が失敗して病院にきた殺人犯の秀丸だが、彼には人権はないのだろうか。
その他の患者さんだってそうだ、ちょっと問題はあるのかもしれないが、普通に会話はできるし問題なく生活できる人もいる。
みんなが少しだけ関心をもって、もう少し優しくなれれば偏見や差別もなくなるんじゃないか。そうしたら精神科病院に入院する人も減るんじゃないかと映画をみて私は思った。