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kuroking5554のレビュー・評価・感想

北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest
9

マンガの中でアイスランドを旅する

『乱と灰色の世界』などの代表作をもつ入江亜季先生による、探偵業を営む主人公・御山慧(みやまけい)がアイスランドを舞台に様々な依頼を解決していく作品。
この作品のオススメポイントは、なんといっても入江先生の独特な世界観・自分物設定と、繊細で細やかな絵柄で表現されるアイスランドの風景描写。

主人公の御山慧(日本人17歳)は「美女とアルコールが苦手」、「肉が好き」、そして「機械と話すことができる」という不思議な力を持っている。
また、不思議な力で人を殺めた疑いがあり警察に追われている慧の弟・御山三知嵩(みやまみちたか)や、第六感のような力があり独特な雰囲気をまとうアイスランドの住人リリヤなど。独特な人物たちが様々な思い・思惑を抱えており、読み進めるほど一人一人に愛着や人間としての底知れぬ恐怖を抱いてしまう。

また、類を見ないアイスランドを舞台にしている作品だが、広大な自然が繊細なタッチで描かれているためついついアイスランドへ旅行に行った気分になってしまう。
そんな広大な自然の中で、営まれるアイスランドの生活・文化を垣間見ることもでき、読めば読むほどアイスランドに行きたくなること間違いない。

もちろんストーリーも作り込まれている。慧が探偵として解決していく「依頼」は、一見、一つ一つが独立しているようにみえるが、実はすべてがつながっており、読み進めるほどに入江先生の圧倒的な世界観にのめり込んでしまう作品だ。

進撃の巨人 / Attack on Titan
8

読めば読むほど深みにハマる名作

テレビアニメ化や実写映画化を果たし、一時期は社会現象ともなった作品。
序盤は王道の少年漫画らしく少年少女の葛藤や巨人への恐怖に対する反骨心が強く描かれているが、終盤になり世界構造が明らかになるにつれ物語は複雑に、物々しい空気を纏っていきます。
特に物語開始当初の一つの到達点とされていた海にたどり着いて以降はそれまで描かれていた物語の時間軸から時が経ち、これまで閉ざされていた世界の謎が次々と明かされていきます。わからなかったことが明らかになることにカタルシスを感じる人にとってはそこを読み進めることで深い感動を得ることができるかもしれませんが、自分のわからないことがあるまま物語が進行してしまうのが嫌という方には終盤の空気感は合わないかもしれません。
特に単行本最終巻の本編最終ページの描写には謎が多く、ネット上でも物議を醸していた印象です。
実写映画に関してはオリジナル要素を多分に含む構成であり、独自の世界設定で賛否両論のままに物語は完結しましたが、テレビアニメに関してはファイナルシーズンが未完結であり、原作漫画で明かされなかった謎や伏線に対する回答が追加されるかもしれません。
完結した漫画ですが、まだまだ今後の展開が楽しみな作品だと思います。