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koara08318のレビュー・評価・感想

傷モノの花嫁~虐げられた私が、皇國の鬼神に見初められた理由~
8

異世界ツンデレにうっとり

時代は明治。
鬼や妖怪が人間と共存している設定になっているのがこの漫画の特徴ではありますが、そんな些細な設定などどうでもよくなってしまうほどの格好いいヒーローが「皇國の鬼神」椿夜行さま。
血を吸わないと生きていけない「鬼椿」とよばれる体質が災いして、なかなか嫁取りができなかったところに、「白蓮寺家に虐げられている霊力が高い娘がいるとかいないとか」という噂を小耳にはさみます。
興味をもった夜行さまが白蓮寺で目にしたのは、想像以上にひどい扱いを受ける娘、菜々緒。
菜々緒は従姉の陰謀によって「傷モノ」にされたため、本来ならば白蓮寺家の次期当主の嫁になるはずだった程の高い霊力を持っているにも関わらず、猿の面をつけることを強要され、言葉を発することを禁じられて、人目を避けるように暮らすことを強いられていました。
怪我をした菜々緒の血を舐めた夜行さまは菜々緒の霊力の高さを瞬時に悟り、菜々緒を自分の嫁にしたいと申し出て白蓮寺家から菜々緒を助け出します。
普段は冷徹な夜行さまが、菜々緒に向ける優しさが駄々洩れな視線にこっちまでうっとり。
ツンデレの王道をいく夜行さまと菜々緒の絡みは何から何までシンデレラストーリ。
2人を邪魔する典型的な頭の悪いヒールも夜行さまのツンデレをいい感じに刺激して、続きが気になること間違いなしの作品です。

告白
9

湊かなえ原作の映画『告白』

こちらの映画は、湊かなえの原作小説を2010年に映画化したものです。作品タイトルに沿って、中学校で起こった事件について学生間で告白していく心理描写が、事細かく残酷に再現性高く描かれており、命の重さを伝えるサスペンス映画となっております。

主人公松たか子演じる中学校教師、森口の娘が学校内で遺体となった事件を告白し始めたことを皮切りに、事件にまつわる出来事や、人間関係にひびが入ったクラスの生徒たちの告白が始まっていきます。
終業式で森口は事件の真相を実は知っていたことが判明。加害者である生徒二人の給食に出てきた牛乳にHIVウイルスに感染している森口の夫の血液を混ぜたことをカミングアウトを告白し、クラスを騒然させます。
加害者Aは学校に来なくなり、Bはクラス内で過激ないじめを受けることとなり、森口の復讐を晴らすとともに命の重さを生徒たちに実感させ、そこで巻き起こっていく生徒たちのストーリーが、一人ひとりの視点で告白されていきます。

この映画の特徴的なところは、他のサスペンス映画によくある、実際にはないようなぶっ飛んだ殺人事件や大規模なものではなく、それぞれの人間の行き過ぎた行動によって悲劇が起こるという点です。現実社会でも目にする出来事描かれており、それが鳥肌が立つような生々しさを感じさせ、一気に映画の世界に引き込まれます。人間の汚らしさ、愚かさ、冷酷さを体感させられるのです。
娘を殺されたとしても、普通は教師が自分のクラスの子の給食にウイルスを入れたりしないでしょう。しかし主人公の森口は命の重さを分からせるべきだと、生徒の今後の生活が脅かされることになりようとも、実行する復讐心の強さと狂気さを見せるのです。

生徒同士のいじめもあまりに行き過ぎてゾッとさせられます。出演者の生徒たちまで含めて演技がとても上手く、作画や音響も映画の重暗い雰囲気にマッチして、まるで本当の中学校のクラスを見ているようで、映画を見ている人も憂鬱な気分になり、道徳観や命の重さを考えさせられます。
好き嫌い、賛否両論ありますが、人間同士のリアリティなサスペンスが見たいという方には、是非見て欲しい作品です。

フジファブリック / Fujifabric
8

適度な脱力とポップさ、独特なセンスが抜群

3人組のシンセロック系バンド。2009年にメインボーカルの志村が急逝するという出来事があったが、その大きなショックを乗り越え、残ったメンバーで活動を継続している。あの強烈な個性を持った作詞作曲ボーカルを務めていた志村の亡き後も、こうして活動を続けられていることそののものが、今のフジファブリックのメンバーたちの音楽性の高さを証明していると言えるだろう。どこか奇妙で、聴いていて耳に残る不思議なメロディや歌詞、そういった良さは昔から変わらず、しかし以前にもましてポップな雰囲気をまとったバンドになり、聴き心地が良くファンが増えるのも納得だ。最大の特徴は適度に脱力して、適度にロックしているというところだ。あれもこれもと詰め込むのではなく、ふわっと力を抜き、音の数を多くしすぎないところは、他のミュージシャンと比べて特筆すべきポイントだ。それでいて、音作りや曲の全体の雰囲気などは細かいこだわりも聞き取れる。そのバランス感覚が絶妙なバンドだと言える。いわゆる脱力系のミュージシャンとは違って、決して癒やしやゆるさを売りにしているのではなく、程よくロックな音楽もあるところが良いのだ。聴いていて疲れないし、飽きのこないバンドである。