適度な脱力とポップさ、独特なセンスが抜群
3人組のシンセロック系バンド。2009年にメインボーカルの志村が急逝するという出来事があったが、その大きなショックを乗り越え、残ったメンバーで活動を継続している。あの強烈な個性を持った作詞作曲ボーカルを務めていた志村の亡き後も、こうして活動を続けられていることそののものが、今のフジファブリックのメンバーたちの音楽性の高さを証明していると言えるだろう。どこか奇妙で、聴いていて耳に残る不思議なメロディや歌詞、そういった良さは昔から変わらず、しかし以前にもましてポップな雰囲気をまとったバンドになり、聴き心地が良くファンが増えるのも納得だ。最大の特徴は適度に脱力して、適度にロックしているというところだ。あれもこれもと詰め込むのではなく、ふわっと力を抜き、音の数を多くしすぎないところは、他のミュージシャンと比べて特筆すべきポイントだ。それでいて、音作りや曲の全体の雰囲気などは細かいこだわりも聞き取れる。そのバランス感覚が絶妙なバンドだと言える。いわゆる脱力系のミュージシャンとは違って、決して癒やしやゆるさを売りにしているのではなく、程よくロックな音楽もあるところが良いのだ。聴いていて疲れないし、飽きのこないバンドである。