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akky551

akky551のレビュー・評価・感想

THE BACK HORN / ザ・バックホーン
8

日本のオルタナティブを牽引する存在

世界観が強く描かれている音楽は、人の心を掴んで離さない。
ミュージシャンが描く世界観がリスナーとマッチしていれば尚の事、人生をそのまま捧げられるかもしれない。
THE BACK HORNは、日本のオルタナティブロックの中で多くの人々を魅了し、古くからのファンを維持している存在である。
最初にTHE BACK HORNの世界にリスナー引きずり込むのは、ボーカル山田将司の歌声だ。
血管が千切れんばかりに歌い、人を惹きつける彼の力強いハスキーボイス。魂の歌声というのは、こういう声なのかもしれない。
彼らの曲は、時におどろおどろしい暗闇の世界を描き、時に優しく包み込むレースのヴェールのようでもある。
曲の世界観の多くを作り上げているのは、ギターの菅波栄純。そこに、ベースマガジンの表紙を飾る程の実力派岡峰光舟のベースと、ドラム松田晋二が土台を作り上げ、支える。
不規則で飽きのこないメロディはもちろん、歌詞の言葉選びも、まるで本を読んでいるかと錯覚する程素晴らしい。
それほど、プロの業を見せつけている彼らだが、ライヴのMCではおっとりとした東北の訛りが耳に入る。まるで実家のこたつで久しぶりに会った、親戚のお兄さんと世間話をしている雰囲気だ。
CDだけではわからない、彼らの魅力はライブでこそ輝く。
THE BACK HORNの曲を1曲試しに聴いて欲しい。もし、その世界観に少しでも良さを覚えたら、既に彼らの音楽に引き込まれてしまっているのかもしれない。

整形水
9

本当に“外見だけ”で人生は決まるのか?

タイトルに相応しく、この映画の舞台は整形大国である韓国。
主人公はTV局で裏方として働く女性、イェジ。
しかし肥満体型で容姿が醜いために職場でも日常生活でも散々な扱いを受けてしまっている。
更にとある些細なきっかけでイェジの画像はネットに晒されてしまい、それが原因で誹謗中傷のメッセージまで届く始末。そんな彼女の元に天の救いのごとく現れたのは”整形水“というド直球すぎる名前の化粧品。
なんでもその”整形水“に浸せば、顔だけでなく全身までも理想の形に作り変えられてしまう。
もちろんイェジは購入を決意。
(親を脅迫して)整形水に大金を叩き、見事Kpopアイドル並の美貌と抜群のスタイルを手に入れることができたのだった。
…と、ハッピーエンドで終わるはずも無く。
みんなからチヤホヤされ男性も選び放題なパラダイスを一時は味わえたイェジだったが、彼女にはそんなことが比にならないくらいの転落劇が待ち受けていた。
本作の、特に予想外で面白い点は、醜い容姿の主人公イェジを可哀想な悲劇のヒロインに描かないよう徹底していた事だろう。
彼女はむしろ自分の容姿コンプレックスゆえに周りを僻み、自分の不幸は全て容姿だけが原因だと思い込んでいる。
それゆえに、整形水を手に入れてからの彼女の言動は悪化の一途を辿る。
美しくなる前は、美しい容姿だけで女性を選ぶ男性に散々ケチをつけていた割に、いざ自分が美しくなると「自分に釣り合うイケメンじゃないと無理」と言い出す。
このシーンは最大の皮肉だ。
容姿よりむしろ中身に問題がある主人公は、結論から言うと残念ながら全く幸せにはなれなかった。
主人公がそうある事で、この映画のルッキズム批判がより強く感じられたと思う。
また、”整形水“とは一体誰が、何のために送ってきたのか?
予想の斜め上の展開には驚いたが、その点の謎解きもなかなかに凝っていて、不穏な雰囲気を楽しめる作品だ。

ワンパンマン / One-Punch Man
9

強すぎて悩みを抱えているヒーローは斬新だ

どんな強い怪人が相手でもワンパンチで倒してしまうヒーロー。それがサイタマだ。
強すぎる主人公という設定は内容が単純化してしまいそうだが、ワンパンマンは違う。
主人公のサイタマは強すぎてしまい、生きがいや楽しみを感じられないという悩みを抱えているのである。
そんな全く新しい主人公像が魅力的だ。
それだけではない、ギャグ要素も満載だ。
これだけ強いヒーローなのに知名度は低く、強いという存在すら知られていないのである。
それもそのはず、サイタマは趣味でヒーローをやっており、ヒーロー協会というものに属していなかったのだ。
ヒーロー協会という存在を知ったサイタマは師匠と慕うサイボーグのジェノスと一緒にヒーロー協会に登録し、テストを受けることになる。
見事テストに合格した二人であったが、ジェノスは最高クラスのS級に選ばれ、サイタマはC級になってしまうのだ。
プロのヒーローとして活動するサイタマであったが、以前知名度は低いままなのである。
本当は強いのに、世間からの評価は低いまま。
しかし、ヒーロー同士でランクを争うことも珍しくないなか、サイタマ自身はランクは一切気にしておらず、S級ヒーローを目指すこともしないのだ。
彼にとってヒーローとは、怪人という悪を倒し、困っている人を助けることなのである。
そんなサイタマの活躍を是非楽しんでもらいたい。

ラブ★コン / Love Com / Lovely Complex
7

お互いのコンプレックスを気遣い、惹かれあう

大阪ならではの軽快なツッコミが面白い!こんなツッコミ入れられたら悩みなんて吹き飛ぶ!
身長が高いことを気にする小泉リサと身長が小さいことを気にする大谷敦士の凸凹コンビがカップルに!?
1巻の中で必ず10回は笑って15回はキュンとする。男前大谷敦士にリサが惹かれるのも無理ありません。つかず離れずの凸凹コンビの素直で明るく時に切ない繊細なストーリーは何度も読み返したくなる。まっすぐなリサにちょっと照れやな大谷。これ、共学の醍醐味をそのまま詰めたやつやん...。自分のクラスの面白いカップルを見ているようなそんな応援したくなるほんわかした気持ちになれる最高のラブストーリー。誰もが憧れるかっこいい爽やか男子高生もでなければ、ごく普通の女子高生も出てきません。でもどうしてこんなに漫画をめくる手が止まらないんだろう!?
爽やかイケメン王子様が出てくる王道ラブストーリーにはないほんわかでちょっと笑えるラブストーリーには絶対おすすめの1冊!
「俺は小泉みたいなやつがあってんのかもしれんな」「オレ小泉おらんとあかんな」そんなこと言われたい!見たらあなたも必ず大谷に恋をする。かわいくてかっこいい男前な彼氏はいかがでしょうか?

アイス・トレマーズ / Hypothermia
6

凄く勿体ないパニック映画

これが一流の人達で仕上げていたなら、きっと最高なホラー映画だったと思います。パニック、恐怖、ホラーに関しては、素晴らしい出来なのに、いざそのシーンになると突っ込みたくなるくらいにコントですか?みたいな状態。怪物のクオリティが低くて凄く残念でした。
湖にはった氷をくりぬいてワカサギ釣りをするような状態で、その氷の下に得体の知れない怪物が存在してて、その怪物と闘うといった感じの内容。
構成は凄くよく出来てるのに怪物だけが残念でした。思いっきり人間がやってます!みたいな感じで、せっかく恐い状態だった感情が、笑いそうになってしまいました。最初からドキドキした感情を返して欲しいと思いながらも、内容としては恐くて十分に楽しい構成なので、苦にならずに最後まで観たくて観ました!
ホラーが大好きな私のような人が観るには、怪物のクオリティさえ気にしなければ、全然楽しい映画です。あとはちょっとグロテスクなシーンも出てきたりするので、その辺りは未成年には微妙なラインの映画ではあります。
ホラーならではの、自分勝手な人がいて結局こうなるか。みたいなあるあるは仕方ないにしろ、色んな意味で楽しめるんじゃないかと思う映画です。