プライベート・ライアン

プライベート・ライアンのレビュー・評価・感想

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プライベート・ライアン
9

戦争を肌で感じられる不朽の名作

歴史上最大の上陸作戦と言われる第二次世界大戦の「ノルマンディー上陸作戦」の様子を描いた1998年制作の戦争映画。
スティーブン・スピルバーグ監督の代表作のひとつにも数えられる映画で、カメラワークや音の表現はリアリティを追求して高い評価を受けています。
冒頭部分は最も激戦だったオマハ・ビーチの戦いが描かれ、あまりのリアルな描写に大きなショックを受ける内容でした。
まるで自分が戦場に居るのかと錯覚してしまうほどに恐ろしさが伝わり、国際的に高く評価されているというのもうなずけます。
序盤のオマハ・ビーチでは誰が生きていて誰が死んだのかわからないほどの激動の展開でしたが、中盤からは打って変わって救出部隊や兵士たちの人間ドラマが描かれています。
敵国の子どもを助けようとしたり、家に帰りたいと涙したり、戦うことを覚悟した兵士であろうとも一人の人間に変わりないということを痛感するシーンの連続でした。
特に一人を救出するために何人もの仲間が犠牲になっていく中で、作戦について対立した部下の前で隊長のミラーが軍人としての在り方を語るシーンが強く印象に残っています。
グロテスクな描写や痛々しいシーンが多くあるので苦手な方も居るとは思いますが、戦争の怖さや悲惨さ、生きることの大切さに触れられるのでぜひとも一度は見てほしい作品です。

プライベート・ライアン
8

凄惨な戦場を克明に描写した戦争大作『プライベートライアン』

この作品は米国で1998年に公開され、順次世界でも公開されて大好評を博した戦争映画です。現代はSaving Private Ryanで、直訳すると『兵士ライアンの救出』になります。映画監督はSFXを駆使した娯楽映画の名手、スティーブン・スピルバーグ。主演はトム・ハンクスでした。1944年6月の連合軍によるノルマンディー上陸作戦は過酷な戦闘でしたが、その後ミラー大尉が指揮する8名の斥候隊は、戦闘行動中行方不明(MIA=Missing in Action)になったライアン二等兵を捜索して救出することを命じられました。その顛末は…というストーリーです。この映画、ドキュメンタリータッチの映画のストーリー展開も妙味なのですが、戦闘場面のリアルでグロテスクな描写が話題になりました。とにかく主役級、脇役級、ちょい役級、はたまた敵側ドイツ兵関係なく、際限なく人が死んでいく。無残にも死んでいく。血が流れて腹わたが飛散して手足がもげる。そんな描写が延々と続いて、作品を観てる者はいい加減うんざりさせられます。米軍側が主役の戦争映画ですが、戦争とはどちらが正義ということはなく、ただひたすらに生命の浪費/殺戮であることがはっきりと伝わってくる作品に仕上がっています。ただスピルバーグ、ちゃんと米国民向けの愛国心の高揚のことは心得ていて、最後にちゃっかりと米国旗が描かれています。

プライベート・ライアン
10

戦争の在り方

すごい映画を見せられた。
まずノルマンディー上陸作戦を描いた冒頭20分。
ここから目が離せない。
戦争のリアルさがめちゃめちゃ伝わってくる。
内蔵や手足が普通に飛び散り、海も血に染まり、とにかく生々しい。
「ママー!」と叫ぶ兵士もなんともリアル。
緊張感、恐怖感、絶望感、悲壮感…。
戦争とはこういうものだと分かる演出に、冒頭から度肝抜かれた。この時点で「この作品は(良い意味で)ヤバい」って思った。
スティーヴン・スピルバーグ恐るべし。

その後は本題のライアン二等兵を見つけに行く話になる。
探している過程も良かったが、合流してからのドイツ軍を向かえて戦うシーンは、これまた凄い。
こんなに緊張感があるシーンを作り出せる作品は、なかなかない。
戦争は数の差が圧倒的有利っていうけど、本当にそうだなって分かる。
次々に死んでいく仲間を見て、ほんとにキツかった…。
なんて無慈悲なんだろう。

ラストシーン
「無駄にするな…しっかり生きろ」。
はとても印象的だった。
強く生きたくなるセリフだ。

善悪もない。
ただただ見せられる悲惨な戦い。
メッセージ性があるかと言われたら、
よく分からないけど、一つ言えることは、

これが戦争なんだ。

と分かる素晴らしい作品でした。

プライベート・ライアン
9

一人を失うたびに数人を救ったと思うようにしている…

1945年、フランスノルマンディ。
そこにミラー大尉の姿があった。上陸作戦の翌日だ。
彼はそこで部下数人をつれて敵の前線奥にパラシュート降下したジェームスライアンを探し出すと言う任務を命じられる。
ジェームスライアンは兄が3人おり、そのすべてが戦死している。4人目のジェームスが生死不明な今、軍の面子からも彼を帰国させる狙いがあった。
ミラー大尉は部下と共に当てのない探索を始める。ライアンの空挺部隊が降下したのは地帯一体に及び、とても捜し求める当てはなかった。
ミラー大尉は後方に下がる味方に大声で尋ね始める「誰か知らないか!ジェームスライアン!101空挺のジェームズラインだ!」。隊員はミラー大尉の気が狂ったのかと思ったがライアンの所在が分かった。
出発の前に教会で休息をとるなか、歴戦の戦友である軍曹とこんな会話をする「俺は部下一人を失うたびに何人が救われたんだと思うようにしている。だが今回は一人を救うためにすでに2人を失っている。これはどういうことなんだろう…」
翌日教会を出発した部隊は戦車を待ち伏せして撃破した友軍に遭遇する。戦車を撃破した兵士こそ捜し求めていたライアンだった。
ミラー大尉はライアンに、兄3人が戦死したこと、お前は帰国できることを告げたが、ライアンは橋を守る仲間と一緒に残ると言う。
紆余曲折の上ミラー大尉たち隊員も橋の防衛をすることになる。
迫りくるドイツ軍。果たしてミラー大尉は、ライアンは生きて帰る事が出来るのか。