オペラ座の怪人

オペラ座の怪人のレビュー・評価・感想

New Review
オペラ座の怪人
10

美しいファントムと聖母のようなクリスティーヌの恋

女性なら絶対楽しめるラブストーリーミュージカル映画「オペラ座の怪人」。
ガストンルルーの原作とは違い怪人が色気たっぷりのイケメンです。
また、映画中の歌声もハスキーなロック調なのでオペラやミュージカルの本格的な歌声に馴染みのない方でもすんなり聴けます。
一方ヒロインのクリスティーヌは17歳という映画中の設定と同じ歳の若い女優さんが演じています。
胸元が広く開いたドレスがとても似合っていて画面越しにも肌の滑らかさがわかります。
映画序盤では身寄りのない繊細な少女という印象ですが、映画終盤では愛のために命をかける強い女性に変貌します。
17歳とは思えぬ歌唱力と演技力に驚きです。
基本的に映画を通してシリアスなストーリーですが、脇役の俳優さんたちの掛け合いにユーモアがあり所々クスッと笑えます。
残酷なシーンと楽しく愉快なシーンが切り替わり飽きのこない工夫がされています。
また、一番の見所は「マスカレード」です。
煌びやかな舞台で主役、脇役大勢でマスカレードを歌い上げます。
世界的に有名なダンサーを起用し大迫力のシーンになっています。
おうちにいながら、まるで本物のミュージカルを見に行っているような感動を味わえます。

オペラ座の怪人
9

永遠の音楽を手に入れるため悪魔に魂を売った作曲家の狂気の愛と悲しみ

古典的な名作『オペラ座の怪人』を原作に忠実に、また1990年代のニューヨークと19世紀のロンドンをタイムワープでつなぎ、物語を綴った作品である。怪人ファントム役のロバート・イングラム、エルム街の悪夢のフレディとはまた一味違った怪物役を見事演じている。顔が崩れ、人間を殺してその皮膚を顔に張り付けていく不気味さは、ファントムならではのものである。自分が醜いが故に若くて美貌のクリスティーヌを愛し、彼女を成功させようとした一途な思いは狂気だが、ある面共感できるところもある。ラストでその愛するクリスティーヌに仮面を剥ぎ取られ、素顔を見られてしまうのだから残酷な天罰なのだろう。
でも醜いのはファントムだけでなく自分のプリマとしての成功を怪人ファントムに委ね、契約を結ぶクリスティーヌの心もまたファントム以上に打算的で醜い。競争の激しいオペラの世界で才能もなくまたそれを磨く努力もしない人間は、クリスティーヌのように生きるかそれを追いかける怪人ファントムのように生きるか2つに1つしかないのだろうか?奇怪なロマンだけでなく現代の演劇界や芸能界を風刺した意地の悪い皮肉の効いた作品のように思えた。ファントム亡き後、クリスティーヌは大物プロデューサー達との間で自分の地位を守りこれからの仕事を得ていけるのだろうか、そんなことを考えてしまった。

オペラ座の怪人
9

最も切ない三角関係

本作は題名にもある通り「オペラ座」が主な舞台であるため、きらびやかな演出や俳優たちによる歌唱力に圧倒されます。しかし、ストーリーはそれとは対照的に暗い印象を受け、クリスティーヌとラウル、怪人の三角関係は何度観ても切ない気持ちでいっぱいになります。ラウルは、新人のバレエダンサーでのちにプリマドンナの代役を務めるクリスティーヌの幼なじみであり、とても紳士的な男性です。一方、怪人は顔に大やけどを負い、それによる壮絶な子供時代を送った不幸な男性です。彼はオペラ座をすみかにし、愛するクリスティーヌをプリマドンナにするためには人殺しも厭わないのです。完全に怪人の人格は破綻していますが、クリスティーヌへの愛は本物です。客観的に見れば、もしクリスティーヌの立場なら誰もがラウルを選ぶことと思います。ストーリーでも、クリスティーヌとラウルは結ばれ、幸せな家庭を築いていきます。しかし、この作品は必ずと言って良いほど、怪人に肩入れしてしまうようにストーリーが構成されています。人殺しで、オペラ座の地下にクリスティーヌを連れ去り、無理やり結婚させようとまでする怪人ですが、クリスティーヌ亡き後も墓にバラの花を送り続ける彼に、少しでも幸せが訪れてほしいと祈ってしまう名作です。

オペラ座の怪人
9

美しい音楽で綴られるゴシックロマン

人気ミュージカル『オペラ座の怪人』を映画化した作品です。原作はB級ホラー色が強く、その雰囲気を残した映画が多く作られてきましたが、こちらはロマンティックに特化して作られたような作品です。
オープニングでは、ホコリを被った作品が、シャンデリアに電気が灯った瞬間に時間が遡り、オペラ座が光り輝いていた時代に戻ります。このオープニングが素敵です。見ている人間もその瞬間に19世紀パリへとタイムスリップしていきます。
そして流れるのが、誰もが耳にしたことがある「オペラ座の怪人といえば、これ!」というあのメロディです。アンドリュー・ロイド・ウェバーによるクラシックを取り入れた音楽が作品を彩ります。会話もオペラのように歌うことが多いのですが、オープニングで世界観に入れるせいか、オペラやミュージカルを見慣れない人でも違和感はないと思います。
ストーリーは、切ない三角関係の物語にミステリーとホラーの要素が加わります。舞台がパリのオペラ座なので、セットは重厚なゴシック的なものです。セットと物語の雰囲気がぴったり合っています。華やかな舞踏会のシーンでは、有名なダンサーが混じっているので見逃せません。舞台にはないエピソードも加わっているので、舞台ファンも映画との違いを楽しむのもいいかもしれません。

オペラ座の怪人
10

オペラ座の怪人 2004年版

ミュージカル『オペラ座の怪人』は何度か映画化されていますが、おそらく一番知名度が高いのは2004年版でしょう。
忠実にミュージカルを再現しており、初めての方でも楽しむことができる作品です。
この映画の魅力は音楽……はもちろんなのですが、ジェラルド・バトラー演じる怪人(ファントム)のカッコよさも大きな魅力の一つでしょう。地下に引きこもってるとは思えない、セクシーな肉体美。醜いはずの素顔も、「これで醜い……?」と首を傾げてしまうほど。ヒロインのクリスティーヌを一途に想うファントムに惚れること間違いなしです。
そんな彼の恋の行方がどうなるのか、ぜひ本編を見て確かめてください。
このファントムの歌声は、ミュージカル俳優と違い、ロックっぽいので、賛否両論がありますが、ミュージカルとはまた違った魅力があると思いますね。
逆にクリスティーヌ役のエミリー・ロッサは非常に歌が上手く、高く評価されています。また、10代とは思えないほど、大人びた色気があり、とても美しいです。年の差があろうとファントムが惚れちゃうのも仕方ないですね。
ちなみに、字幕のひどい誤訳問題があり、字幕が修正された経緯があります。
ですが、あ〜このセリフちょっと違うよ〜というものも残っているのも事実です。
この映画を気に入ったのなら、ぜひ英語字幕でも見ることをオススメします。