妖精帝國 / Das Feenreich

妖精帝國とは1997年に結成された、ゆいと橘尭葉による音楽ユニットである。
インディーズ時代は「桃」をイメージしており、シンセサイザーでのトランスミュージックやハードコアテクノミュージックが中心だった。しかし4thアルバム『stigma』以降はゴシック路線へと移行。
メジャーデビュー以降はロック、ヘヴィメタルにクラシックやテクノなどを融合させた音楽を制作。またアニメやゲームへの楽曲提供も行い、関連するライブやイベントにも出演するようになる。
2009年、ReluとNanami が加入。
2013年からは、Nanami、紫煉、Gightの3名と共にバンドとして活動しメタルを主軸とした音楽性へ移行。
その後、紫煉(しれん)が腕の腱鞘炎に悩まされ2018年の川崎での式典を最期に除隊、その後XiVa(さいば)が2019年1月に加入する。
2019年橘尭葉がライブ出演を引退し、今後はサウンドプロデューサー、作編曲家として活動していく事を発表。
それに伴い2019年6月にryöga(りょーが)が加入した。
妖精帝國の設定について
妖精の存在を信じなくなった人間が増え荒廃の一途をたどる「妖精帝國」。音楽を通じ人間達に妖精の存在を思い出させ、妖精帝國を再興させるため、「妖精帝國第参軍楽隊」を結成。人間界での便宜上のユニット名を「妖精帝國」とした。
ファンは「臣民」、ライブは「式典」と呼ばれる。

妖精帝國 / Das Feenreichのレビュー・評価・感想

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妖精帝國 / Das Feenreich
10

これが妖精帝國だ

「妖精帝國」が好きです。特に「パトリオットアンセム」という曲と、「機械」という曲が好きです。「パトリオットアンセム」は、とある動画サイトで少なくとも2バージョンは公開されています。

ヴォーカルのユイ様(様を付けないと怒られるらしいです)が、一般的な煽りとは異なることを言うことがあります。
「なかなかやるではないか。最初からそんなにとばしても大丈夫なのか」と言います。揶揄しません。そこが好きです。
お客さんが頑張っているのに「そんなものでいいのか」等しか言わなかったら私はしらけます。正直「下らない」と思ってしまいます。そういうことにならないのでほっとします。

「機械」は少し邪道な気がしなくもないですが、作詞・作曲が筋肉少女帯です。つまり、大槻ケンヂが作詞しています。
イントロで鳴る悲しげなメロディと不協和音、鐘の音、そこに大槻ケンの歌詞が乗る。
メロディは最初から最後まで悲壮感が漂ったままです。私にとって最高の曲の中の一つです。
最初のうちは機械を造った男について語られているのですが、最後に本人(女性)と男の思いが歌詞に乗ります。
「男はやはり孤独なだけではなかったんですね」と私は安心しました。流行りとは少し距離を置く内容ですが、やはり妖精帝國は好きです。

妖精帝國 / Das Feenreich
8

美しい歌声に重なる重厚なロックソング

Vocalを務めるゆいさんの綺麗な歌声と、各楽器隊の重厚さがロック魂に響く良いバンドです。
ファンタジー的なテーマや歌詞が特徴的で、ロリっぽく甘い歌声とカッコよいクールな歌声でその様々な世界観を感じることができます。
そこに合わさる楽器隊のメタルサウンドがまた素晴らしく、一度聞くと耳に残るフレーズは何度でも聞き直してしまう程です。
CD等の音源で聞いてもとてもカッコよいのですが、ライブに行くと直接そのゴスロリ&メタルな雰囲気を感じることが出来ます。
特にギター、ベース、ドラムといったバンドの基本楽器は、その音だけでなく空気を伝わる振動まで感じられて、ライブ後もしばらくはその余韻に浸ってしまいます。
活動年数に対して楽曲数こそ多くはありませんが、その分全楽曲を覚えるのが容易なので、新しくファンになった方でもライブを楽しむことが出来ます。
楽曲以外でもメンバーがゴシックファッションやファンタジー風の衣装を着用しているのも特徴で、黒を基調としたそのファッションはとても美しく、単純に衣装を見るだけでも、その世界観に魅了されてしまう人もいるぐらいです。
ですが、是非そのヴィジュアルから来るインパクトだけではなく、歌と楽曲の素晴らしさを体験してみてください。

妖精帝國 / Das Feenreich
10

高い音楽性とファッション性

妖精帝國は、妖精帝國という妖精の棲む国の第三軍楽隊で、ボーカルのゆい様は現在終身独裁官という役職であり、皇女ということで人間界に降りて妖精を信じる心を忘れさせないためのプロモーション活動を精力的に行なっています。ヘヴィメタルをベースとした上で物語要素を強く持った高い音楽性と、ゴシックロリィタを基調とした高いファッション性が人気のバンドです。ライブのことを公式式典と言い、ファンのことを臣民と呼びます。活動当初はボーカルと演奏の2人組同人ユニットでしたが、ベース・ドラム・ギターを新たに迎え入れ(ドラムはメンバー交代、ギターはのちに脱退)バンド形態になり、現在はゴシックメタルバンドとして活動しています。音楽レーベルと契約を結んでからはパソコンゲームのオープニングや深夜アニメのタイアップなどで徐々に知名度を上げ、最近ではロリィタブランドとコラボレーションしたスカートや日傘などを発表したことで元々は男性ファン(臣民)に押され気味であった女性ファン(臣民)の獲得にも成功して着実にファン(臣民)を増やしプロモーション活動もさらに勢いを増してきています。活動歴は長いですが音楽のテーマが一貫しているので「この曲は好みだけれどこの曲は好みじゃない」となることがあまりなく、1曲聴いて好きだと思ったらどの曲も期待を裏切らないと思います。

妖精帝國 / Das Feenreich
8

日本ゴシックメタルの先駆

ゴシックメタルと言えば、Nightwishがその先駆けですが、日本で最も早くそのアティチュードを示したのは妖精帝國であろうと思います。
今でこそBABYMETALが流行し、「アニソンメタル」を名乗るアーティスト、ゴスロリ風の衣装を着るアーティストは溢れています。
その実、なんとなくゴスロリっぽい服を着て、なんとなく激しめの音楽をやって「私たちってメタルだよね」と確認しあう稚拙さを持ったアイドル声優さんが多いように見受けられます。
メタルとは、反体制、リベラルであり、孤独であり、声を上げることであり、闘争です。
社会性と密接に関わり、それに対して強く訴えて来た人々の音楽こそメタルであり、妖精帝國はボーカルの声や、コンセプトでかなりの不利がありながらも、そのアティチュードを理解し体現している点において後追いのアーティストとは一線を画しています。
Gothic Lolitaと冠されたアルバムでは打ち込みが散見されますが、すでにゴスとしての信条が確立されています。また、「PAX VESANIA」を転換点としてバンド体制での演奏を重視しており音も重く広がりのあるものになっています。
アニソンタイアップも多く、敷居は低いながら演奏、作曲ともに高い技術力を伴っているため曲単体でも楽しめる魅力があり、かつまた詞にも作品に対する造詣の深さが現れています。