ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life

『ハッピーシュガーライフ』は、鍵空とみやきによって書かれた日本のホラーサスペンス漫画である。漫画は2015年から2019年まで『月刊ガンガンJOKER』で連載された。単行本は全11巻からなる。キャッチコピーは「戦慄の純愛サイコホラー」。連載終了後、ショート読み切りや描き下ろし作品が制作されている。
物語の主人公は、松坂さとうという女子高生である。彼女は、神戸しおという幼い少女と一緒に暮らしており、血は繋がっていないがしおを家族として愛している。歪な関係性「ハッピーシュガーライフ」を維持するために、大きな問題に立ち向かっていく。
ヤンデレ少女を主題をした作品であり、ショッキングな描写が含まれている。2018年にはテレビアニメ化もされている。アニメ主題歌はオープニング曲が『ワンルームシュガーライフ』、エンディング曲が『SWEET HURT』である。アニメの内容は連載当時、プロット段階であったものが先行アニメ化された。

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Lifeのレビュー・評価・感想

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life
9

愛という一文字に詰められた狂気

誰もが一度は考えた『愛』や『人生』の意味について、この作品は一つの答えの例を示してくれるものだと思います。
自身の愛や人生に意味を見出すのは他人ではなく、あくまで自分。そうわかっているからこそ、この作品の主人公は『生涯をささげても良いと思うほどの愛』と出会い、それに依存し、やがて「狂っている」と言われてもおかしくないようなことも平然とやってのけるようになる。その姿を一方的に見せられているこちら側は、当然人によって感じ方は様々でしょうが、主人公が見せる裏表の姿にのめりこんでいくことになるでしょう。私がそうでした。
最終的に主人公は自身が依存した『愛』と共に心中をはかりますが、最後の最後、本当に二人とも死んでしまう直前に、主人公は『愛』をこの世に生かすことを決めます。はたしてその行いが正しいことなのか、それとも間違ったことなのか、これも感じ方は人それぞれでしょう。
ですが、主人公がいなくなった後、残された『主人公にただ愛された存在(主人公の愛)』は「自分が主人公を思い続けることで主人公は自分の中で生き続ける」と考え、自分を愛してくれた主人公がいない世界で生活することを決めます。その姿を見たとき、私は、『愛は強ければ強いほど目に見えなくなる』ということを知りました。
この作品は、きっとそんな風に、読者に新しい『愛』の意味を教えてくれるものです。ぜひご覧になってください。

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life
8

これは愛の物語

主人公のさとうは愛を知らずに育った少女です。高校生の彼女は愛を求め、周りから求められるがままに男性を渡り歩きます。けれど、どんなに触れ合っても求められても満たされない気持ち…。「愛って何?愛ってどんなものなの?」
そんなある日、しおという少女と出会います。この出会いをきっかけに、愛とは何なのかを知っていきます。
そしてその愛を守るため、しおとの生活を脅かす者を排除し始めるさとう。奇行に走る彼女ですが、それに勝るとも劣らないイカレた人物がたくさん登場する作品です。
「愛の物語」と言うだけあり、この物語はさとうとしおの二人の愛だけを描いているわけではありません。
人それぞれの愛の形が、キャラクターを通してうまく描かれています。

この愛のストーリーは見る人によってはハッピーエンドですが、バッドエンドと見る人もいるでしょう。
私にとってはこの物語は最高の愛の物語でした。
作中もずっとしおを愛していたさとうですが、最後の最後で本当の愛とは何なのかを悟ります。
その愛の形が私にはとても美しく見えました。

あなたにとっての愛の形とは?
どのキャラクターに感情移入するかで、「自分がどんな愛し方をしたいか」、「どんな愛され方をしたいか」が分かるかもしれません。

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life
9

愛とは何かを知りたい少女の物語

アニメ序盤、主人公松坂さとうがDV家庭で心を病んだ母親から捨てられた神戸しおを、保護ではなく軟禁している所から物語が始まります。
さとうは、しおと出会う前は愛を知るためとして男遊びを繰り返し、愛とは何かを知ろうとしますが、それでは愛を知ることはできませんでした。しかし、しおと出会ったことにより、自分の中にどうしようもないハッピーな感情があることに気づきます。そして、しおとの生活を守るためならば何をしても良いという歪んだ考えを露にしてきます。
作中にはバイト先のショタ大好き・プライド富士山級の店長、スーパードMの担任の教師、年上に犯された傷をロリコンに癒されたくてたまらない男子高校生、さとうのおば(これが一番ぶっ壊れている)など強烈な個性を放つキャラクターが出てきます。彼らがさとうの生活を脅かすような行動をとってきますが、それを上回る残虐性と個性を持つさとうは、むしろ彼らを利用するくらいの狡猾さで苦難を乗り越えていきます。しかし、幸せな生活も長くは続かず、軟禁現場をバイトの友人に見られた所から歯車が狂い始めます。そして、さとうもしおの軟禁以外にとてつもない罪を犯してしまいます。
この作品はとても幸せそうなタイトルをしていますが、かなりの残酷描写を含んでいるアニメです。しかし、その中でも愛を知りたい少女達がお互いの愛を確かめ合っていきます。そして、主人公の松坂さとうは最終話にてしおを守るという親愛に目覚めます。
このアニメに出てくるキャラ達は基本的に何らかの心の闇を抱えています。そのため鬱展開が多いので、そういうのが苦手な方にはお勧めできない作品です。しかし、全部が鬱展開ではなく、さとうとしおのハッピーなライフはみているこちらも救われる思いがあります。
不遇な環境にある彼女達がどうやって愛を知り、愛を深めていくのか。そこに注目しながら、最終話の最後のシーンを見ると胸にくるものがある良作です。

ハッピーシュガーライフ / Happy Sugar Life
7

タイトルなし

叔母に育てられ、愛に餓えた高校生の女の子・松坂さとうは、ある日工事現場で8歳の女の子・神戸しおに出会い、本当の愛を知る。それまで、愛を知るため男をとっかえひっかえしていた、さとうが、しおに出会うことで一途になる。その愛を守るためには、どんな事をしてもよいと考えるさとう。しおは、実は行方不明の女の子で、そのしおを独占するために、人を殺すこともあるさとう。さとうとしおの関係は、愛というより、お互いに依存しあっており、愛とは何かと、考えさせられる内容です。しかしながら、さとうもしおも、お互い育った家庭環境が悪く、どこかさみしさを抱えているので、仕方ないかとも考えられますが、さすがに、さとうが、さとうの親友を殺してしまうシーンは、なんとも複雑な気持ちになりました。さとうを育てた叔母も人の愛し方がおかしい点があり、殴られることも愛だと主張する、叔母もだいぶ、ぶっとんでいるなと感じます。登場人物の名前が、松坂屋さとう、神戸しお、苗字は牛に関すること?「さとう」と「しお」なのでさとうは、しおによって甘さが引き立つ?などなど、人物名にも考察するとさらに楽しくみる事ができる、純愛サイコホラーです。未成年にはおすすめしませんが、大人には刺激的で楽しめる内容です。