KUBO/クボ 二本の弦の秘密

KUBO/クボ 二本の弦の秘密

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は2016年に公開されたファンタジー・アクション冒険映画。製作・監督はトラヴィス・ナイトが務める。トラヴィス・ナイトにとっては演出デビュー作でもある。制作には3Dストップモーション・アニメーションが用いられている。
舞台は封建時代の日本。魔法の三味線を操る主人公のクボが、邪悪な叔母や自身の左目を奪った祖父のライデンを倒す宿命を課せられる。
本作は英国アカデミー賞 アニメ映画賞を受賞した他、、アカデミー長編アニメ映画賞とアカデミー視覚効果賞にノミネートされた。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のレビュー・評価・感想

KUBO/クボ 二本の弦の秘密
9

古き日本を舞台にした、驚異的にして感動的なストップモーション・アニメの秀作

アカデミー賞2部門(長編アニメーション賞、視覚効果賞)にノミネートされた、アメリカ映画ながら古き日本を舞台にしたストップモーション・アニメの秀作です。
三味線の音色で折り紙を自在に操る少年クボが、面倒見のいいサルや弓の名手であるクワガタと共に冒険の旅に出るイマジネーション溢れる物語です。
クボは、ある理由で闇の魔力を持つ祖父や母の姉妹たちに命を狙われるのですが、サルやクワガタに助けられ立ち向かっていきます。
日本の寓話をベースにしたストーリーで、三味線はもちろん衣装や風景など、隅々までジャパニーズ・テイストたっぷりです。
『コララインとボタンの魔女』のスタジオ・ライカの作品ですが、見事なまでの細かな人形の動き、絵画的で美しい日本の情景、そしてクボと母や父とのドラマなど、どこをとっても見どころ満載で、満足度たっぷり。
ラストに流れるジョージ・ハリソンの名曲「WHILE MY GUITAR GENTLE WEEPS」も胸に染み入ります。
三味線の演奏は、津軽三味線の名手、吉田兄弟が担当しています。
声の出演は、『プロメテウス』のシャーリーズ・セロン、『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート役で知られるレイフ・ファインズ、『インターステラー』のマシュー・マコノヒーとハリウッドスター揃い。
子供はもちろん、大人だって十分楽しめるオススメ作品です。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密
7

JAPANをリスペクトしている作品!

日本の文化をテーマにした海外の作品は沢山ありますが、これほどまでに日本をリスペクトして作られた作品は珍しい気がします。
「着物」や「刀」「侍」などのアイテムだけで表現せず、わびさびではありませんが日本人の精神性などがうまく盛り込まれていて、とても安心して見られます(笑)。

また、毎回個人的に「不気味だなぁ」と感じていたストップモーションアニメの特有の独特なタッチが日本と家族をテーマにしたこの作品にマッチして、この映画でしか出来ない映像美を作っているところも素敵でした。

小さいお子さんも観れる作品ですが登場人物の一つ一つの表情がかわいい中にも妖艶さが出ていて、大人の方がより楽しめる作品だと感じました。
特に普段から結末や主人公の背景の謎が最後まで分からないミステリーものを好んで観る私のような方にはオススメしたいです!
最初から、何故クボは母と一緒に最果ての島まで逃げてきたのか。
クボが折り紙を自在に操る魔法は何なのか、また何故魔法が使えるのか、作品のすべての謎や設定が、ラストスパートにかけてだんだんと明かされていくのが最高に面白かったです。

主人公のクボを守るサルとクワガタのわちゃわち感やクボを大切に想う気持ちの表現もとてもよかった。
笑って泣いて楽しめる作品です。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密
10

ストップモーションの最高峰

さすがライカ。前作の『コララインとボタンの魔女』をDVDで鑑賞し、ライカのファンになり、クボは映画館の大スクリーンで鑑賞でき感無量。
人や背景、小道具すべて粘土で作られているとは思えないほどの細かさ、そして壮大さを感じるカメラワーク、ストップモーションとは思えないほどの滑らかで優美な動作、一瞬でクボの世界に引きずり込まれる。
外国人目線で描かれる日本の文化や、昔話を元としたストーリーで古き良き日本を新しい目線で再発見させられた。

昼間は村へ行き、三味線の芸を披露する。
軽快な三味線の音にのって飛び出し、形を変える色とりどりの折り紙が美しい。その折り紙たちが紡ぐ愉快で手に汗握る物語。
だが夜になると空気は一変し、ゾクゾクするほど暗く怖く不安になる場面が続く。しかしどんな場面でも、たとえ泣いてしまったとしても、頑張るクボの姿は健気で応援したくなる。
おおまかなストーリーは途中でうすうすわかってしまうが、予想通りだったとしても心はじんわりあたたかくなる。
そして最後にわかるタイトルの意味はストンと納得がいく。
家族のあたたかさを感じる一本。
ファミリーでも、もちろん一人でも、ぜひ多くの人に観てもらいたい。
見るたびに発見があり何回も見返したくなる作品だ。