BASARA

BASARA

「BASARA」(バサラ)とは田村由美による漫画作品。暴君が支配する日本にて、日本を救う運命の子供が誕生する。しかし運命の少年・タタラは国王の末子の赤の王に殺され、代わりに双子の妹・更紗がタタラを名乗り立ち上がった。日本を救う革命家として、白虎の刀を携え、残りの朱雀・青龍・玄武の刀の継承者を探す旅に出るタタラ(更紗)。仇とは知らずに朱理(赤の王)と偶然出会い、互いの正体を知らずに惹かれ合っていく。

BASARAのレビュー・評価・感想

BASARA
10

真の運命の子供

BASARAが好きだというと、「戦国BASARA?」と間違われる事も多いと思いますが、田村由美先生のBASARAは、少女漫画の枠に入る、恋愛模様や家族愛の要素もある架空戦の物語です。
主人公の少女が15歳を迎える日、国を救う運命の子供と予言されていた双子の兄と、父親を、国王の末子の軍に殺され、その宿敵軍を倒すため兄に成りすまして敵討ちに立ち上がります。
実は予言者も後に気づきますが、兄は身代わりでしかなくその少女こそが運命の子供だったのです。
その戦いへ向かうの道中、馬と共に疲れを癒そうとふらっと立ち寄った温泉で出会った青年と、2人はお互いの正体を知らずに惹かれ合います。
実はその青年こそが、父と兄を殺した国王の末子本人で、その青年もまた自身がまほろばを築こうとしている方針にとって邪魔となる運命の子供を宿敵としているというありがちな展開ですが、登場人物もそれぞれに個性やカリスマ性があり、読者の好みも分かれるのではないでしょうか。

主人公の少女の人柄によって味方や助けを得て、思考錯誤しながら、作戦を臨機応変に変えながら、クライマックスで宿敵同士がお互いの正体を知るまでの間に、数々のドラマがあり、かなり見ごたえのある作品です。

また、日本中の様々な土地に行くので、その地域のランドマークなど、地理的な要素も楽しみながら読めるのもポイントが高いです。
男女問わず読んで欲しい物語です。

BASARA
10

骨太なストーリーにはまる!

ドラマ化された『ミステリと言う勿れ』でも有名な田村由美原作です。
文明が滅んだ日本。王政の圧政に苦しむ民衆の希望—運命の子タタラ。殺されたその兄の代わりに妹更紗が身代わりとなって王政を打倒するために立ち上がる。
とにかくストーリーが壮大で、出てくるキャラクターが魅力的。もちろん少女漫画なので、兄の仇の赤の王と知らずに好きになってしまった朱里とのロミオとジュリエットな部分もありますが、それよりもこれでもかと降りかかる苦難を乗り越えていく更紗の姿にページを繰る手が止まりません。
仲間を募るために全国行脚的にあちこちをめぐるのですが、その都度出会う人々のエピソードがまた秀逸。
行動の裏付けとなる物語がしっかり描かれているので、薄っぺらくならない。目をそむけたくなるような結果になろうとも、自分の信じる道を突き通す人々に涙する更紗を応援したくなります。
壮大なストーリーですので、出てくるキャラクターも数多く、絶対に一人は「この人良い!」という推しキャラが出てくるはず。
そんなキャラクターの場面を追いながら読み進めるのも楽しいです。歴史などに基づいてキャラクター造形をしている部分もあり、それが作品の深みをさらに増しています。

始めはひとりぼっちだった更紗が多くの仲間を得て王政を打倒するまでの道のりを描くこの作品、ぜひ時間のある時に一気読みすることをおすすめします。

BASARA
10

戦う少女漫画

舞台は未来の日本。ところがSF要素は皆無で、移動は馬、連絡手段は鳥。“文明が滅びた後の”という時代設定にまず驚かされます。
国王の圧政に苦しむ中、西の地に運命の子と予言された双子の兄妹が生まれるところから、物語は始まります。

主人公の少女更紗は、ある出来事をきっかけに、兄タタラのフリをして復讐の旅を始めます。そして出会いや別れ、成功や失敗を繰り返し、成長していきます。単なる復讐だった目的はやがて、日本を変えたいという大きな野望へと変化し、日本各地の人々を巻き込む大きな流れとなっていくのです。

それだけ聞くとザ・少年漫画に聞こえるかもしれませんが、恋愛もメインになっているのはさすが少女漫画。更紗は朱理という少年と惹かれ合っていくのですが、それは許されない(と思い込んでいる)恋でした。真実を知り、どん底を味わった二人がどのように成長し、どのような結末を迎えるのか。涙なしでは読めません。

また、本編と並んで素晴らしいのが外伝です。ラスト2巻は、ご先祖の話や本編のその後が描かれます。めでたしめでたしで終わらせないところに、リアリティーを感じます。魅力的なサブキャラクターが多いのも見所です。ぜひ最後まで彼らの生きた証を見届けてください。

この作品は名言が多いことでも有名です。必ず心に響く言葉が見つかると思います。読み終わる頃には自分も一緒に成長出来ている、そんな作品です。ぜひご一読ください。