骨太なストーリーにはまる!
ドラマ化された『ミステリと言う勿れ』でも有名な田村由美原作です。
文明が滅んだ日本。王政の圧政に苦しむ民衆の希望—運命の子タタラ。殺されたその兄の代わりに妹更紗が身代わりとなって王政を打倒するために立ち上がる。
とにかくストーリーが壮大で、出てくるキャラクターが魅力的。もちろん少女漫画なので、兄の仇の赤の王と知らずに好きになってしまった朱里とのロミオとジュリエットな部分もありますが、それよりもこれでもかと降りかかる苦難を乗り越えていく更紗の姿にページを繰る手が止まりません。
仲間を募るために全国行脚的にあちこちをめぐるのですが、その都度出会う人々のエピソードがまた秀逸。
行動の裏付けとなる物語がしっかり描かれているので、薄っぺらくならない。目をそむけたくなるような結果になろうとも、自分の信じる道を突き通す人々に涙する更紗を応援したくなります。
壮大なストーリーですので、出てくるキャラクターも数多く、絶対に一人は「この人良い!」という推しキャラが出てくるはず。
そんなキャラクターの場面を追いながら読み進めるのも楽しいです。歴史などに基づいてキャラクター造形をしている部分もあり、それが作品の深みをさらに増しています。
始めはひとりぼっちだった更紗が多くの仲間を得て王政を打倒するまでの道のりを描くこの作品、ぜひ時間のある時に一気読みすることをおすすめします。