戦場のピアニスト / The Pianist

戦場のピアニスト / The Pianist

第二次世界大戦中、ナチスドイツ弾圧下のワルシャワにて、あるピアニストが過酷な状況の中生き延びている。家族と切り離され、他のユダヤ人たちと強制労働をさせられる日々。今日の命の保証もなく、迫害と労働は続く。終戦と平和を願って生きるピアニストとユダヤ人に穏やかな明日は来るのだろうか。
2002年公開、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞およびにアカデミー賞7部門ノミネート、3部門受賞作品。

戦場のピアニスト / The Pianistのレビュー・評価・感想

戦場のピアニスト / The Pianist
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ポーランドでユダヤ人大量虐殺を生き延びた音楽家シュピルマンの波乱を描いた名作『戦場のピアニスト』

『戦場のピアニスト』は2002年製作の伝記的な戦争劇映画で、製作・監督はロマン・ポランスキ、脚本はロナルド・ハーウッド、主演はエイドリアン・ブロディでした。この映画はポーランド系ユダヤ人でありホロコーストを生き延びたピアニスト、作曲家のウラジスラウ・シュピルマンによる大虐殺回顧録『ピアニスト』(1946年)という自伝的作品を原作としています。映画は、英独仏ポーランドによる共同製作です。
1939年9月、ポーランド系ユダヤ人のシュピルマンはピアノを弾いていました。同じ頃、ポーランドに侵攻したドイツ軍が駅を爆撃しています。英仏がドイツに宣戦布告したことを耳にして、シュピールマンはドイツとの戦争が短期間で終息することを思い描いて一人喜びます。しかし、独ソ両軍が同時にポーランド領内に侵入しましたが、約束されていた援軍はやって来ませんでした。ワルシャワはドイツ統制下の総督領所属になります。ユダヤ人たちは職場から放逐され、「ダビデの星」の腕章を着用しなければならなくなりました。1940年11月までにシュピルマンと彼の家族はワルシャワゲットーに強制移住させられます。ゲットーは周囲のワルシャワ市街からは隔離され、ユダヤ系住人で一杯になっており、生活条件は最悪でした。人々は飢え、親衛隊は残忍で、飢えた子供たちは置き去りにされ、至るところに屍体が山となって積まれていました。

戦場のピアニスト / The Pianist
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胸が苦しくなるけど、とても考えさせられる話

映画「戦場のピアニスト」は、第二次世界大戦下にナチスドイツがユダヤ人を迫害し大量虐殺する時代を、一人のユダヤ人ピアニストが家族との別れ、ピアノとの別れ、理不尽な殺人や暴力に直面しながらも何とか生き延びるという物語です。
ナチスドイツのユダヤ人迫害は負の遺産として有名な話です。それゆえに、観ていて心が苦しくなる場面や、目をつむりたくなるような場面が多くあります。理不尽な殺人や暴力などがリアルに描かれているので、そういう場面を観るのが苦手な人には辛いかもしれません。

オススメポイントは2つあります。
1つ目は主人公のシュピルマンを演じたエイドリアン・ブロディの演技です。
場面を追うごとに、ユダヤ人が置かれている状況の悲惨さがリアルに伝わる演技には圧倒されます。表情や歩き方、仕草まで本当にその時代を生きているかのようで、シュピルマン本人なのかと錯覚するような、惹き付けられる演技、というよりシュピルマンそのもの。
特に、シュピルマンが病に冒される場面でのブロディの演技には心が締め付けられました。痩せこけ、声も出ないほど弱り果てた姿が目に焼き付いています。本当に演技なのか?と疑いたくなるほどです。
ブロディはこの映画でアカデミー主演男優賞を受賞しています。

2つ目はドイツ陸軍将校ホーゼンフェルトがシュピルマンを救う場面です。
ドイツ軍はユダヤ人を迫害していたまさに当事者です。その当事者が最後の最後にユダヤ人を助けたのです。
街中が破壊され、孤立したシュピルマンが逃げ込んだ建物内で二人は出会います。そこでドイツ軍ホーゼンフェルトはシュピルマンがピアニストだと知り、ピアノを弾くよう促します。ピアノを聴いたホーゼンフェルトはシュピルマンを匿うと約束するのです。

ドイツ軍がユダヤ人を助ける。

シュピルマンのピアノがホーゼンフェルトの心に何かを訴えかけたのか、それともホーゼンフェルトは初めから殺さないつもりだったのか。観た人の想像に委ねられます。

映画「戦場のピアニスト」は、観る者の心に「生きていることは奇跡で尊いことではないか?」と問いかける作品です。

戦場のピアニスト / The Pianist
8

想像していた映画とは違ったが…

私自身、ピアノが好きなのでピアノに関する映画…という理由で観てみました。
レビューが良かったのもあって。
かなり話題になっていた作品ですが、当時は戦争ものにはあまり興味がなく。
歳をとるにつれ、選ぶ映画も変わってきました。

もちろん戦争ものっていうことは分かっていたし、おおよそのストーリーは分かっていたつもりだったけど、想像していたよりもズシーーンと重かったです。。。
でもそれは、決して悪い意味ではなく。。。

目を背けたくなる様な残酷な描写も多々ありました。
戦争中は、こんな事が現実に起こっていたなんて、信じられないけど事実です。
今私たちが生きているこの時代が、奇跡とさえ思ってしまいます。

このシュピルマンという男性は実在の人物ということにも驚き、見終わった後に色々と調べてしまいました。
壮絶な人生…
これだけ生き延びたのは奇跡だったのか、彼の使命だったのか…

ネタバレになるので詳しくは書けませんが。。。
ホーゼンフェルト将校目線の本も出版されているそうで、是非読んでみたいものです。

ショパンのピアノ曲が好きなので、それも良かったことの一つかな、と個人的には思います。
どの場面で出てくるかは言えないけど、『バラード1番』感動でした。
また数年後に観てみようと思います。