切ない結末を感じながらも読み進めてしまう。少女漫画「女王の花」
少女漫画と言えば、胸きゅんやイケメンの主人公!といったイメージが強いと思います。
現に、そのようなことが少女漫画に求められているのだと思います。
この「女王の花」にも銀髪のイケメンが登場し、ヒロインから片時も離れずに彼女を守り続けます。
物語の前半では、その愛が眩しく、美しく、胸をくすぐりますが、物語が進んでいくうち、その大きな大きな愛こそが彼女を苦しめ、彼女の進むべき道を少しづつ、少しづつずらしていってしまうのです。
現代ではなく、はるか昔の時代の物語なので、格差差別や男女差別などがあることも、この物語の大きなキーポイントとなっています。
漫画自体はもちろんフィクションですが、時代背景などは全くの作りものではないようにも感じられ、物語を読み進めながら、「もし時代が違ったなら」「今の時代にふたりが存在していたなら」そう思わずにはいられません。
全15巻のこの漫画。少女漫画にしては比較的長い方なのかなと感じながらも、だからこそこんなに細かく繊細に物語を進めることができているのだなとも感じます。
10巻を過ぎた辺りからは結末へ向け、誰もが望むような結末にはならないような、胸を締め付けられるような気配を感じてしまいますが、それでも最後まで、このふたりが過ごしたかけがえのない時間を見届けて下さい。