女王の花 / Joou no Hana

女王の花 / Joou no Hana

和泉かねよしの『女王の花』とはベツコミ2007年11月号に掲載された読み切りが好評だったため、2008年8月号に続編となる2話が、2009年7月号には3話目が掲載、さらに2010年6月号より隔月で定期連載された歴史漫画です。
亜国の姫・亜姫が薄星と共に継母・土妃から亜国を取り戻すべく周囲の人々に鍛えられながら翻弄していきます。

女王の花 / Joou no Hanaのレビュー・評価・感想

女王の花 / Joou no Hana
10

切ない結末を感じながらも読み進めてしまう。少女漫画「女王の花」

少女漫画と言えば、胸きゅんやイケメンの主人公!といったイメージが強いと思います。
現に、そのようなことが少女漫画に求められているのだと思います。
この「女王の花」にも銀髪のイケメンが登場し、ヒロインから片時も離れずに彼女を守り続けます。
物語の前半では、その愛が眩しく、美しく、胸をくすぐりますが、物語が進んでいくうち、その大きな大きな愛こそが彼女を苦しめ、彼女の進むべき道を少しづつ、少しづつずらしていってしまうのです。
現代ではなく、はるか昔の時代の物語なので、格差差別や男女差別などがあることも、この物語の大きなキーポイントとなっています。
漫画自体はもちろんフィクションですが、時代背景などは全くの作りものではないようにも感じられ、物語を読み進めながら、「もし時代が違ったなら」「今の時代にふたりが存在していたなら」そう思わずにはいられません。
全15巻のこの漫画。少女漫画にしては比較的長い方なのかなと感じながらも、だからこそこんなに細かく繊細に物語を進めることができているのだなとも感じます。
10巻を過ぎた辺りからは結末へ向け、誰もが望むような結末にはならないような、胸を締め付けられるような気配を感じてしまいますが、それでも最後まで、このふたりが過ごしたかけがえのない時間を見届けて下さい。

女王の花 / Joou no Hana
1

涙なしでは読破できない

時は紀元前戦乱の世。悠久の大地を群雄割拠していた国々があった。互いに勢力を争う、亜国・土国・黄国・曾国。
亜国の正室の子として生まれた女の子である亜姫が主人公です。
亜国の王女・亜姫(あき)が、悲運な星のもとに生まれながらも逆境に立ち向かい、戦乱の世を強く生き抜くさまが描かれています。
主人公は祖国の姫でありながら冷遇され、病弱な母親の世話をしながら明るく生きる姫のもとに、ある時、金の髪と天の色を持つ奴隷の少年と出会い、
境遇の違いを越えて、強い絆で結ばれていく。
妾の土妃の戦略により、亜姫の病弱な母(亜国の正妃・黄妃)は毒殺され、亜姫は黄国に人質として送られる事に。
黄国では、妻を殺した国から帰還した姫を密偵者として扱い、結局、祖国からも逃げることになる。
奴隷の少年と二人、母国への帰国を夢見て、強くたくましく成長していくお話。
国を背負い、民を背負い、迷いながらも勇猛果敢に立ちふるまう亜姫と、そんな彼女を幼いころからそばで守り、一途に想い続ける奴隷の薄星。
ふたりの恋の結末に待ち受けるのは幸せなのか、それとも……。
そして、亜姫が願ったあるべき国家の姿とは?古代の国々を舞台に、ひとりの女の切なくも美しい物語が紡がれます。

女王の花 / Joou no Hana
10

少女漫画でもあり、歴史ロマンスでもある切ない恋物語

何度も読み返した大好きな少女漫画の1つです。
亜国の姫でありながら冷遇されていた亜姫は、異国の人間として奴隷とされていた金髪碧眼の男の子、薄星と出会い、彼は亜姫に拾われます。
それから薄星は亜姫に永遠の忠誠を誓い、恋に落ちていきます。
しかし、亜国の第二王妃である土妃によって亜姫の母は殺され、亜姫たちは黄国に流されます。
この土妃が本当に嫌な女で、見ていてイライラしてしまいます。
最終的に亜姫は土妃と闘うことになるのですが、指揮官として戦を引っ張る亜姫と、ただの一歩兵として戦う薄星は身分が違いすぎます。
お互い想っているのに、一緒にいることはできない。
指揮官として、一国の姫として薄星への恋心を隠し続ける亜姫と、亜姫を守りたいのに、一緒にいたいのに近づけない薄星を見ていると本当に胸が痛くなります。
そしてまさかあんなに悲しい結末が待っているとは思いませんでした。
普通の女の子になりたかった亜姫は、その気持ちを一生隠しながら薄星のいない世界を女王として君臨することになります。
どう考えても二人が幸せになれたとは思えなくて、切なくて苦しくて読み終わった後は号泣してしまいました。
この漫画を読み終わった後は虚無感がすごいので覚悟を持って読んでください。

女王の花 / Joou no Hana
9

女王と奴隷の恋愛模様が描かれている作品

ある国の姫とその奴隷が故郷を追われ旅をする物語。姫は自身の母親を毒殺され、実の父親(国の王)に追放されてしまいますが、実はそこには理由があった。美しく聡明な姫は旅の中で王の素質を発揮し始め、人々の心を動かしていく。姫と奴隷は幼少期から共に生き、奴隷は姫を守り時には姫の心のよりどころとなる。この漫画の見どころは姫と奴隷の恋愛劇にある。幼少期より共に生きてきた二人に少しづつ恋愛感情が芽生えてくる。しかし、所詮は姫と奴隷。殺害された母の復讐と女王になるという信念を持った姫に恋する奴隷は、自分の感情を殺し姫を守り続ける。一方姫の心は少しづつ奴隷に恋心を抱き、ついには奴隷の妻にしてほしいと思うようになる。しかし、奴隷は敵との交戦で毒を浴び体の自由がきかなくなっていた。姫が女王となるまであと少し、最後の戦争で奴隷は姫を守り死んでいく。姫と奴隷の決して叶わない恋がとても切なく、漫画を読み進めていくうちに二人を応援したくなる。姫と奴隷がようやく結ばれた時は国と国との戦争中。そこで奴隷のとった行動があまりにも辛く、漫画を読みながら私は泣いた。二人の恋愛模様と国と国との対立、人々との関わり合いがおもしろく描かれた作品である。