ミッシング(2024年の映画)

ミッシング(2024年の映画)

『ミッシング』とは、2024年に公開された日本映画。監督は吉田恵輔、主演は石原さとみ。娘の失踪事件をきっかけに、情報の荒波に巻き込まれ翻弄されていく母親とその家族たちの姿が描かれる。石原さとみがSNSでの誹謗中傷により心に傷を負う母親を演じ、高い評価を得た。

ミッシング(2024年の映画)のレビュー・評価・感想

ミッシング(2024年の映画)
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終わったときにすごいモヤモヤする

石原さとみさんが主演で、さすがの演技力。失踪した娘を探すシーンや号泣シーン、途方にくれたり、ときには狂ったように叫んだり、観るものを映画の世界に引き込みます。
主人公の娘の失踪がテーマですが、現実世界でもよく起こっており、自分も決して他人ごとではないからこそ、主人公の感情に自分の感情を重ねながら観ることができます。また、失踪した娘をテレビの報道番組で伝えていくスタイルで、報道番組の裏側も垣間見ることができ、日本の報道のずさんさや自分本位さに少しいらだちを覚える場面もあります。
必死に娘を探す主人公とどんどんその事件を忘れていく世間。その切なさやギャップに心いたたまれなくなると同時に、一般人の無力さについても考えさせられます。1人の失踪をめぐり、奥さんの目を盗んで助けてくれる人や募金をしてくれる人、冷たい目線を向ける人や同情もしてくれない警察官など、人のあらゆる感情に触れることができる映画です。
映画の中盤まではこのような多くの展開があり、ラストがどのように締めくくられるのかすごく楽しみだったのですが、ラストはすごく曖昧で、結局どうなるのかといった答えがないまま終わったので、途中までが良かったからこそ、消化不良でモヤモヤが残る作品でした。

ミッシング(2024年の映画)
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石原さとみさんの役作りに注目

石原さとみさんが出産後に初出演となったことでも注目されている「ミッシング」ですが、監督である吉田恵輔監督からは「華がありすぎて苦手だ」と、数年前に出演を1度は断られたことがあるそうです。
しかし今回、失踪した娘を探すことだけを思い、自分のことにはなりふりかまわず必死に生きる姿を演じる必要があり、ボサボサの髪にするためにわざとボディソープで髪を洗い、疲れた肌み見せるために肌の手入れもせず、石原さとみさんもちまえの華やかさを消す努力をされたそうです。
物語は失踪した娘を探すために必死に生きる夫婦がメインとなる話ですが、被害者家族でありながら母親への誹謗中傷がひどく、それでも負けずに、ひたすら娘を思い、必死で娘を探すために生きていく姿がただただ印象に残りました。
犯人はだれなのか?娘はどのように失踪しのか?そして身の安全はいかなるものか?
映画の内容も気になるところですが、それだけではなく、これまで明るく華やかなイメージが強い石原さとみさんが、この映画でどれだけ変わったイメージを演じるのか、注目が集まる作品ともなっています。ネタバレになりますが、ラストは観る人たちの気持ちが晴れやかになるものではなく、ただモヤモヤした気持ちが残るままになりました。1つの作品としてはラストの内容ではなく、キャストの演技が素晴らしい作品だと思いました。

ミッシング(2024年の映画)
8

石原さとみの新境地

映画「ミッシング」。娘が突然失踪してしまった母親役を石原さとみが演じます。
時間の経過とともに世間の関心は薄れていきますが、唯一取材を続けてくれる地方テレビ局の記者とともに、必死に娘の失踪を埋もれさせまいと奮闘。しかし、テレビへの出演が、ネット上で母親への誹謗中傷の標的とされてしまいます。
失踪事件を追いかけるテレビ局の記者も、視聴率獲得を狙う上層部の意向により、世間の関心を煽るような取材を命じられてしまいます。
愛する娘の失踪により、徐々に心を失くしていく母親役を石原さとみが体当たりで熱演。記者役を中村倫也、父親役を青木崇高、母親の弟役を森優作が演じています。
まず、この作品は出演している演者のレベルがめちゃくちゃ高い!何より、主演の石原さとみの演技は圧巻で、彼女のもはや演技とは言えないレベルの演技力が、作品に圧倒的なリアル感をもたらしています。
作品としては社会派サスペンスなので、終始重苦しく見ていてつらくなる作品ではありますが、昨今の報道やSNSのあり方について社会に問いかける秀作となっています。
石原さとみが吉田監督に逆オファーをして実現した今作とのことですが、女優が化ける瞬間に出くわすことができました。