DUNE/デューン 砂の惑星

DUNE/デューン 砂の惑星のレビュー・評価・感想

DUNE/デューン 砂の惑星
10

【人生で一度は観ておきたい】ド迫力のダークファンタジー映画

『ブレードランナー 2049』のヴィルヌーヴ監督、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『インターステラー』で知られているティモシー・シャラメ主演の超大作。『ロード・オブ・ザ・リング』に並ぶ元祖SF大河小説『DUNE』が原作の、壮大なダークファンタジー映画。

原作でもそうであるように、映画の入りからその独特の世界の説明はなく、急に『DUNE』の世界に私たちは放り込まれる。最初は何が何だかわからない。
だがいつの間にか作品のスケールの壮大さ、圧巻のシネマトグラフィー、数々の名画を手掛けてきたハンス・ジマーのベースがきいた深みのある楽曲、瞬きすることも忘れてしまいそうなアクションシーンに魅了されるのだ。気付いた頃には主人公である美青年ポール・アトレイディスのことを応援している。

流石に名優たちを集めているだけあって演技はもちろん文句なし、出演時間こそ少ないゼンデイヤも、終始存在感が薄れない。でもやっぱり注目したいのは主演ティモシー・シャラメの演技。特にゴム・ジャッバーの痛みのシーンはユニークな撮り方含め、何度観ても飽きない。彼はなんだか苦しみに涙を流す青年役をよくやっている気がするけど、それも頷ける。

本格的に指導者としてのポールが動き出すのは続編(PART2)の方だが、そのイントロなだけというにはあまりに大作すぎる。できるだけ大きな画面でみて欲しい一作である。

DUNE/デューン 砂の惑星
9

デューンに観る映像と音響の極地

ずっしりと重厚感のある映画だ。デューンの原作は60年代に発表され、古典SFの代表だ。ファンの間ではすっかり知られた物語でビルヌーブ監督も10代で読んだという。となれば興味はストーリー展開よりどう映像化されているかに移る。ビルヌーブはこの興味に現代の技術で可能な最高の映像美と音響で答えた。

映像は素晴らしい。デカくて重いIMAXカメラを贅沢に使い、重厚な画面を作り出した。カメラはほとんど動くことがない。
多くの絵がFIXショットで作られている。それはこだわりの画家が描き込んだ絵だ。カットの一枚一枚が描き込んだ絵で構成されている。美術館で鑑賞しているような感覚に囚われる。次にはどんな絵が現れるのだろう。そんな興味で映画の時間が流れていく。

もう一つ特筆すべきが音響。音楽担当者は誰なのかとクレジットを見るとハンス・ジマーとある。なるほど、言わずと知れた現代映画音楽の巨匠にしてアイコンだ。映画を観ているとその世界観に没入してしまうが、ふと気がつくと音楽が鳴っている。音楽なのか現場音なのか判別がつかない音響。没入してしまう理由の一つがこれかと思うのだが後で作って貼り付けたと言う感じがまるでない。まるで最初からそこにあったと思わせるほど自然なのだ。音響のおかげであらゆるカットが冴え渡る。長尺の映画であることもあり、鑑賞が辛い時間帯も確かにある。そんな時でさえ音響効果に神経を集中させると
その緻密さに心を奪われ、長さを感じることもない。むしろ観ている今の時間がとても貴重なものに感じられ、いつまでもこれが続いて欲しいと願ってしまうのだ。

映画好きを唸らせる映画であることは間違いないが、エンタテイメント性はあまりないのも事実。観客を選ぶタイプの映画だが、映画を観ると言うより何か別の体験をしたいと思った時にお勧めできる映画だろう。没入するほど楽しめる映画だし、没入を邪魔するストーリーの破綻やセットの嘘臭さを徹底してなくしている。一級の映画人が作った一級の映画と言えるだろう。

DUNE/デューン 砂の惑星
9

映画化不可能といわれてきたSF超大作を2部構成で遂に映画化!

『DUNE/砂の惑星』は米国で製作された叙事的SF映画で、監督はデニス・ヴィレニューヴ、脚本はジョン・スパイツ、ヴィレニューヴ、エリック・ロスです。本作は、1965年にフランク・ハーバートが発表した小説『デューン/砂の惑星』を2部構成で映画する構想の第1部です。この作品は原作のほぼ前半を映像化しています。出演はティモシー・キャメロット、レベッカ・ファーガソン、オスカー・イサーク、ジョシュ・ブローリン、ステレン・スカースガルド、デイヴ・ボーティスタ、ステファン・マッキンリー・ヘンダーソン、ゼンダヤ、ダヴィッド。ダッツマルチアン、チャン・チェン、シャロン・ダンカン-ブリュースター、シャルロッテ・ランプリング、ジェイソン・モモア、ジャヴィエル・バーデム。
人類の遥かな未来、デューク・レト・アトレイデスは、デューンとしても知られる危険な砂漠の惑星アラキスへの先導役を引き受けました。この惑星は、人間の寿命を伸ばし、思考を超人の域にまで高め、光速よりも速い宇宙旅行を可能にするドラッグ、すなわち「メレンゲ」(「種」とも呼ばれる)という宇宙で最も貴重な物質の産地である星です。
レトはこのチャンスは敵によって仕掛けられた巧妙な罠であることを知っていたにも関わらず、ベーネ・ゲッセリトの側室ジェシカ王女と彼女の若い息子、相続人パウル、アラキスへの最も信頼できる助言者たちを伴います。レトは種の採掘場を配下に収めます。しかし、その採掘場は巨大な砂むしによって危険にさらされます。辛辣な裏切りが行われて、砂漠奥深くに棲む、アラキスの先住民であるフレメンにパウルとジェシカを向かわせます。

DUNE/デューン 砂の惑星
10

その映像に耽美する!ドゥニ・ヴィルヌーヴが緻密に描く重厚なSF作品の金字塔!!

フランク・ハーバートの同名小説を映画化した作品です。時代を超えて生きる名作SFで、後に続く多くの作家たちにも影響を与えています。

1984年に映画化され劇場公開されたり、その後もテレビシリーズで映像化されたりしています。今回は「ブレードランナー2049」を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴの手によって、見事なまでの美しさで映画作品となりました。

広大な宇宙を星間航行する時代、それに必要不可欠な、“スパイス”を産するアラキスはとても重要な惑星である。この惑星の支配権をめぐり、アトレイデス家とハルコネン家は熾烈な争いを繰り広げる。しかし背後で帝国皇帝が巧みに糸をあやつり、アトレイデス家はハルコネン家に潰される。当主レトは殺害され、後継者のポールとその母ジェシカは死の砂漠地帯に取り残されてしまう。しかしそこで先住民のフレーメンと出会い、その命を救われたポール。そして彼はフレーメンとともに生き、アラキスの本当の力を探すことを決意する…

冒頭のメイン・タイトルに示される通り、今回はPart1となるため、小説の序盤あたりまでの映像化となっています。

しっかりと人間を描くドラマとなっていて、登場人物の感情が丹念に語られています。

2時間半近くの作品ですが、見惚れてあっという間に終わってしまったという感じです。