Vivy -Fluorite Eye's Song-

『Vivy -Fluorite Eye's Song-』(ヴィヴィ フローライトアイズソング)は、2021年4月から2021年6月にかけて放送されたオリジナルテレビアニメ作品。2021年4月から山高守人によるコミカライズ、長月達平・梅原英司によるノベライズも行われている。公式略称は「ヴィヴィ」。
2061年、人とAIが共存する町、ニーアランド。自立人型AIである主人公のヴィヴィは、「歌でみんなを幸せにする」という使命のもと、小さなステージで歌を披露していた。
そこへ、100年後の未来からAIのマツモトが突如現れる。マツモトは100年後に「AIによる人類抹殺」が起きることをヴィヴィに伝えると、ヴィヴィを半ば強引に人類抹殺の阻止計画、「シンギュラリティ計画」に参加させる。
本作品はヴィヴィとマツモトという2体のAIが時に反発し、時に協力し合うSFヒューマンドラマ作品である。
AI・歌・歴史改変の3つを主題として、重厚なストーリー、美麗な作画・アクションシーンが神前暁の音楽で彩られており、第8回アニメトレンドアワードでは、ベストアニメーション制作、オリジナルアニメ部門、音楽アニメ部門を受賞するなど、関係者からの評価も高い。

Vivy -Fluorite Eye's Song-のレビュー・評価・感想

Vivy -Fluorite Eye's Song-
9

2021春アニメでも一二を争う作品

2021春の完全オリジナルアニメで、ジャンルはSFです。
「心を込めた歌で人を幸せにする」使命を持ったディーヴァ(ヴィヴィ)が「AIと人の戦争を止める」使命を果たすべく100年後の未来からやってきたAIマツモトとともにAIの過剰な発達を阻止するべくシンギュラリティポイントと呼ばれる歴史の転換点において歴史を変えていくというお話です。
作中シンギュラリティポイントにおいて関わるAIは、「シスターズ」と呼ばれるヴィヴィの後継機に当たるAIたちで、ヴィヴィとマツモトは望む望まずにかかわらず、結果的に彼女らを破壊することになってしまいます。
作中時間の経過とともに表情豊かになっていくヴィヴィと、最初からよくしゃべるが使命にかかわることには極めて事務的なマツモトがヴィヴィと「シスターズ」との関わりの中で、事務的なだけではなくなっていくところ。しかし物語はそんなに明るいわけではなくむしろシンギュラリティポイントでの体験でヴィヴィは心をえぐられるような展開が多いです。果てにはとある場所でヴィヴィは精神に異常をきたして機能停止してしまいます。
特に最後3話は必見です。SF作品として見ると、多少の粗・多少のご都合展開はあるものの、よく使われる題材で全く新しい物語が展開されていて、続きが気になって仕方がなかったです。
改めて見返してみると分かる、丁寧に張られた伏線や描写など「ここかぁ」と思うような表現もあり、初見でも二度目でも楽しめる作品だと思います。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
10

とりあえず2話だけ見てほしい

AIが主人公の作品です。このアニメはまず、いきなりAIに人々が殺されるところから始まります。これは100年後に実際に起こったこととして扱われています。世界観としては近未来(2061年)の設定となっており、冒頭で人間のように複数の作業(プログラムを書くAIに子育てをさせる)をAIにさせていますが、処理が追い付かず全くこなせません。この事例によって決められたのが、AIには生まれたときに使命が原則として1つ与えられるということです。主人公であるvivyには「歌でみんなを幸せにすること」が使命として与えられます。しかし、100年後からマツモトというAIが歴史の修正を行い、100年後のAIと人間の戦争を止めてほしいと協力を求められます。そして100年をかけてAIとの戦争になるきっかけ(シンギュラリティポイント)の修正を繰り返していくというストーリーになります。このアニメは1話見て切ってしまうと非常にもったいないので、最初の2話を見ることをおすすめします。理由は2話で1つのシンギュラリティポイントを修正するという2話完結のようなストーリーになっているからです。実際にアニメが放映された時も2話で一挙公開されており、制作側の意図としても2話同時に見てほしいということがインタビューで語られていました。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
10

自我を得た歌姫の声とは

『Vivy -Fluorite Eye's Song- Vocal Collection ~Sing for Your Smile~』は、オリジナルアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song』の劇伴からヴォーカル曲のみを集めた一枚だ。全曲にわたってクオリティの高いアルバムで、アニメの作品世界を知らなくても充分に鑑賞に値する作品になっている。
アニメ作中では、自律型AIであるVivyの百年にわたる孤独な闘いが描かれている。AIの暴走を抑え、人類との戦争を回避させるという崇高な目標に向かって奮闘するVivyは、劇中でしだいに成長をしていくが、それにともない曲調も歌い方も変わっていく。一曲一曲、作中の時系列で並べられた曲を聴いていくことでい、リスナーはVivyの成長を追体験できるという構造だ。むろん、最初に書いたように、物語背景など知らずとも楽しめる極上の一枚だ。
並ぶのは耳に残る名曲ばかりだ。冒頭のVivyによる「Sing My Pleasure」の緊張に満ちたイントロから、二曲目はキュートなヴォーカロイドを思わせる汎用型歌姫AIのアップチューン、「Happy Together」で心はすっかり掴まれる。
三、四曲目と、しっとりしたVivyの曲が続いた後、五曲目は悲劇のAIエステラとエリザベスの「Ensemble for Polaris」の感動の歌声に震える。
六曲目はグレイスによる「Sing My Pleasure」だ。Vivyバージョンとアレンジが変わっているのを聞き比べてもいい。
七曲目の一転してハイテンポで迫る「Galaxy Anthem」を聴く頃には心がすっかり囚われ、ラスト十曲目の「Fluorite Eye's Song」まで一気に運ばれていることだろう。
全編を通して優れた歌唱だが、特にVivyである八木海莉の歌が図抜けている。本当に良い仕事だ。また音質も悪くない。女性ヴォーカルものが好きな方なら、ぜひ一聴していただきたいアルバムだろう。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
10

ハイレベルなシナリオと演出が送る、切なくも美しい100年の旅

Vivy -Fluorite Eye's Song-(以下Vivy)は、2021年4月から1クール(全13話)にわたって放映されたオリジナルアニメです。シリーズ構成・各話の脚本に『Re:ゼロから始める異世界生活』で有名な長月達平氏、及び当該作品のアニメや『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』において脚本を手掛けた梅原英二氏が携わった、SFアニメーションとなっています。
世界初の自律人型AIとして生み出された歌姫AI・Vivyは、ある日未来からやってきたサポートAI「マツモト」と出会います。彼がやってきた100年後の未来ではAIによる反乱が発生し、人類が滅亡するという事件が発生。彼女はマツモトと協力し、未来戦争を食い止める為に100年の旅をする――というのがおおまかなあらすじです。

このアニメの一番の見どころとしては、先に述べたお二方が描かれるハードながらも温かみがあるストーリーがまず挙がるでしょう。作中における100年の旅は2~3話ごとに特定のポイントに注目して語られるオムニバスに近い形式になっていますが、それぞれの時代で描かれるゲストキャラと彼等が描く物語は、悲劇的な面を持ちながらも「使命」というテーマに沿った非常に魅力的なものとなっています。AIでありながら心を探すVivyが、それぞれの時代で姉妹機や人間たちに触れながら自分の使命と向き合っていくという本筋の中で、それぞれのシナリオが重要な意味を持っていきます。
また、1話ごとの「ヒキ」も、次回への興味を強く沸かせるものから味わい深さにしばらく没頭してしまうようなものまで揃っている魅力の一つと言っていいでしょう。原作なしということもあって、リアルタイムでは次回が気になって仕方がない!と感じる人が続出するような、視聴意欲を強く刺激するものとなっています。

こうした美しい物語を描き出す作画も、非常に素晴らしいものとなっています。『進撃の巨人』や『終わりのセラフ』を手掛けたWIT STUZIOが手掛けたこの作品においては、激しい動きを行うアクションシーンから一枚の絵として美しいと思わせるワンカットまで、どのシーンにおいても精巧な筆致で彩られています。
特に、AIが人工物であることを強く描き出す独特のタッチで描かれるカットは、1枚で強く印象付けられるような美しさを持ち、この作品の個性といえるでしょう。

そして、やはりこの物語を彩るものとして、「使命」と並んで作品のテーマとなっている「歌」が挙げられます。
アニメ内ではしばしばキャラクターが歌う形式をとりますが、これはCVを務める人とは違い、ヴォーカリストの方々を追加で各キャラの歌唱にあてる、という非常に豪勢な形式となっています。作中で歌われるシチュエーションとマッチした歌詞が、本職のヴォ―カリストの方々の巧みな表現力で視聴者の心を揺さぶってきます。
そして、最終話ではそれまで辿ったからこそ分かる、アニメならではともいえる「歌」の仕掛けが…?
もちろん、ヴォーカル以外のシーンでキャラクターに命を吹き込む声優の方々の演技も、「AIらしさ」を演出しながら感情を確かに乗せる職人技となっています。特に、マツモトを演じる福山潤氏は外見で感情を描きづらいながらもその一挙一動に意思を乗せながらコミカルさを演出する、一聴の価値ある名演です。

シナリオ・作画・そして歌と演技、非常に高いクオリティで、描かれた確かな名作、Vivy -Fluorite Eye's Song-。2体のAIが辿った100年の旅を、是非見届けてください。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
9

AIと人間との違いが!?

「歌でみんなを幸せにする」を目的として作られたAIが100年後から来たAIと共に未来に起きる「人類とAIとの戦争」を防ぐ為にAIの発展するという歴史を修正する物語。

100年と聞いて長い話かと思いましたが歴史の修正点が4箇所しか無く、ヒロインの活躍の場が少なく感じました。
話は4箇所のシンギュラリイポイント毎に事件や事象を防ぐストーリー。各ストーリー毎にテーマ曲があり挿入歌で使用されています。それぞれ感情移入出来る曲となっています。

主人公ビビ達の活躍で事件は防がれたり、変遷されていきますが観ていると逆に発展が進むのでは?と思うことがありますが、その辺は気にせず各ストーリーを集中してみた方がいいと思います。
タイムリープものやパラドックスものは深く考えたりしない方が楽しめるものです。そもそも何で100年前なのって事になると話が成立しませんので。
その分曲や歌がこの作品の魅力をカバーしてくれていると思います。

登場人物がAI中心で人類の登場人物が少ないです。AIの方が純粋で使命に対して邁進しているのに対し、人の方が残酷であったり、弱く脆かったりする様に感じてしまうので、もう少し人類が出てると見応えが増したかも知れません。AIの見た目も主要キャラは人間そのものなので人類の出番は無かったのかも知れませんが。
AIでもビビやオフィーリアの様に悩みや葛藤が描写されてるので人間との違いが曖昧になってしまいます。人類側よりAIの方が感情移入してしまいます。

全体を通しての感想は曲が非常によく、感情移入出来るアニメだと思います。ビビとマツモトの掛け合いが非常によいです。
人類とAIを創造主と人間に視点を換えて見てみるのも面白いかと思います。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
9

人間とAIの関係を美しくも儚く、現代社会から未来を見据えた作品

歌姫AIとして「歌で人を幸せにすること」という使命を持った自立人型AIのヴィヴィ。しかし、心を込めるということが分からず、客もまばらです。そんな中で出会った1人の少女により、彼女の中で心が芽生え始めていました。
しかし順調にはいかず、100年後の未来で暴走したAIが人間を殺すという恐ろしい事件が発生します。それを止めるためにヴィヴィの元へやってきたマツモトというAI。
最初はマツモトの言うことが信じられず、非協力的でした。時間が経つにつれ、AIと人間に関係した事件が多発するようになり、遂にはヴィヴィに懐いていた少女をも失ってしまいます。
ヴィヴィは本来の使命である「歌で人を幸せにすること」にこだわっていましたが、この一件より100年後の未来で人類を救うことに協力的になります。その任務に携わる中で、心を込めて歌うとはどういうことかを少しずつ分かるように成長しました。
現代社会ではAIの開発が進んでおり、人間の仕事が無くなるなど危惧される中で、生活が便利になりつつありますよね。私達はどこまでAIに頼ってよいのか、それによって起こる問題はないのかを考えさせられます。現代問題に触れながらも、美しい映像と迫力のある音楽で、より感情を動かしてくれる素晴らしい作品となっているので是非ご覧頂きたいです。

この作品の劇中歌は神前暁さんが作曲しています。戦闘シーンでの楽曲は緊迫感を与え、ヴィヴィの感情や思いが目からだけではなく、耳で感じ取ることが出来ます!
また、ヴィヴィ(八木海莉さん)によるオープニングや劇中歌は、その時のヴィヴィの感情に合わせた歌い分けをされているので聞いているだけでも涙が溢れてきました。
あまり、注目はされていない作品ですがとても美しい作品ですので、是非多くの方々に見て頂きたいです!

Vivy -Fluorite Eye's Song-
8

美しい音楽と映像

近未来のAIと人間の戦争を止めるために任務を遂行する歌姫。
いつも物語の鍵となる主人公ヴィヴィや、姉妹AI達の歌声が美しく、何度も観たくなる。むしろ何度も聴きたくなる。
終盤の黒幕が誰か、についてや、最大の危機回避については多少予想通りで安直な展開ではあるものの、あまり気にならない。その部分にこだわる視聴者は最後までは観ないだろう。
過去にもAIや人型ロボットと人間の関係を描いたアニメは多くあるが、このアニメではほぼ人間と同等の権利を持ち、より人間と共に生活するAIが登場する。外見は人間と変わりなく、感情もあるように見えるAI達に依存して人間達はその境界を見失う。
一方AI達は一貫して使命を遂行するために稼働し続けようとする。「使命」というAIにとっての絶対的な命令を、時を越えて実行するため稼働し続けるヴィヴィにその難解な題目を設定したマスターは、自分が見ることのできないだろうはるか未来の結末に得たヴィヴィの進化を、期待した通りのものとしたのたろうか。
SF的な要素については突っ込みところも多いものの、これから現実にAIと呼ばれる者達がパートナーとなっていく未来に思いを馳せる事はできる。
美しい歌姫AIたちの健気な戦い。美しいアニメだと思う。

Vivy -Fluorite Eye's Song-
9

AI×美女×歌×タイムリープ×アクション

舞台は2061年、AIが浸透した社会。「歌で人を幸せにする」というたった一つの使命を帯びた自律型AIヴィヴィの元に、100年後の未来からマツモトと名乗るAIが訪れることから物語が動き出す。
マツモトの目的は100年後に起こるAIの人類への反乱を防ぐこと。そのための歴史改変計画「シンギュラリティ計画」と使命の狭間でヴィヴィは葛藤と選択を迫られていく。

本作の見どころは何と言っても自律型歌唱美女AIヴィヴィ。「歌で人を幸せにする」ことが存在意義でありながら、物語開始時点では観客の心を揺さぶる歌を歌えない。そんなヴィヴィが「シンギュラリティ計画」という100年の旅の中で、多くの人間やAIと出会い成長する。
ある意味王道のストーリーではあるが、キャラクターの美しい表情、派手でカロリーの高いアクション、ここぞという時に流れる音楽が物語を最大限に盛り上げる。
シナリオも整合性を維持しつつ、見せ場では良い嘘でキャラクターの心情に寄せている。
歌がテーマのアニメでは、宣伝のために脈絡もなく歌を流すケースもあるが、そのような心配はない。ヴィヴィ役の種崎敦美、マツモト役の福山潤がインタビューの中で「全部見て欲しい」、「何度も泣く」と語っているが、決してリップサービスではないと思える作品だ。