ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジのレビュー・評価・感想

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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
7

主役のモンスターの愛嬌が完全に定着したシリーズ第2作

2021年に公開されたマーベル原作のアメコミヒーロー映画で2018年に公開された「ヴェノム」の正当な続編です。
自由に食事もとることもできずヴェノムと主人公エディの関係性がぎくしゃくする中、エディの血を飲んだ凶悪犯から新たなシンピオードが誕生してしまい…といったあらすじで、ヴェノムから生まれた更に邪悪な敵・カーネイジとの激闘が描かれます。
映画「スパイダーマン3」の敵キャラポジションから一転、前作ですっかり愛され(萌え?)キャラになった感のあるヴェノムのキャラは作り手もいい意味で味を占めたのか(笑)本作でも更に磨きこんで描かれ、エディとヴェノムの関係性も悪友でもBLでも行けそうな勢いになっていましたが(笑)、本作は一度はコンビを解消しかけたエディとヴェノムの関係性がカーネイジとの闘いで再び修復されていく姿は王道の流れでした。
敵キャラとなるカーネイジは劇中大量殺戮を引き起こし、また宿主も利用するだけと見事に対比的な存在になって悪役ぶりが引き立っていましたね。
本作はマーベル作品では珍しく90分ぐらいの上映時間なため多少あっという間感じもありましたが、逆に観やすい時間ともいえ、ラストではお馴染みの次回作へのフリもあり(笑)スパイダーマンシリーズがマルチバースを扱ってることも含めどうユニバースが展開されるかも気になりますね。

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
6

ヴェノム君、ずいぶん人になついたね

しばらく見ないあいだに、ヴェノム君もずいぶん人間っぽくなったものである。とにかく宿主たるエディへの愛が半端ない。記者としてのエディに「いい仕事」をさせるためにスクープネタを掴んでやるわ、捜査官ばりの事件解明をしてみせるわ、元恋人との仲をとりもってエディに元気になってもらおうとするわ、律儀に食事制限して人(脳)は食べずに我慢してみせてる一方で代替食として飼ってるニワトリにはペット的な愛着を持つわで、中身は完全に人間化してしまったご様子。ほほえましく見られるシーンは随所にあり、とても愛着の湧くキャラクターにはなったが、そのぶん、映画トータルのパワフルさや破格感は半減したようにも感じる。
物語にパンチを感じづらいもう一つの要因は、敵キャラクターの描写にもある。特にシュリーク。ヴェノム以外はノーマルな人間しかいない世界観かと思っていたところになんの説明もなく突如わいた異能者。映画冒頭の物語の雰囲気から、マイノリティの苦悩を抱えた悲劇のヒロイン的な立場になるのか、その能力ゆえに物語全体にゆさぶりをかける存在になるのか、などと思いきや、後半の立ち回りっぷりはただのボニー&クライド。しかも、軽く相棒に迷惑かけたあとにあっさりと退場、一体このキャラにどう感情移入したらよいのか最後まで視点がふらふら定まらないまま終了してしまった。
恐ろしさがなくなったぶん、可愛いヴェノム君をたっぷり堪能できる作品。トム・ハーディのひとり芝居は見ごたえあり。