ミッドウェイ

ミッドウェイのレビュー・評価・感想

New Review
ミッドウェイ
8

太平洋戦争において世界の命運を左右した決戦を映画化

『インディペンデンス・デイ』、『2012』などのローランド・エメリッヒがメガホンとり、太平洋戦争において日米の運命を分けることになった世紀の決戦を映画化。
『ゲーム・オブ・スローンズ』、『デットプール』などの出演で知られるエド・スクラインを中心に『アクアマン』などのパトリック・ウィルソンや数度、アカデミー賞ノミネートされる実力派のウッディ・ハレルソンが出演、日本からも豊川悦司、浅野忠信、國村隼が出演している。
本作の特筆すべき点はアメリカ映画でありながら、日米両方の視点で物語が描かれている事だ。
エメリッヒ監督曰く、「戦争には勝者はなく敗者しかいない、なぜならどちらの命も失われるからだ」と語っており、どちらの陣営にも”正義”があり、戦うべき理由があったとしている。
そのため、エメリッヒ監督は一方からの視点ではなく、”ミッドウェイ海戦”を通じて双方を描くことで日米の戦う意義と共にそこで失われる命の尊さを描きたかったと語っている。
そのメッセージは作中、至る所で感じられるが、特に印象深いのが、エンドロールの際に表示された「海はすべて覚えている」と言う言葉ではないかと感じる。
この言葉には、いずれも祖国の為と信じ、散っていった尊い命、そこに正邪はなく、それだけに虚しさがこみ上げる。
そんな、メッセージを内包しているように感じられてならない。

ミッドウェイ
8

戦争しないためにも観るべき

2019年制作の映画です。本海戦だけでなく、真珠湾からのドキュメンタリーになってます。
日本、アメリカの両視点で描かれてます。真珠湾、東京初空襲、ソロモン、本海戦の順番。
人間の生き死にを描いてるので、若干グロいです。今も共通してるのが、日本が情報戦に負けた事。
防御陣形の甘さ、決定的なのは対艦戦では魚雷でなければならないという司令官の奢りだと思います。
勝って反省しない日本、負けた事を反省して糧にしたアメリカ。その差がでたのかも。
アクション、メカニカルの面は申し分ありません。プロペラ機ですが、乗り物、特に飛行機興味ある人は観てもいいかも。
人間関係は両国ともに差が表れてます。
若い人にはわからないかもですが、年上には絶対服従で死で償う日本、年下でも上官なら服従して反省するアメリカ。
日本は熟練パイロットをほとんど失ったのがでかい。本海戦以降、坂道を転がるように、パイロット不足に悩ませられます。
キャストは日本は名俳優がでてますね。アメリカの方は知らない人がいましたが。
ありえんでしょうが、ここで戦争やめとけば、日本は救われたかも、借金も抑えられたかもと思います。
個人的に印象残っているシーンは、吹替版ですが加賀の爆撃シーンで「俺はこれで飯食ってるんだ」と言うシーンです。

ミッドウェイ
7

太平洋戦争の転機となった日米海軍の激突を大スケールで描き切った戦争映画『ミッドウェイ』

『ミッドウェイ』は2019年公開の米国の戦争映画で、第二次大戦太平洋戦域の転換点になったミッドウェイ海戦を扱っています。
映画の監督はローランド・エメリッヒ、製作はエメリッヒとハラルド・クローサー、脚本は『ミッドウェイ』です。
出演は エド・スクライン 、パトリック・ウィルソン、ルーク・エヴァンズ、アーロン・エッカート、ニック・ジョナス、マンディ・ムーア、デニス・クエイド、浅野忠信、ウディ・ハレルソン。
この映画製作にエメリッヒはただならない情熱を注ぎ続け、一度ならず資金難に陥りながらも、資金集めが功を奏して2017年に製作発表を行いました。
主要な出演者は2018年夏に映画製作に合流し、その年の9月にハワイで撮影が始まりました。
一部の撮影はモントリオールでも行われました。製作予算は1億ドルで、単独の映画製作予算としては最高額です。
『ミッドウェイ』は2019年11月8日に米国で劇場公開されました。
歴史的に正確に描かれているとの評判が経ちましたが、批評家の中には芳しくない評価を下す者もいたそうです。
全世界での興収は1億2500万ドルでした。
1937年12月の東京で米国海軍駐在武官で諜報将校のエドウィン・T・レイトン中佐は太平洋での日米海軍の配備状況について日本側の将校と会談していました。
レイトンに警告を与えた日本側の将校は山本五十六提督です。

ミッドウェイ
7

空前絶後のスケールで描かれた日米両海軍対決のミッドウェイ海戦!

ドイツ出身の監督ローランド・エメリッヒは「破壊王」という仇名で知られる通り、戦闘シーンでは万物を破壊して止まないスケールの大きな激しい作風を特徴としていますが、そのエメリッヒ監督が太平洋戦争の最初の転換となったミッドウェイ海戦を日米両側の視点から描きました。それが映画『ミッドウェイ』。ローランド・エメリッヒが広く名を知られるようになったのは『インデペンデンスデイ』でした。この監督は登場人物の内面をきめ細かく描写するのは苦手なようで、ストーリーを力任せにグイグイと造形します。『ミッドウェイ』でもこれでもかというほどに空中戦の場面を展開し、CGで再現された迫真の戦闘に手に汗を握ることになりました。この映画はローランド・エメリッヒにとっての「会心の一作」ということができるでしょう。ところで、日本人として見ていて気持ちのいい点は日本海軍の高級軍人(たとえば山本五十六や山口多聞)たちが一様に潔い武人として描かれていることです。実際の山本五十六は、ミッドウェイ海戦の時期には慢心の塊だったらしく、彼の指揮下にある連合艦隊の士気を弛緩していたとか。そういうネガティブなイメージはまったく醸し出されず、この作品の中では帝国海軍の将帥たちは淡々と戦い、そして死んでいきます。

ミッドウェイ
7

破壊王エメリッヒの戦争映画

主人公は太平洋艦隊情報主任参謀『エドウィン・レイトン(パトリック・ウィルソン)』と、太平洋艦隊司令長官『チェスター・ニミッツ(ウディ・ハレルソン)』。
開戦前、米海軍武官として東京に駐在していたレイトンは、開戦後、配属された情報部で暗号解読に長けた部下との協力により、日本の次なる攻撃目標がミッドウェイ島であることを解読。
それにより、ニミッツは情報戦から決戦を決意した。
奇襲攻撃により南雲機動艦隊を撃退するところで、物語は終わります。

作品は実在の人物を配しながら開戦から当海戦までの約半年を史実に沿って進みますが、米国の視点と現場目線で作られていることを前提に見る必要があります。
また、史実に基づいているエピソードはフィクションの部分もあるようですが、それほど気になりません。

戦闘シーンはこの監督らしくCGなどの特撮で見せるもので、最初こそ絵的な迫力は感じられても何ら重みのない映像はゲームに近く、監督のヒット作『インディペンデンス・デイ』と似ているように思えます。
艦上爆撃機ドーントレスが艦船に急降下爆撃するシーンは、敵艦からの対空砲火を過剰な映画的表現であらわしていますが、この過剰さにこそ「映画は娯楽なんだな」という想いを感じます。