バラバラ連続殺人鬼の正体
児童相談所の職員である夏目アラタが、ある事情からバラバラ連続殺人鬼である品川ピエロと結婚するというお話しです。ちなみに殺人事件の被害者たちはみなアラタと同じ30代の男性です。
品川ピエロこと真珠と新の刑務所での面会を中心に物語は展開します。真珠とアラタの攻防はハイレベルで見ていてハラハラします。
学校にも通っておらず知能が低いとされている真珠は、医学や法律について高度な知識を有しており、心理操作にも長けていることが面会を続けるうちに明らかになります。殺人鬼、虐待を受けていた少女、ピエロの顔をした太った醜い姿、痩せた可憐な姿といった様々な顔をもつ真珠に興味を抱き始めた新は事件や真珠という人間について独自に調べ始めます。
真珠は幼少期に知能検査を受けておりかなり低い結果が出ていました。ところが逮捕後の検査では平均を大きく上回る知能を有することが確認されます。知能が低くいじめられていた少女がいかにして頭キレキレのヤバい連続殺人鬼になったのか。真珠の父親は誰なのか。被害者たちはどのように選ばれたのか。謎が謎を呼ぶ展開に目が離せません。
最初はサスペンスやミステリーの要素が強いですが、徐々に児童虐待や人生への絶望、人を愛するということといった普遍的な問題が語られ、最後は涙無くして読めないこと請け合いです。