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児童相談所の職員と殺人鬼の疑心暗鬼な獄中結婚
正義感が強く虐待親にはすぐ手が出るダメ男な児童相談所の問題児・夏目アラタと、凶悪な連続殺人鬼・品川真珠が、真珠が殺した遺族の首の行方を巡り計算高い駆け引きを繰り広げる獄中恋愛サスペンス。
まず児童相談所の職員と連続殺人鬼というキャラクター設定が斬新。
短気で喧嘩っ早いが肝が据わっており、虐待された子供が見せる引き攣った笑顔をほっとけないアラタには好感が持てる。真珠のミステリアスでサイコパスなキャラクターも魅力的で、美麗な絵柄と相俟って目の保養になる。
インパクト抜群の顔芸も見所だが、アラタと真珠の薄氷の上を渡るような虚実入り乱れた関係性にどんどん引き込まれていく。アラタは遺族の依頼で真珠に近付くのだが、時折覗かせる彼女の素顔(らしき言動)に心を掴まれ、真珠もアラタの包容力やストレートなアタックにだんだんとほだされていく。
しかしその全てが演技の可能性も捨てきれず、ドキドキハラハラが持続する。真珠は決して底を見せず大きな秘密を抱えており、アラタもまた彼女に嘘を吐いている。真実が暴露されて二人の関係が破綻するのか、それとも新たな局面に飛躍するのか、先の展開が全く予想できない。