ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBER

ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBER

『ゴールデンスランバー』とは、堺雅人主演のミステリー・ハードボイルド映画である。2010年1月に公開された映画で、日本の小説家の伊坂幸太郎の小説『ゴールデンスランバー』を映画化した作品。仙台運送で働く青柳雅春(あおやぎまさはる)が総理大臣を殺害した事件の犯人に仕立て上げられていくストーリー。映画のロケは全て仙台で行われた。映画のキャストは堺雅人の他に、竹内結子、浜田岳、香川照之、吉岡秀隆などが出演している。2018年2月にはカン・ドンウォン主演の韓国映画版『ゴールデンスランバー』が公開された。

ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBERのレビュー・評価・感想

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ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBER
8

【冤罪映画の傑作】とにかく逃げて、生きろ

この作品は主人公青柳が首相殺しの犯人に仕立て上げられるストーリーになっている。一見内容が重たいものの、昭和を感じさせる音楽や映像、登場人物の明るさによって見ていて苦にならないようにうまく作られているなと思う。まさに冤罪という深刻な題材をポップに描いた傑作。
場面にそぐっていないのではないかと思わせるいい意味でダサい音楽が見ていて最高に気持ちがよい。また、登場人物は警察を除くと基本的には、明るく陽気な人が多いため見ているこちらは青柳とその周りの人間を応援せずにはいられない。
青柳役を演じる堺雅人のTheいい人な見た目に加え、青柳自身も本当に陽気で純粋な性格である。そのため見ているこちらは「こんなにいい人が犯人なはずがない。」と思う一方、青柳を追い続ける警察の存在に終始もどかしさを感じる。
この作品では犯人が誰だったのかは描かれない。もしかすると、青柳は本当に犯人で、自分の周りの人間のみならず観客である私たちをもだましに来ているのかもしれない。青柳が犯人なのか、仕立て上げられただけなのか、自分の目で実際に確認していただきたい。
しかし、ラストに私たちを待ち受けている圧巻の伏線回収のせいできっと見終わった後には誰が犯人だったのかなどどうでもよくなっているだろう。

ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBER
8

映画 ゴールデンスランバー 見てもいいかも

原作は伊坂幸太郎。舞台は杜の都「仙台」、季節は初夏。
首相暗殺事件の犯人にされた主人公(堺雅人)がなんだかんだと必死に逃げまわる、コメディ時々サスペンスの映画です。主人公の大学時代の友人に吉岡秀隆と劇団ひとり、かつての恋人に竹内結子、父親に伊東四朗、謎の殺人鬼に濱田岳、追う側の警察メインに香川照之と豪華キャストを布陣。みなさんお上手で迫力があり引き込まれます。
また頻繁におりこまれている主人公達の大学時代の回想描写が多くの細かい伏線となっており、後半少しずつ回収されていくのが心地よかったです。他にも「なるほどね!」と楽しめる仕掛けにあふれています。父親が登場するシーンでの伏線と終盤での回収などは、ありきたりではあるのですが、見事で私は気に入りました…「痴漢は死ね」…意味不明でしょうがご覧になれば分かります。
残念ながら偶然に偶然を重ねるご都合主義的展開やリアリティの無さも随所にみられますが、そこは気にしないでメインテーマである「人間の最大の武器は習慣と信頼」がどう描かれているかを楽しむのが正解なのかもしれません。最後まで見るともう1度、最初の部分を見直さずにはいられません。
なおタイトルはビートルズの「Abbey Road」に収録された楽曲で、映画の中で何度も口ずさまれます。