【冤罪映画の傑作】とにかく逃げて、生きろ
この作品は主人公青柳が首相殺しの犯人に仕立て上げられるストーリーになっている。一見内容が重たいものの、昭和を感じさせる音楽や映像、登場人物の明るさによって見ていて苦にならないようにうまく作られているなと思う。まさに冤罪という深刻な題材をポップに描いた傑作。
場面にそぐっていないのではないかと思わせるいい意味でダサい音楽が見ていて最高に気持ちがよい。また、登場人物は警察を除くと基本的には、明るく陽気な人が多いため見ているこちらは青柳とその周りの人間を応援せずにはいられない。
青柳役を演じる堺雅人のTheいい人な見た目に加え、青柳自身も本当に陽気で純粋な性格である。そのため見ているこちらは「こんなにいい人が犯人なはずがない。」と思う一方、青柳を追い続ける警察の存在に終始もどかしさを感じる。
この作品では犯人が誰だったのかは描かれない。もしかすると、青柳は本当に犯人で、自分の周りの人間のみならず観客である私たちをもだましに来ているのかもしれない。青柳が犯人なのか、仕立て上げられただけなのか、自分の目で実際に確認していただきたい。
しかし、ラストに私たちを待ち受けている圧巻の伏線回収のせいできっと見終わった後には誰が犯人だったのかなどどうでもよくなっているだろう。