WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』とは、三浦しをんの著書『神去なあなあ日常』を原作として公開された青春映画である。大学受験に失敗した平野勇気は「緑の研修生」という林業研修プログラムのパンフレットを偶然見つける。その表紙の美女に憧れて神去村(かみさりむら)にやってくるが、そこには癖だらけの村人たちが暮らしていた。何度も逃げ出そうとする勇気だったが、次第に林業の魅力にみせられていく。この映画はたくさんの小ネタに笑わせられつつ、森林風景の美しさや人との出会いに感動する物語になっている。

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜のレビュー・評価・感想

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜
10

林業最高じゃん!

大学受験に失敗し、高校卒業後の進路がまだ決まっていない平野勇気(染谷将太)は人生に迷っていた。
そんな時、商店街に置いてあった林業で働く方の募集のパンフレットを見つけ、その表紙の女性目当てで勇気は応募する。
三重県の山奥まで来た勇気は他の林業を志望する若者たちと一緒に基本的な研修を学んでいた。
しかし、勇気は今一つやる気が出ない状態で研修を過ごし、林業を馬鹿にした態度だった。
自分にはこの仕事は合わないと思い、辞めようと宿泊施設から脱走しようとするが、表紙の女性 石井直紀(長澤まさみ)に会い、その女性とまた会いたいとの下心から脱走を中止し、施設に残る。
研修を終え勇気は破天荒な山の男 飯田与喜(伊藤英明)の家に居候しながら中村林業で1年間の研修を積むことになった。
初めは慣れない仕事に耐えかねて脱走しようとするが、与喜に連れ戻されたり、怒鳴られながらも悪戦苦闘しながら仕事を一つ一つ覚え、林業の大切さを学んでいき、大きく成長する。
「林業」は想像つかない分野であり、実際に従事している方を見ることはなかなかないと思う。
しかし、私たちが日々使っている紙、家の土台になる材木は林業の方々が日々山と向き合い一本一本育てているからこそ手に出来るものだと改めて実感した。
自然が大好き、非日常体験をしたい方にお勧めの映画である。

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜
9

気軽に、やってみる。

三浦しをんの小説「神去(かむさり)なあなあ日常」を原作としている本作品。
「ウォーターボーイズ」や「スウィング・ガールズ」など、あまり日の目を見ない部活やカルチャーにスポットを当てることを得意とする矢口史靖監督がメガホンを取りました。
大学受験に失敗、夢が無い・今が良ければハッピーのダメダメな男子高校生・勇気がひょんなことから林業を学ぶことになり、様々な紆余曲折を経て、“山の男”へと成長していく物語です。
映画冒頭、林業の仕事を学ぶべく研修先へ行く勇気ですが、人の多い東京の街を他人とぶつからずにスムーズに歩き、スマートフォンで音楽を聞きながら向かうシーンは今どきの若者としては当たり前の動きです。ですが、研修も終わり東京へ帰ってきた勇気は、東京の人の多さ、まっすぐ歩けないつらさ、以前は気にならなかった肩と肩がぶつかっても謝らない人たちの冷たさを痛感します。家に帰ろうと歩いていたときどこからか木のいい匂いがしてきて勇気は自分がいるところはここじゃないと思い、村へと帰り物語は終わります。
今が良ければ、楽しければOKな勇気でしたが、林業は短期間の仕事ではありません。手作業で木の苗を植え、良い木が育つように間伐したりと何人もの人が何百年もかけ、こなしていく仕事です。勇気は自分の子供、孫のことまで考えたことがなかったのでそのようなことを棟梁が言われ、将来について真剣に考えるようになったシーンが印象的です。
林業だけでなく、農業や漁業などは人材不足が大きな課題です。IT技術を用いて、若者を取り込もうと努力しています。
この映画は若者には特に響く映画だと思います。夢ややりたいことも特に無い、でも社会に出るのは怖いと考えているのなら、「何でも興味を持ったものはやってみる!」と力をくれる作品です。実際、主人公の勇気も林業の紹介の冊子の表紙を飾っていた女性に会いたくて村に行ったくらいです。そして、現在働いている若い社会人にも響くのではないでしょうか?やりたいことも無い、楽しくもなく、淡々と過ごす日々を少し見直してみる、新たな経験をしてみる、そんな人の背中を押してくれる作品となっています。