羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs

『羊たちの沈黙』とは、1991年にアメリカで製作されたサイコ・スリラー映画で、アカデミー賞主要5部門を獲得した大ヒット作品である。トマス・ハリスの同名小説をジョナサン・デミ監督が映像化した。ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが主演を務める。連続殺人事件の調査として、FBIは実習生クラリス・スターリングを抜擢。収監中の猟奇殺人犯で、元精神科医のハンニバル・レクターに捜査の協力をさせるべく派遣する。クラリスはレクターとの奇妙な関係を築く一方、自らの過去と対峙してゆくことになる。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambsのレビュー・評価・感想

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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映画「羊たちの沈黙」のレビュー

1991年6月22日に日本で公開された映画「羊たちの沈黙」。第64回アカデミー賞作品賞のサイコスリラーで、出演はジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン。監督はジョナサン・デミ。トマス・ハリスの同名小説が原作だ。
若い女性の皮を剥ぐというショッキングな連続殺人事件を追う、女性FBI訓練生クラリス(ジョディ・フォスター)と、彼女にアドバイスを送る囚人の人喰い殺人犯ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)との緊張感溢れる交流が描かれている。
物語の中心は、連続殺人鬼バッファロー・ビルを追うクラリスが、囚われの精神科医であり連続殺人鬼でもあるレクター博士に協力を求めるという異色の展開だ。クラリスを演じるジョディ・フォスターは、レクター博士との心理戦を通じて、そのキャラクターの内面的な強さと脆さ、そして、プロフェッショナリズムを体現しつつ、クラリスが抱える過去のトラウマや、捜査官としての使命感までも、微妙な表情や仕草で巧みに表現している。これにより、観客はクラリスの葛藤や成長を深く感じ取ることができる。また、クラリスはレクター博士との直接の対話シーンで、緊迫した心理戦を演じ切り、その迫真の演技が作品の緊張感をより一層高めている。
「羊たちの沈黙」は、そのスリリングなストーリー展開と心理描写、そしてジョディ・フォスターの魅力的な演技により、サイコスリラーの名作として多くの人々に愛されている。彼女の演技は、この映画を一層引き立てる要素となっており、観る者に強烈な印象を残している。ぜひ、その魅力を堪能していただきたい。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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スリラー映画のクラシック!怖い中にも人のあたたかさを感じます

原作はトマス・ハリスの小説で、邦題は小説も映画も同じです。
「観たことはないけれどタイトルは知っている」という人も多いのではないでしょうか。
「観たことがない」という人は、きっと「怖い映画」というイメージがあり食わず嫌いになっているのかもしれません。
確かに、羊たちの沈黙はスリラー、あるいはサスペンス映画となっています。
パッケージも予告編も暗い雰囲気があり、いかにも「何か怖いことが起こりそう」ですよね。
けれども、ぜひ「怖い」という先入観を捨てて一度は見て欲しい映画なんです。
物語は、凶悪犯の捜査に行き詰ったFBIが訓練生を使い、元精神科医の殺人鬼レクター博士にアドバイスを乞うというもの。
レクター博士は最初、訓練生を試すような態度でしたが、やがて牢の中からでも的確なアドバイスを与えてくれるようになります。
そして、アドバイスの見返りに訓練生の過去に関わる質問を行い、トラウマを引き出そうとするのですが…。
レクター博士を演じた、アンソニー・ホプキンズの静かな狂気を秘めた演技力に背筋が凍ります。
原作がある作品ですが、映画としてストーリーがきっちりとまとまっている作品です。
鑑賞後には、なぜが胸の奥がじんわりと温かくなってくる…。
「サスペンス映画なのにそんなことあるの?」と思った方、ぜひご覧になってみてください。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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連続殺人犯を追うFBI女性捜査官と9人もの患者を手にかけた天才殺人精神科医の織り成すドラマ

原作も読んだが、異常の中の正常というか人間誰しもトラウマや病理を抱えている。その心の深層に深く入っていけるのは愛する人か精神科医しかいない。もしその精神科医が犯罪者だったら。その答えがレクター博士なのだ。人間が人間らしく生きていけるのは自分や他人を尊重する気持ちがあり、人間として良くありたい、こうして生きていきたい、という強い思いがあるから。自分の欲望を抑え自制心や理性を持つことができる所以である。それを逸脱した人間がこの映画の中には次々登場する。レクター博士しかりバッファロービルしかりである。
この事件の犯人バッファロービルは女性になりたいという深層願望があり、その目的を達成するためには手段を選ばない。物語の後半でクラリスが犯人は乳房のついたベストを作りますと見抜くが、だから女性を殺しその皮を剥ぐという行為に出るのだ。まさに異常心理だが、その犯人の行動を分析し次の犯罪を未然に防ぐには犯人を理解し追い詰めていくしかない。ミイラ取りがミイラになる。この言葉の恐ろしさを改めて噛み締めた。精神的異常者と接したりその世界を覗こうとする者は強い意志と自己分析能力がないと異常な側の世界に飲み込まれてしまう。
正気と狂気は紙一重。レクター博士も捜査協力する見返りとしてクラリスのプライベートな身の上話をすることを要求する。その中からクラリスの持つトラウマ、精神的な弱い部分を掴み取ってしまうのだ。まさに精神科医である。自分の深層心理に深く入り込んでくるレクター博士とそのやりとりの中から捜査のヒントを掴み、犯人検挙しようとするクラリスとの心理戦、見応えがある。
犯人を逮捕した後、クラリスに電話で「もう羊たちの鳴き声は止んだかね?」。そう語りかけてくるレクター博士の中にトラウマを自分のために利用せず優しく包む紳士を見た。殺人者だがクラリスに対しては最後まで精神科のドクターであり続けたのだ。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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アンソニー・ホプキンスがすごい

アンソニー・ホプキンスの怪演がすごいです。そんなに怖いことを言ってるわけでもないのになんか怖いです。そんな人に会って話を聞くように言われるクラリスも気の毒になあと思います。受刑者に事件のヒントをもらうという設定はこれから始まったのかなと思います。このときのレクター博士は、事件を解く係で、クラリスが解く事件は別にあってそっちの犯人もすごい人やし、事件も凄惨なものなのですが、やっぱりレクター博士に目がいっちゃいます。このあと、レクター博士が主役の映画が何個も作られていますし、すごく魅力的な役だなと思います。あと、クラリス役のジョディ・フォスターも素敵でした。まだ若かったし、ジョディ自体すごく小柄な人なのでとても可愛らしいです。芯は強そうだけど、小さくて守りたくなる感じでした。続編ではジョディが役を降りてしまい残念でした。でも、その理由を聞くと納得しました。だって、続編でクラリスとレクターのラブシーンとか書くんですもん、原作者。そりゃあ、気持ち悪いよねと思います。話はそれましたが、本作はとてもおもしろいです。話を聞きに行くときの緊張感も伝わってきますし、今起きている事件の恐怖もあって、とても怖い作品になっています。オススメです。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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スリル満点サイコホラー「羊たちの沈黙」

1991年に公開されたアメリカの映画。主演のクラリスをジョディ・ホスターが務め、レクターをアンソニー・ホプキンスが演じた。原作はトマス・ハリスの同名小説である。猟奇殺人犯バッファロー・ビルを追うため、FBIの訓練生であるクラリスが、猟奇殺人犯として牢獄に収監されるレクターに接近するところから物語は始まる。大きな枠組みで見ればホラーであるが、スプラッタに重きを置いているわけではなく、ストーリー性や演技、演習がかなり凝られている。前半ではレクターという人間は大人しく聡明な人物に見え、その猟奇性は影を潜めていた。しかし終盤にかけて突如皮が剥げて猟奇性が表出する。この時のホプキンスの演技はまさに怪演であった。前半と後半でコントラストが効いて余計に恐ろしい人間に見えるのだ。その裏ではクラリスが、追っていた殺人鬼と対面する。このラストシーンは特に印象的である。部屋の灯りが消え犯人に翻弄されるクラリスを見ていると自分がその場にいるような恐怖を感じた。グロテスクなシーンも所々に含まれてはいるが、ホラーやサスペンスが好きな方には本当にオススメできる作品である。特にストーリーが分かりやすいながらも、巧みな構成と展開のため最後まで楽しんで見れる。ぜひ、一度は見てほしい作品だ。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
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羊たちの沈黙のレビュー

クラリスは文武両道・成績優秀・眉目秀麗なFBI訓練生。そんな彼女の元にクロフォード捜査官がある依頼を持ちかけます。それは、精神病院に隔離された人食い殺人鬼ハンニバル・レクターに会ってほしいとのこと。
クラリスは上司の命令を聞いて、レクター博士に会いに行きました。そして、彼女はレクター博士の隣の牢の狂人から辱めを受けてしまいます。レクター博士は彼女を哀れみ、今巷で話題の殺人鬼『バッファロー・ビル』についての情報を教えてあげるのでした。
バッファロー・ビルは若い女性を誘拐し、殺し、その皮を奪い取る連続殺人鬼です。
レクター博士は別の施設に移送されましたが、警官を殺して逃亡してしまいます。その逃亡の仕方も、顔の皮膚を剥がして、それを被って殺された警官に成りすますというもの。残虐非道です。
そしてクラリスはレクター博士のヒントのおかげで、犯人に近づいていました。それどころか、犯人の住んでいる家にうっかり訪問してしまいます。
その男がバッファロー・ビルだと気づいたクラリスは単身、男の家に踏み込みます。そこには井戸の中に囚われた若い女性が。凶悪な殺人鬼との暗闇での攻防。優秀なクラリスは、なんとかバッファロー・ビルを撃ち殺したのでした。
そして、バッファロー・ビルよりも段違いの凶悪殺人鬼ハンニバル・レクターは、野に放たれてしまったのでした。