ロケットマン / Rocketman

ロケットマン / Rocketman

『ロケットマン』とは2019年にイギリス・アメリカ合作で製作された伝記・ミュージカル映画である。グラミー賞を5度受賞した世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの自伝的映画。「Your Song」や「Rocket Man」など数々の名曲で知られるエルトン・ジョンが並外れた音楽の才能でスターとなる一方、その裏では様々な困難や苦悩を抱えていた半生が描かれている。製作総指揮にエルトン本人が携わり、エルトン役を演じるタロン・エガートンは歌声を披露している。

ロケットマン / Rocketmanのレビュー・評価・感想

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ロケットマン / Rocketman
8

音楽レジェンド「エルトン・ジョン」の胸が締め付けられる伝記映画

2019年公開の映画「ロケットマン」は、世界的音楽スター、エルトン・ジョンの幼少期から今に至るまでの波瀾万丈な人生を余すことなく描いたミュージカル伝記映画です。
誰もが知る名曲を数々創り出してきたエルトン・ジョン。
そんな彼の伝記映画でなので、一見華やかな映画だろうと思われる方も多いと思います。
しかし蓋を開けてみれば、スター故の孤独との葛藤を鮮明に描いており、思わず胸が張り裂けそうになるような作品となっております。

冒頭から思わず心をつかまれました。
オレンジ色の大きな翼を背負い、ハート型の大きなサングラスをかけ、ド派手な悪魔の衣装に包まれ、薄暗い廊下を歩く、タロン・エジャトン演じるエルトン・ジョン。
その顔はどこか覚悟を決めたような表情をしており、この後大勢のファンが待つライブステージへと立つステージが容易に想像できます。
一筋の光の差す方へ進み、いよいよそのドアに手をかけます。
しかし、彼が向かった先は…。この先は、実際に作品を観て確かめてみてください。
エルトン・ジョン自らが語る物語は、こうして始まるのです。

幼少期から音楽の才能に秀でて、ほんの一握りの才能ある人間しか入学ができない名門王立音楽院への進学を決めます。
そんな彼の功績を、父親は関心を持たず、母親からも十分な愛情を受けることができませんでした。
このことが、エルトン・ジョンが後に「愛」を求め、孤独と向き合うことに限界を感じる大きなきっかけの1つとなります。
また、エルトンは性の対象が同姓であり、後にエルトンの人生を大きく変える人物である作詞家のバーニン・トーピンへの恋心と、
恋が実らない切なさは、心から涙が出るくらい切ない気持ちになりました。

華々しいキャリアの裏で、愛する人たちがどんどん自分の元から離れていく疎外感と、エルトンの名声に忍び寄る悪意の数々。
エルトン・ジョンのファンの方はもちろん、そうでない方も、是非彼の苦節を体感してみてください。
そして、そこからどのように現在に至るのか、どうか最後まで見届けてください。どん底から這い上がる勇気をもらえます。

ロケットマン / Rocketman
10

栄光と挫折と勇気

エルトン・ジョンの半生を、キングマンやSING!で大活躍のタロン・エジャトン主演でお送りする自伝ムービー。世界的に有名なスターアーティストのエルトンの幼少期から、あの名曲の作成秘話まで、一つのアルバムを聴いているかのように話が進んでいく。そして、なんと言っても主演のタロン・エジャトンの歌唱力、表現力が素晴らしい。幼い頃から、厳格な父と自由な母の間で育ち、悲しい思いを幾度としていた。その時に支えてくれていたのは、祖母で、エルトンの才能を見出す。その後彼は、ピアノを軸に活動し、パブやバンドで生活をしていた。自分の恋愛の対象が同性である事に気づくも、内気なエルトンはその事を誰にも言えずにいた。何かが欠けている状態で過ごす日々。そしてアーティストを目指す彼が、出会ったのが、共に名曲を生み出すバーニーであった。彼と共に曲を作り、またたく間にスターロードをかけ抜けていくのである。薬物やアルコール、セックス依存症に加え、癇癪持ちで”エルトン・ジョン”として生きる彼が一つずつ自分の殻を脱いでいった時に、本当のスターロードが始まる。この映画は、音楽好きな方にもおすすめですが、何より何処かに孤独を感じる、誰にも愛されていないかもしれない。そんな自分の弱い部分を真正面から受け止めてくれるような映画です。

ロケットマン / Rocketman
8

映画「ロケットマン」超大物ミュージシャンの知られざる衝撃的な半生

映画ロケットマン」は全世界でCDセールス3億枚を超えるイギリスの超大物ミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた映画です。
「ロケットマン」は薬物依存・アルコール依存・買い物依存・過食症・セックス依存等の症状を抱えたエルトン・ジョンが、リハビリ施設で自身の半生を告白する場面から幕を開けます。
その告白の中で、彼は家族の愛を知らず孤独を抱えながらもピアノの才能を開花させた幼少期の事や、ロックンロールにのめり込んだ事、作詞家バーニーというパートナーに出会った事、自身が同性愛者だと気付いた時の事、ミュージシャンとして破格の成功を収めた事、孤独に苛まれ薬物中毒に陥った事などを語ります。特に、ミュージシャンとして成功を掴みながらも、自身を捨てた実父の関心は得られず、同性愛者である事を告白したが故に母からも阻害され意気消沈するエルトンの孤独な姿には思わず胸が締め付けられます。
しかし、最後には作詞家バーニーと再会し、彼の書いた詞に曲を付け、自身がまだ終わっていない事を高らかに宣言する『アイム・スティル・スタンディング』で復活を遂げる様子には感動させられました。
アップテンポなロックンロールとセンチメンタルなバラードが交互に流れる、ミュージカル仕立てのストーリー展開には引き込まれ、あっという間に観終わってしまいます。
音楽も映画も好きな人、またはLGBTを抱える人は必見の映画と言えるでしょう。

ロケットマン / Rocketman
9

深く思いがこみ上げます。

世界的に有名な歌手、エルトン・ジョンの半生を描いた作品。もちろん実話で、彼の苦悩があってこその作品であるだけに深く感じるものがあります。
この映画を見て、改めて彼の曲やパフォーマンスの素晴らしさを実感するとともに、背景にある人生を考えると彼の曲が非常に深いものであると感じました。

幼少期から秀でた才能があるという部分では、正直「なんだ、もともと才能があったのか…」という思いが少々。しかし、人生全体を見てみると、両親からの愛情が薄かったり、同性愛者なゆえに思うような恋愛が出来なかったり、その苦しさというのは計り知れないものだと思いました。特に、両親からの冷酷な言葉や態度にどれだけ追い詰められたことか…想像もつきません。

そんな中で生きてこられた事は“スゴい”なんて軽い言葉では表せない大きなものがあります。
映画終盤までつらい気持ちで見ていましたが、デビュー前から組んでいた友人といまだに唯一無二の関係である事、人生のパートナーを見つけ子育てをしている事など、現在は幸せである事を本当にうれしく思えました。

彼のコンサートも、この映画を見る前と後では全く違うものに見えると思います。