あなたは愛をどこまで想うか
この映画の最大の魅力は、何と言っても新海誠監督ならではの映像美である。
実写を越えたと言っても良い自然・天気・街並みの風景は、見る者の心に”これは現実の世界か?”と錯覚させるほどの没入感を与える。
特に、雲の隙間から太陽の日差しが透き通って見えるシーンや物語の骨格と言える雨の描き方は、まさに秀逸の一言である。
前作の『君の名は』以上のものがこの映画にはある。
また、人間模様も深く描かれており、主人公とヒロインの日常の生活やシリアスな展開、そしてラストシーンまでの流れは、大切な人のことを思う気持ちがより強くなるものである。
主人公の帆高の取った、あの行動は賛否の分かれることではあるが、もし自分がその状況下に置かれたら…と考えると、より感動的になる。
本作は『愛』と『世界』が大きなテーマであり、それに関わる重要な柱が『天気』である。
RADWIMPSの歌う『愛にできることはまだあるかい』が作中で流れたとき、あなたの心は何を思うだろうか。あなたの愛は、何を選択するだろうか。雨が生むのは悲しみか、それとも降り続く中で消えることのない笑顔か。私は少なくとも、雨であろうと、晴れであろうと、大切な人とともに幸せに暮らせる未来を強く望む。
本作は何度見ようと何年先に見ようと、私たちの心に変わらないものを見せてくれるだろう。