引き込まれるような演出に鳥肌が止まらない
『君の名は』で有名な新海誠さんの作品、『天気の子』。
この映画の最大の魅力は、美しい映像とそれをさらに強調させるような挿入歌です。タイトルどうり、天気に関する描写が多いので、水たまりや、雨、空、太陽など、自然に関する映像がとても多く、美しく壮大な絵に息をのみます。また、これほどまで挿入歌の存在感がある映画は他にないと思います。映画の盛り上がりに合わせてヒートアップしていく挿入歌にかなり興奮させられました。
ヒロインである天野陽菜は天気を晴らすことができる特別な力を持った少女です。しかし、使えば使うほど彼女の体は透けて水のような状態になってしまい、映画の後半では彼女は消えてしまいます。『天気を晴らす』という行為は、その力を持つ者の犠牲によってなせることだったのです。主人公である森嶋帆高は、ヒロインである天野陽菜と出会う前に捨てられた拳銃を拾ってしまい、後々にそれが理由で警察に追われることになるのですが、消えてしまった天野陽菜を警察からなんとか逃れながら探す森嶋帆高の必死な姿がとても印象に残っています。そんな主人公を中心に、周りの登場人物も後半、大きく成長しています。主人公やヒロインだけではなく、その周りにいる登場人物たちの成長も見どころの一つだと思います。
ただ、不満や疑問が残るところとしては最終的には主人公は逮捕されるのですが、監視対象とされただけで特に刑務所に入れられることもなく普通に生活しています。実際だと拳銃保持以外にも彼自身の意志で何度か撃っているので、もう少し重たげな罪になってもよさそうだけど…という疑問はありました。映画の展開上そういう設定にするしかなかったのかなと思いますが、少し強引かと思われても仕方ないなと思います。また、森嶋帆高は、作中ずっと家出少年として生活しています。なぜそこまで家に帰りたくないのか、詳しいことには触れられておらず、伏線も特になかったので、主人公が必死に自分の力で生活しようとしている熱意に比べて少し説得力がかけているなと感じるシーンが何度かありました。
総合的に見て、私は『君の名は』より感動できる、良い作品だったのではないかと思います。隣で一緒に見ていた友人もかなり泣いていました。友人や恋人とみるのに、ぜひおすすめしたい映画だと思います。