《ともだち》を生んだ想像という化け物について。
実写映画化もされたようにこの作品の持つ魅力は過去の浦沢作品の中でも『MONSTER』と並んで史上最高峰と言えるかもしれません。
漫画の舞台は日本。主人公であるケンヂの現在と過去と未来に分かれて進みます。浦沢さんの作品を読んでいるとカット割りが完璧でまるで、映画の絵コンテのように感じることが多いです。常に映像化を意識して作っているのではないかと思います。
大阪万博の開催された1970年代の日本の描き方は本当に素晴らしいです。高度経済成長の真っ只中で、自分の父親や母親の世代が読んでも、とても懐かしくて面白い内容になっています。
97年の日本ではノストラダムスの大予言を本気で信じていた子供たちがいて、それを模倣して書かれたよげんのしょの通りに様々な事件が次々と起こっていきます。よげんのしょを書き上げたのは謎の人物である《ともだち》というカリスマでした。しかし、その元のアイディアは幼少期(1970年)のケンヂたちによるもので。ともだちの正体はケンヂの知り合いの誰かだというのです。つまり、ケンヂ君のともだち。ともだちの正体はいったい誰なのか!?その一点を軸にして物語は佳境に入っていきます。
血の大晦日事件以来、姿を消したケンヂはまだ生きているのか?果たして、真実は。