両者への感情移入が止まない。
人間と人間を食らう喰種と呼ばれる人の形をした化け物との間に起こる物語。主人公の金木研は喰種と関わり事件に遭い臓器移植により一命を取り留めるが食べ物ではなく人間に対して食欲が湧くようになり自分が喰種であると自覚してから物語が始まります。
この物語は世間の常識として喰種は人間を食べる化け物として扱われているが喰種から見たらどうなのか、ただ腹を満たすために生きているのだろと考えるだろう。しかし金木研は喰種に触れ大切なもの、守りたいものが彼らにもあると知るが言った所で伝わらないと言った言葉では表せない壁が存在する。金木研は珍しい存在で色々なものに狙われ苦しい思いをしながらも守りたいもののために戦うといった苦悩と葛藤の繰り返しの描写が読者の心を痛めると同時に続きが気になってしまう作品です。
無印の方は画が好きじゃないと思う人もいるのでしょうがそれを感じさせない戦闘シーンや拷問シーンの表現力が読者すらもその感情に呑まれるでしょう。
Reでは捜査官側として物語が進んでいき自分を思い出し喰種や人をベースに実験する科学者の嘉納の残虐極まる実験を前に戦う喰種に違和感を感じた捜査官の人間も敵として対峙し命令に従うが局長の旧多が喰種側と捜査官側の両方から見ても黒幕だと知ると今まであった見えない壁が取れたかのように共闘し最高クラスの敵と戦う。読み進めていくとこの物語の両者の誤った認識の中に両者の正義がありどちらにも同情してしまいそうになる美しい物語が見えると同時に人間と喰種どちらも敵になり得るドロドロとした内情に昂ってしまう作品でした。
Reになれば話は難しくなりますが画が芸術にも見えるほど良い作画になっていますので読んでいて飽きてしまう読者は少ないのかなと思います。