事実に沿った物語
『のぼうの城』は和田竜の小説家デビュー作で、2012年秋に公開された映画です。本当は2011年に公開予定でしたが、東日本大震災の影響で各映画の公開が延期になる中、作品の中に出てくる「水攻め」が津波を連想させるために公開が大幅に伸び、約1年後に公開となった映画です。
石田三成率いる2万の兵に3千人ほどで戦うという、普通ならば兵の数を聞いて降参するところを、知恵を絞って次々と襲いかかる難題に立ち向かうストーリーです。見どころの一つが「水攻め」だと思います。「水攻め」をすればあっさり勝てるのですが、武士たちは「水攻め」にこぞって反対していました。この時代の武士たちは、武功をあげることでお金(土地)をもらい、地位も上げてもらい、「栄誉栄光を浴びていてのだなあ」と感じました。またこの「水攻め」は全くの作り話ではなく、作品のエンディングでこの「水攻め」の時につくられた堤防が今の時代でも残っている場面が映されて、「本当にこのような戦があり、その地でたくさんの犠牲者が出たのだ」と改めて思い返しました。
和田竜さんの作品はどれも面白いです。『村上海賊の娘』も4巻あって長かったですが、事実に沿ってのストーリーで面白かったです。これも映画化されるのは間違いないでしょう。