シュワルツェネッガーのやり過ぎ感満載SFバイオレンスアクション『トータル・リコール』
肉体派アクションヒーローを代表する俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーと、オランダ出身で行き過ぎた暴力描写で異彩を放つポール・ヴァーホーヴェン監督とが、がっぷり四つに組んだSF映画の傑作です。
映画『ブレードランナー』(1982)の原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で知られるSF作家フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』が元になった映画です。
”気弱でさえない普通の男の人生が、他人の手で造られた偽りの記憶だった“というのがこの小説の筋書きですが、まるで普通の男に見えないシュワルツェネッガーとやり過ぎ感満載のヴァーホーヴェンが映画化に関わったことで、原作とは大きくテイストが変わりました。
なんと言っても、画面から伝わってくるパワーとインパクトが強すぎます。火星、宇宙人、ミュータントを始め、SF映画に出てくる様々なガジェットが散りばめられた世界で繰り広げられる、シュワルツェネッガーの身体を張ったアクションはそれだけでもうファンタジーであり、過剰な残酷表現さえもねじれたユーモアを感じてしまいます。
あと、忘れてはならないのが画面の強さに全く負けていない力強さ満載の音楽です。作曲したのはSF映画やアクション映画のジャンルでめっぽういい仕事をしている作曲家ジェリー・ゴールドスミスです。
ゴールドスミスが手がけてきた数多くのスコアの中でもこの「トータル・リコール」のテーマ曲は、音楽そのものが暴力的であり、高揚感にあふれています。画面は目に、音楽は耳にいつまでも残ることでしょう。