冒険物語「犬夜叉」
「犬夜叉」は、高橋留美子先生の傑作少年漫画です。
連載が始まったのは、1990年代。完結してから、もう10年以上経つのに、たくさんのファンの心を魅了し続けています。アニメ化したり、舞台化したり。ですが、一番素晴らしいのは、やっぱり原作漫画です。
何より高橋先生の可愛い、それでいて色気や不気味さも描き分ける絵が、素敵です。おどろおどろしい妖怪や怪物、美しい女性に、緻密で艶やかな柄の着物……。そしてもう一つ、キャラクターが魅力的です。
妖怪と人間のハーフである主人公や、現代からタイムスリップしたヒロイン。巫女の使命と自分の感情の、狭間で揺れる美女。悪役の「奈落」は嫌なやつで、たくさんの人を不幸にしますが、心から憎めない人物です。彼の行動原理は、いつも「恨み」「憎しみ」「嫉妬」など、人間臭い感情です。自分のものにならない女性に焦がれ、恋仇を憎み、幸せを引き裂こうと罠を仕掛ける。完璧な妖怪へのコンプレックスも持ち、大妖怪である主人公の兄を執拗に狙います。そんな泥臭い姿は、まさに人間そのもの。主人公も短気だけど優しいし、お人好しだし。
悩み苦しみながら戦い、恋をし、仲間を守る主人公達は、やっぱり魅力的です。