東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul

東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul

『東京喰種トーキョーグール』とは、石田スイによる集英社出版の漫画作品である。
ヒトでありながらヒトを食べることでしか生きられない「喰種」と、反して通常の食物を食べることができる「人間」同士で、物語は繰り広げられる。
ある日、主人公である金木研が、「喰種」である神代リゼに恋心を抱いてしまい、あやうく彼女に"たべられ"そうになるところから物語は始まる。
事故の直後に彼女の内蔵を移植された彼は、人間でありながら人肉を食べなければならない"半喰種"へと変貌してしまう。
紆余曲折ありながらも、彼は彼なりに半喰種として生きる道を模索し、涙ぐましい努力を重ねていく。
いわゆる「ヒト」を好きになり、嫌いにもなる。だが、最後はともに歩めないかという思惑の元にたどり着く。
累計出版部数は2021年時点で4700万冊であり、その続編に『東京喰種トーキョーグール:re』という姉妹作品がある。
また、十和田シンによるノベライズも行われており、喰種捜査官である有馬貴将の青年期を描いた『東京喰種トーキョーグール [JACK]』や、什造と半兵衛の歩みを辿った『東京喰種トーキョーグール [JOKER]』という作品が出版されている。
2014年にはテレビアニメ化されており、今までの常識を打ち破り震撼させた壮絶なアクションシーンが特に有名である。
その殺伐で荒涼としたとした世界観に引き込まれた者も多い。

8810ys48のレビュー・評価・感想

東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul
8

悪の定義の難しさを描いた漫画

この『東京喰種』という漫画は、私たち人間に大きな疑問を打ち付けるものだ。私たち人間は生きるために動物や植物、様々な生命を喰らっている。私たちは生きるだけで、他の生命を喰らっていかなければならない。その点に関して皆さんは悪を感じるだろうか。今の状態では皆さんNOと答えるだろう。
しかし皆さんが喰らわれる側になった時、自分たちを喰らう側のことをどう思うだろう。悪だと感じるだろう。敵だと感じるだろう。倒そうと考えるだろう。しかしその捕食者も我々と同じく生きるために必要なだけだ。だから捕食者も自分を倒そうとする被食者達を悪とみなすだろう。ここで問題が生じる。被食者も捕食者も悪である状況が生まれるのだ。果たして悪とはなんなのだろうかという疑問を考えることをこの漫画は読者に強制する。悪を定義付けできる生物である人間の読者に「お前は本当に正義であるのか?」という問いを強制する。そこがこの漫画のスタート地点でありテーマだと私は考える。
主人公は普通の人間と、喰種という人間を食う化け物のハーフになってしまう。人間からしたら悪である喰種、喰種からしたら悪である人間の2つの面を持ってしまった主人公は、悪とは、正義とはについて葛藤しながらも成長していく。我々読者も共に成長することができるだろう。いつかこの世界に人間と同等レベルの生物が誕生した際の思考法の会得のために一読してはどうだろうかと思う。