眩しくて愛しい青春群像劇
高校入学のために地方都市から上京した主人公「美津未(みつみ)」ちゃんと彼女を取り巻く人々の青春を描いた漫画です。みつみちゃんのまっすぐさが眩しくて心洗われたり、あるいはまっすぐすぎる故の不器用さにハラハラしたり共感したりと、忘れかけていた青春時代のあらゆる感情を思い起こさせる作品だと思います。
作品の大きな魅力の1つが、個性豊かな登場人物たちです。例えば、上京して最初に出会ったクラスメイトの「志摩(しま)」くんは、一見優しくてかっこいい人気者ですが、暗い過去とどこか冷めた側面を持っています。そんな志摩くんがみつみちゃんに出会って、初めて持つ感情や自分の過去に向き合おうとする姿に胸を掴まれます。
また、クラスメイトである「ミカ」ちゃんは、最初は志摩くん目当てでみつみちゃんに近づいてくる打算的な女の子に見えます。しかし回を追うごとに、その振る舞いが自分を守るための行動だったんだと分かってきます。また、ミカちゃん自身もみつみちゃんのまっすぐさに心をほぐされて、段々と素の姿を表現できるようになっていきます。
2人以外にも多くのキャラクターが登場しますが、その一人ひとりに共感できる部分があり、いつの間にか応援したくなっている自分に気づくはずです。登場人物たちと一緒に笑ったり泣いたりしながら青春を過ごしているような気持ちになれる、とても素敵な物語です。