マンガ大賞2020ノミネート作、『スキップとローファー』
マンガ大賞2020で初めて知った高松美咲さんによる漫画「スキップとローファー」(講談社)。
まず、筆者のことになるが、膨大な量の漫画を読んできた。冊数にすると1万冊はゆうに超えるだろう。
その中で非常にお勧めしたい作品の1つである。
作品を一言で表すると、『青春時代に回顧し、心洗われる』。
主人公は、石川県から上京し、偏差値の高い高校に入学した、岩倉 美津未(いわくら みつみ)ちゃん(通称:みつみちゃん)。
「首席で卒業し、将来は官僚」と夢を持ち上京し、地元では神童と呼ばれるも都会と田舎のギャップに困惑しながら、乗り越えていく。
学校が舞台なので都会のクラスメイトが多数登場する。純粋無垢なみつみちゃんは天然な一面があり、クラスメイトとの価値観のズレや、田舎では当たり前だった事、自分がおかしいのか、そんな葛藤や描かれている反面、友人であるクラスメイト1人1人にも過去の辛い経験、「実はこうなりたい」という理想と現実のギャップがあり、「変わりたい!けど変われない…。」そんな思春期誰もが経験している葛藤と感情が非常に丁寧に描かれている。
前述した通り、多くの登場人物が出てくるが、丁寧に描かれているが故に感情移入しやすく、絵のタッチがまたそれにマッチする。
手に取ったその日にページが進む、進む。最新刊まですぐに読み終えてしまった。
読み終えた後こみあげてきた気持ちは、完璧な人間なんて誰ひとりいなくて、人間はいつも皆1人で生きている。
それでも皆が少しずつ支え合っているんだ。自分の交友関係を改めて大事にしたい。この頃の気持ち、忘れていたな。
忘れてた大事な何かを主人公のみつみちゃんの純朴さと天然さ、都会育ちのクラスメイトとのやり取りで思い出させてくれたような気がする。