一期は最高。二期は最悪。総合すると、他の作品では味わえない「痛み」の作品。
平成ガンダムシリーズのひとつです。ハッキリ言って、全体の完成度では「ダブルオー」に大きく劣ると思います。でも、感情を強く揺さぶられたのは本作です。時代を反映しつつ、新しい切り口でガンダムを描いた秀作だと思います。
■一期
一期はとにかく最高でした。底辺から成り上がっていく、少年兵たちの戦いが描かれるのですが、彼らのおかれた状況の絶望さがひしひしと伝わってきて、見ている側も毎週ハラハラしました。主人公の三日月とオルガのふたりが、最初から強固な絆で結ばれているのも面白いポイントでした。MSの操縦では大人顔負けだが文字が読めない、統率力と地頭は凄いが大人の常識を知らないなど、彼らの持っている能力と、欠けているものとの対比があまりに鮮やかで、いい意味で歯がゆい気持ちになりながらも、全力で応援しました。
■二期
二期は一転、なにもかも上手くいかなくなります。敵方はなぜか、ラッキーが続き、此方側は一世一代の賭けにことごとく失敗する……。こんな描写が続くのに、どうやって楽しめばいいのか分かりません。最初私は、三日月たちの境遇はあまりに過酷だったので「楽しむ」余地がなくなるのもまた一つのリアリティかと思いながら観ていました。けれど、制作陣の言葉によると、鉄華団の彼らに感情移入して観るのは彼らの想定外だったようにも思います。本当だとしたら残念です。三日月や、特にオルガは性格的にも好きになれるキャラクターだったのに、こんな形で酷く追い詰められ、虚しく散っていく。それでも私は、彼らの人生は無駄ではなかったと思い、最後まで見届けました。
一期で主人公側に感情移入しすぎると、二期では猛烈な痛みを味わうことになる、かなり異色なアニメです。けれど、観て損をしたとは決して思いません。孤児たちの生きざまをその目に焼き付け、これからも生きていこうと思います。