東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul

東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul

『東京喰種トーキョーグール』とは、石田スイによる集英社出版の漫画作品である。
ヒトでありながらヒトを食べることでしか生きられない「喰種」と、反して通常の食物を食べることができる「人間」同士で、物語は繰り広げられる。
ある日、主人公である金木研が、「喰種」である神代リゼに恋心を抱いてしまい、あやうく彼女に"たべられ"そうになるところから物語は始まる。
事故の直後に彼女の内蔵を移植された彼は、人間でありながら人肉を食べなければならない"半喰種"へと変貌してしまう。
紆余曲折ありながらも、彼は彼なりに半喰種として生きる道を模索し、涙ぐましい努力を重ねていく。
いわゆる「ヒト」を好きになり、嫌いにもなる。だが、最後はともに歩めないかという思惑の元にたどり着く。
累計出版部数は2021年時点で4700万冊であり、その続編に『東京喰種トーキョーグール:re』という姉妹作品がある。
また、十和田シンによるノベライズも行われており、喰種捜査官である有馬貴将の青年期を描いた『東京喰種トーキョーグール [JACK]』や、什造と半兵衛の歩みを辿った『東京喰種トーキョーグール [JOKER]』という作品が出版されている。
2014年にはテレビアニメ化されており、今までの常識を打ち破り震撼させた壮絶なアクションシーンが特に有名である。
その殺伐で荒涼としたとした世界観に引き込まれた者も多い。

5vanime_gblのレビュー・評価・感想

東京喰種トーキョーグール / Tokyo Ghoul
10

絶望と成長の連鎖。感情移入不可避の引き込まれる作品です。

『東京喰種』は石田スイ先生のデビュー作。
舞台は東京、人の肉を食べることでしか生きられない怪物「喰種」が存在する世界のお話です。
彼ら喰種は人の姿を持ちながら、人を襲い、屠り、その血肉を食らうことで食欲を満たしてきました。
そんな存在を全く知らない主人公の金木は、ある出会いをきっかけにそれを知り、そして自分自身もその身を喰種へと変えられてしまうのです。
もともと人であったというのに、人を食らうことでしか生きられなくなる。
これは作中でも登場する表現ですが、金木はカフカの『変身』のように、唐突にその在り方を変えられ、絶望を強いられてしまいました。
ただの人間から、化け物に。
この漫画は、そんな絶望と孤独の底に叩き落され、理不尽に侵され尽くす金木の「悲劇」を生きる物語なのです。
劇的な展開こそありませんが、私たちにも不意に、唐突に、理不尽に、その身が絶望に飲まれることがあります。
絶望が絶望を呼び、やっと掴んだ希望を踏みにじられる…そんな苦渋に満ちた世界の「美しさ」が、この漫画では繊細なタッチでありありと描かれているのです。
一度読めばあなたもきっと虜になる。
そう、私は確信しています。