人間と人間を喰らう種族の在り方を考えさせられる
爆発的なヒットをしたアニメ「鬼滅の刃」と「東京喰種」と共通する部分があるのではと感じた。
主人公の大学生・金木研がある日人を喰らう「喰種」という種族の神代リゼに襲われ瀕死の重症を負った。金木を襲ったリゼも落下してきた鉄骨の下敷きとなり2人は病院へ搬送される。手術を担当した医師はリゼは助からないと判断して、喰種であるリゼの臓器を金木へ移植するが、喰種の臓器を移植された金木は喰種となってしまう。自身が喰種となってしまったことで迷信程度としか思っていなかった人を喰らう種族が本当に存在することを知った金木は、人間と共存したいと願い、人間社会に潜んで生活している喰種が営む喫茶店「あんていく」で働きながら喰種としての生き方を学んでいく。人と喰種どちらの世界も知る金木は、人と喰種が共に手を取りながら生きていくことはできないのかと考えるようになる。
所々省略している部分もあるが大まかな粗筋は以上だ。
まず喰種という種族は人間を主食とし、食べた分だけ強くなる。これは鬼滅の刃の鬼と同じだ。主人公の金木が喰種の臓器を移植されたことで喰種へと変わってしまうところも、傷口から鬼である鬼舞辻無惨の血を摂取した主人公の妹竈門禰豆子が鬼となってしまうところも同じだ。
両作品とも喰種と鬼を殺すための専門の組織が存在することも共通しているが、異なるのは金木が喰種として人間と喰種の共存のために動き、人間に戻るための話ではないことだ。鬼滅の刃では鬼の首領である鬼舞辻無惨を殺し、鬼となってしまった禰豆子が人間に戻れるかが物語として重要な部分になる。鬼滅の刃では基本的に鬼になってしまったら首を跳ねなければいけないという姿勢は変わらなかった。
どちらも人と人を食べる種族が存在する点では同じだ。人間と喰種の共存のために動いた主人公の行動の結末がどうなったのか、鬼滅の刃も見たことで、考えさせられるものがある作品だと感じた。