犬夜叉 / InuYasha

『犬夜叉』とは、日本の漫画家・高橋留美子による戦国タイムスリップ系SF漫画である。『週刊少年サンデー』にて1996年から2008年まで連載された。現代を生きる女子中学生の日暮かごめがとある出来事をきっかけに妖が存在する戦国時代にタイムスリップし、妖怪の父、人間の母から生まれた半妖・犬夜叉と出会う。そこで、思わぬ事故で粉々に砕けてしまった「四魂の玉」と呼ばれる不思議な力を持つ石の欠片が悪しき妖怪たちの手に渡らぬよう、すべて集める宿命を背負うことになり、犬夜叉と共に戦いの旅へ出る壮大な冒険物語である。それまでの高橋留美子の代表的な作品『うる星やつら』や『らんま1/2』 で見られたギャグ要素は抑えめで、犬夜叉の半妖として生きる葛藤や、人間、妖怪それぞれの美しく醜い部分、犬夜叉の仲間たちがそれぞれ抱える苦悩を描くなど、シリアスな場面が多い作品となっている。犬夜叉をはじめとする主要人物や敵の妖怪たちなど、多くの魅力的なキャラクターが登場し、その人気は海外にも広まっている。2000年から2004年に『犬夜叉』、2009年から2010年にかけて『犬夜叉 完結編』というタイトルでアニメ化された。また、劇場版も『犬夜叉 時代を越える想い』、『犬夜叉 鏡の中の夢幻城』、『犬夜叉 天下覇道の剣』、『犬夜叉 紅蓮の蓬莱島』の4作品が公開された。

5xdarsmilkのレビュー・評価・感想

犬夜叉 / InuYasha
10

高橋留美子作品の中でも唯一の戦国御伽草子

自分の出自にコンプレックスを持ち、孤独だった主人公、犬夜叉が、現代からタイムスリップしてきた少女、日暮かごめと出会い、成長していく物語です。
この作品の描写で面白いのは、主人公の犬夜叉、犬夜叉の兄、殺生丸、そして犬夜叉の宿敵にあたる奈落、3人の物語が対比して描かれているところです。
物語の鍵を握るのは、手に入れたものの願いを叶えてくれるという「四魂の玉」という宝玉。
犬夜叉は物語の幕開け時は、この四魂の玉を手に入れて、本物の妖怪になりたいと願っていました。しかし、かごめを始めとした信頼できる仲間たちと出会い、宿敵奈落との戦いを続けていく中で、犬夜叉は、逆にありのままの自分を受け入れていくようになります。
それに対して、奈落は出自こそ特殊なものの、犬夜叉と同じ半妖。しかし、四魂の玉の入手に固執し、自分が最強の存在となるために汚い手段を厭いません。そんな彼は、真に心を許せる友達も仲間もおらず、ずっと孤独なままでした。
また、犬夜叉の兄で、完全な妖怪である殺生丸は、妖怪であることを誇りにし、人間を価値のない存在として見下す冷酷無慈悲な性格でしたが、物語が進むにつれて、彼は人間の少女りんと関わりを持つようになります。また、奈落の分身である風使い、神楽との接触も重ねていくうちに、殺生丸は次第に、他者への慈悲や悲しみといった感情を覚えていきます。
この三人の男性キャラクターたちの成長物語がとても上手に描かれている作品だと思います。
また、るーみっくわーるどの特徴でもあるラブコメも外せない魅力の一つです。
犬夜叉とかごめ、そして犬夜叉の元恋人の桔梗との三角関係の行方や、かごめに横恋慕する鋼牙、共に旅をする仲間から恋仲になっていく弥勒と珊瑚…彼らの恋が、奈落との戦いの中でより盛り上がっていく描写が、他のるーみっく作品にはない展開なので、是非、一度読んでみてほしいです。