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まるでアトラクションに乗っている気分になる映画
まず、この映画はスパイダーマンシリーズ初のアニメ作品となっている。
アニメ、という時点で少し難色を示す方もいると思うが、この映画にはアニメだからこそできる、アニメしかできないような演出が多くある。
主人公マイルス・モラレス(以下マイルス)が偶然クモに噛まれてスパイダーマン、ヒーローとなり成長していく、というのがこの作品の流れ。
偶然にもヒーローの宿命を突き付けられるマイルスは、まだ多感で不安定な時期の高校生。
そんなマイルスの不安や迷い、覚悟を映画の中で、彼の表情だけでなく音楽、場面場面に出てくるグラフィティアートのような芸術的演出が表してくれている。
アニメにしかできない、主人公の心とアートが合体したような演出だと感じた。
また、個々のシーンひとつひとつのアングルが素晴らしい。
カメラを使った実写では到底できないような立体的で能動的なアングルのシーンが多くある。
特に戦闘のシーンはとても印象的だ。
アニメアート独特の演出に、気分を高揚とさせる音楽、そして、まるでジェットコースターの先端につけたカメラから撮影したかと思うほどスピード的なアングル。
遊園地のアトラクションのように、心が奪われる。
ヒーローが好きな人はもちろん、芸術が好きな人、音楽が好きな人、グラフィックが好きな人。
多くの人に受け入れられ、愛される作品だと感じた。