オオカミ少女と黒王子(漫画・アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

「オオカミ少女と黒王子」は、「別冊マーガレット」で2011年7月号から2016年6月号まで掲載されていた八田鮎子さんによる作品です。友達に彼氏がいると嘘をつく女子高校生と腹黒ドSの男子高校生のドタバタが描かれているラブコメ作品です。単行本売上げ総数は540万部を突破し、テレビアニメ化、実写映画化されました。

『オオカミ少女と黒王子』のあらすじ・ストーリー

高校1年生の篠原エリカは恋愛経験のない純情な普通の高校生。だが学校での自分の居場所を守るため、派手な恋愛経験を持つ友人たちとの話を合わせるように見栄をはって嘘の彼氏を作り上げ話を合わせていた。その嘘もだんだん怪しまれ始め、嘘もつくにも限界になっていたときに町で偶然見かけたイケメンを盗撮して友達に彼氏と偽り写真を見せその場を凌ごうとする。しかしその盗撮したイケメンが同じ学校の佐田恭也だった。
エリカは学校で有名な優しい王子様の佐田くんに事情を打ち明け彼氏役をしてもらおうと相談。優しく話を聞いていてくれた佐田くんもすんなり彼氏役を承諾してくれたが、彼氏役をする代わりに「3回まわってお手からワンだ」っと言い放った。実は佐田恭也は優しい王子様という仮面を被った腹黒ドS王子だったのだ。

嘘の恋人同士から本当の恋人同士へ…

めんどくさいことを引き受ける代わりに条件として絶対服従を誓わせ、常に恭也の命令に従わせるパシリ生活がスタート。恭也との嘘の恋人同士になってから犬扱いが始まり、恭也から用事があるごとに呼び出されるエリカ。自然と恭也といる時間が増えてきて腹黒ドS王子なのにエリカは心なしか胸がときめくことが何度かあった。そんな時、恭也が風邪を引き学校を休んだ。エリカの親友であり恭也と同じクラスで学級委員長の三田亜由美(以降:さんちゃん)からのお願いでエリカがプリントを届けに行くことになる。
家に行きチャイムを鳴らすとフラフラになった恭也が出てきて、心配になったエリカは看病をしようとしたが憎まれ口を言われ結局帰ってしまう。しかし次の日も恭也は学校を休み、エリカはプリントを届ける理由をこじつけ、家へ押しかけた。恭也にまた憎まれ口を言われるが今回は強引に家に入り看病をする。恭也は「ほっとけ」と言ったが、エリカは、「私ぐらいには気を許していいの!犬なんだから」と犬扱いを固定してまで恭也に甘えるように言った。その強引さに恭也は負け、看病をしてもらう。
次の日も恭也が学校に来なかったので看病をに行くエリカだったが、その途中でコンビニに行こうとする恭也と遭遇。もう治ったと言い張る恭也を強引に部屋へ連れ戻した。熱が下がっていて安心するエリカを見て恭也は素直に「ありがとうな」というが今までドSぶりから恭也の口から出た言葉とは思わずエリカは固まってしまう。「まだ熱があるんじゃない?」と心配しおでこに手を当てようとするエリカをよそに恭也はエリカの腕をつかむ。エリカは帰ることになったが道中はずっとドキドキしていた。ここからエリカの恭也への本当の恋が始まるのだった。

恭也を本気で好きになってしまったエリカは本当の恋人同士になってもらおうと必死で頑張る。しかしエリカの気持ちを知ってか知らずかエリカを傷つけてその反応を見て楽しむ恭也。
バレンタインが近づく中、エリカは恭也にチョコをあげようとどんなチョコが好きか尋ねるが、恭也は毎年、「頼んでもいないチョコを渡される苦労があるからバレンタインも、甘いものも嫌い」と言う。手作りで渡そうと思っていたエリカもショックを受けるがそれを見た恭也はコーヒー味かビター味なら受け取ると言った。
材料を買いにスーパーへ行くとで同じクラスの日下部 憂がレジで精算に困っていた。それを見たエリカは代わりに清算をしてあげる。これを気に日下部と話すようになり仲良くなる。
バレンタインの日、エリカは恭也に渡そうと待ち合わせ場所へ行こうとするが途中で日下部に会い、日下部に1つカップケーキをあげた。その時、恭也も待ち合わせ場所に向かっていたが、嬉しそうにカップケーキを持っている日下部を目撃する。エリカから渡されたカップケーキを見た恭也は日下部が持っていたカップケーキと同一の物だと知り「そんな胸くそ悪いもん、死んでもくいたくねぇ」と言うのだった。日下部のことを馬鹿にする恭也だったがエリカが怒ったことに苛立ち、日下部に彼氏のフリでも頼べばと立ち去る。楽しみにしていたえりかのバレンタインは台無しで終わってしまった。
恭也とケンカしたエリカは日下部と寄り道をし一通り泣き終えた後、恭也への愚痴と不満をぶちまける。「なぜひどいことをされても好きでいられるのか」と日下部に尋ねられたが、エリカ自身もなぜ好きかわからない。そんな姿を見た日下部はエリカに告白をする。よくエリカに考えてもらうために返事は待つと言う。エリカから連絡がない恭也はイライラしていた。
日下部は恭也と廊下ですれ違った時、人のいないところへ呼び出してエリカへの思いを尋ねた。たが恭也は「プライドが高いため傷つけてるつもりもない、正直に生きているだけ」と言う。それに怒った日下部はエリカに告白したことを告げるが、恭也は驚きつつも「お前が幸せにでもしてやれ」と言い立ち去ったのだった。偶然2人の話を聞いていたエリカは嘘の恋人を終わりにしようと決意する。そしてエリカは放課後に恭也に嘘の恋人を辞め、好きでいることもやめると告げた。恭也もあっさりとそれを受け入れる。エリカは帰り道ひとり泣きながら帰ったのだった。
数日後、エリカはさんちゃんとゲームセンターに遊びに来ていたがいつもよりテンションの高いエリカを心配し、「恭也との嘘の恋人をやめたことを後悔しているでは」と尋ねる。しかしエリカは後悔していないと言うのだった。
体育の時間にエリカは足を怪我し保健室に来たが先生はいなく、日下部が先生を呼びに行き1人になったエリカのとこに恭也が入ってきた。気まずい雰囲気の中、恭也から声をかけてくるが、日下部くんとの仲を放題聞いてくるためエリカも対抗して「選び放題でしょ」と言い放つ。しかし恭也は「めんどくさいからどの女も興味ない」と言い、その言葉を聞いたエリカはその場にを思い立ち去ろうとするが恭也は言葉を投げかけ、エリカを引き止める。恭也は「日下部くんのことをはっきり好きと答えられないってことは好きじゃない」、「一緒にいるのは同情する」など言うが、エリカは「この先好きになる自信はわからないが、なりたいと思っている」と告げた。
ホワイトデーにエリカは日下部とデートをしていたが、保健室でのことが忘れられずどこかうつろな感じだった。その現場を偶然、健が目撃し、慌てて恭也へ電話をしデートをしていることを伝えるが恭也は電話を切ってしまう。
エリカは告白の返事をしなければと考えていた。日下部と付き合えば傷つかず、泣いたりしないと思っているのだが、頭の中は恭也でいっぱいだった。エリカは正直に恭也のことがまだ好きだから付き合えないと伝えた。その時、恭也が2人のところにやってきて、「こいつのこと返してもらうけど、いいか?」と日下部に尋ね、日下部くんは「今度は大切にしてください」と告げた。
エリカは「私がいなくても痛くもかゆくもないでしょ」と恭也に言うが恭也はエリカに「うるせー口だな」とキスをした。だが納得できないエリカははっきり言ってと告げ、恭也は「世間一般でこういうのが好きってんなら、そうじゃねーの」と言った。そしてエリカは抱きつきながらキスをし、「じゃあ今度は偽物じゃなくて、本物の彼氏にしてあげてもいいよ」と言うのだった。

エリカ、ストーカーにあう

恭也が修学旅行実行委員に選ばれる中、エリカは修学旅行のお小遣いを貯めようと駅前のレンタルDVD店でバイトをする。偶然に中学の同級生の寺崎(以降:テラぽん)がそこで働いていた。テラぽんは中学の頃一番仲がよかった男子だが中学3年の時に告白されて以来話さなくなり卒業を迎えていた。恭也はエリカが中学生の時告白された人と働いているというのが気になり、エリカのバイト先に行ってテラぽんにプレッシャーをかけるのだった。
ある日、エリカはテラぽんに恭也はチャラいしエリカにはあっていないと悪口を言われ、ムカついたエリカはまだ自分に好意があるのか冗談ぽく聞いたがそんなことないとテラぽんは言う。
その日、学校で恭也といざこざがあったエリカは恭也に対しイライラしながらバイトをしていた。そんなエリカを心配しテラぽんはバイト終わりにエリカをお茶に誘う。
エリカはテラぽんが自分の気持ちを理解してくれたことが嬉しかったが、彼氏である恭也が理解してくれないことから泣いてしまう。泣いているエリカをテラぽんが抱きしめるが、それを偶然にも恭也に見られてしまう。恭也に誤解だと説明するが理解されず逆に言い合いになってケンカになってしまう。
エリカはバイト後にバイト仲間とカラオケに行き、帰りはテラぽんが送ってくれるが機嫌の悪いエリカにテラぽんは「別れてしまえば」と言う。そして「ずっとぶっ壊れればいいのにと思っていた」と告げ、エリカの頬にキスをする。「本気だからよく考えろ」と走り去ってしまったテラぽんを見ながらエリカは恭也が心配していた通り、彼氏がいながらも軽率な行動だったと反省をした。
エリカは恭也に謝り、恭也も許したが、告白されたこととキスのことは言えなかった。バイト終わりにエリカはテラぽんを呼び出し恭也が好きだから別れる気はないと言ったがテラぽんは引き下がらず、強引にもう一度考えさせられるようになってしまった。
バイト先でテラぽんから遊びに誘われたり、迫られたりして悩んでいたが顔に出やすいエリカは恭也にすぐにバレてしまう。今さら恭也に言えないエリカは隙を狙って逃げ出した。早く解決しなければと思うエリカはバイト終わりにテラぽんを呼び出し、自分の頭の中は恭也でいっぱいなんだと告げる。きっとわかってくれると思っていたエリカだがテラぽんに叩かれてしまう。その時、恭也はエリカが心配になりバイト先に来ていた。そして二人が公園にいったと知らされる。
エリカはテラぽんに叩かれたことで恐怖を覚え、勇気を振り絞ってテラぽんを説得しようと試みるがまた叩かれそうになる。だがエリカも負けずと立ち向かうが再度叩かれそうになった。その時、恭也が助けに入り、テラぽんを殴る。恭也は「エリカは俺のだから二度と近づくな」、「エリカの意志は関係なく欲しいなら俺に許可をとれ」と言い放った。とっさに恭也に駆け寄ったエリカの姿をみて、テラぽんも諦めた。

それぞれの進学、そして未来へ…

エリカたちは高校3年生になり、進学を決める時期になってきた。やりたいことや将来について何も決まっていないエリカだったが、京都の親戚のガラス工芸を見学したのをきっかけに芸術の学校に進学したいと考える。しかしお母さんから「京都の工芸大学へ行くのならばガラス工芸への道を許す」と言われたのだった。だが、京都へ行くとなると恭也となかなか会えなくなってしまうが、どうしてもガラスをやりたいと思う。エリカは進学について恭也に相談するが京都に行くなら別れる、お前のやりたいことなんて俺には関係ないと言われてしまう。
エリカが授業をさぼり、屋上で考えていたところに元気のないエリカを心配したさんちゃんがくる。エリカは短大に行くことに決めたと話す。やりたいことは探せば見つかるけど恭也は一人しかいないと言うのだった。さんちゃんはエリカが楽しそうにガラスを勉強していたのを知っており、エリカの気持ちを理解していない恭也の家に行きビンタをしたのだった。さんちゃんは喜びや痛みを分け合っていくことが二人が離れない方法だと言った。
絶対に後悔しないと自分に言い聞かせて進路調査票に書こうとしたエリカは恭也に腕をつかまれる。恭也は絶対離れたりしないから京都へ行けと言ったのだった。そして、エリカは京都の芸大、恭也は都内の大学、さんちゃんは看護学校、神谷は恭也と一緒な大学、健は実家のカフェとそれぞれの道に進むのだった。エリカと恭也は遠距離恋愛をしながらエリカが学校を卒業すると同時に同棲を始める。そして25歳になったエリカと恭也は子供と一緒に毎日幸せを感じながら生活をしていくのだった。

『オオカミ少女と黒王子』の登場人物・キャラクター

篠原 エリカ(声:伊藤 かな恵 / 演:二階堂 ふみ)

作品の主人公でありヒロイン。彼氏いない歴16年だけど高校でボッチにならないために彼氏がいるとの嘘をつき、友達との恋愛話に嘘の恋愛経験で話を合わせるオオカミ少女。あまりの飛躍した嘘に友達が感づき始めたのに気づきどうしようかと考えていた時に町で見かけたイケメン恭也を盗撮する。さらに同じ学校だと分かり、恭也からの呼出には必ず従い、絶対服従の犬になる代わりに偽物の恋人同士になる。騙されやすく見栄っ張りで最初は恭也に遊ばれたり騙されたりしていたが、ポジティブで根性もあり初対面の人にでも悪口を言われたら啖呵を切るほどの思い切った性格で恭也に罵られてもめげないM気質の女の子である。最初は恭也の下僕同然の扱いに嫌々従っていたが、次第に恭也に惹かれていく。恭也に好きになってもらおうと頑張るがそれを楽しそうに恭也は傷つけていった。恭也に告白し一度はフラれるが、エリカのまっすぐで純粋な気持ちが勝り、晴れて本物の恋人同士になれた。

佐田 恭也(声:櫻井 孝宏 、早水 リサ(幼少期)/ 演:山﨑 賢人)

作品のもう一人の主人公。成績優秀でスポーツ万能、女子たちからの人気も絶大で学校では優しい王子と言われている。しかし本性は、腹黒ドS王子。エリカに嘘の彼氏役を頼まれるも自分の犬になれといい「3回まわってお手からワンだ」っと言い放った。両親の別居で恋愛不審になっていて愛情表現に関してはかなり歪んでいる。エリカの純粋でまっすぐな心に次第に心を開いていき、本物の恋人同士になる。母親とは別居の時から仲が良くなかったがエリカと一緒に神戸へ行った際に徐々に関係を修復していく。言葉ではエリカを罵ったり、いじめたりするがエリカのことはしっかり好きである。不器用で素直ではないが、意外と優しい一面がある。

三田 亜由美(声:茅野 愛衣 / 演:門脇 麦)

エリカの親友でありよき理解者。エリカの嘘につきあい彼氏役で電話などをしていた。細かい配慮ができリーダーに適任である。クールでしっかりした性格で弟が2人いる。エリカのことを思い、傷つけてばかりいる恭也に忠告するが、本物の恋人同士になった2人のことは心から祝福する。人に頼ることをあまりしないが、ストーカー事件の時にみんなが助けてくれくれたことにより助けてもらえることの喜びを知る。修学旅行時に恭也の親友・健に告白されるが、友達からの関係を始めた。その後、お互いに友達のままがいいということで交際には至らなかった。

日比谷 健(声:細谷 佳正 / 演:横浜 流星)

恭也の中学からの友達で親友。男子校に通っている。恭也と同じ学校に通いたかったが頭が追い付かないため断念した。性格はとても熱くフレンドリーで友達も多い。親や兄弟、友達など、周囲の人を大切に思い、初対面のエリカのことも親身になって相談を受けた。自宅のカフェの経営が苦しくなったときは悩みエリカにバイトを頼んだが、恭也にメイド姿を見られ怒られた。しかし、次の日から恭也がバイトに入り客足も増え軌道に乗った。エリカの親友である亜由美に告白するが交際には至らず、高校卒業から七年後に年下のお嬢様と結婚する。

神谷 望(声:松岡 禎丞 / 演:鈴木 伸之)

高校2年のクラス替えで同じクラスになる。学校では恭也に並んで美少年だが、プレイボーイのため本命は作らない。自分と同じ世界にいると思っていた恭也が平凡なエリカと付き合っていることが信じられず、合コンに誘ったり、自分が付き合っている女の子のアドレスの数を見せて自慢したりと自分の世界に連れ込もうとするが逆に恭也から「ゴミいくらを集めたって、ただのゴミ山だろ」っと言われショックを受けるが、恭也とエリカの仲睦まじい姿を見ていたら自分がバカだったと気づいた。この騒動以来、頻繁に恭也やエリカたちに絡むようになる。健のカフェでバイト中に年上の人に本気で恋をしたが、その人は違う相手と婚約中で初めての恋は実らなかった。

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